見出し画像

なぜ今、世田谷でお助け事業に取り組むのか。

こんにちは。
NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)事務局の三浦です。
今回は、コロナ禍の今、なぜ改めて学生お助け事業に取り組むのかを、私たちIVUSAの現状や本プロジェクトに関わらせていただいている私自身の思いも交えご紹介させていただきます。
ぜひ最後までお読みいただけるとありがたいです!

はじめに 学生お助け事業とは

学生お助け事業(学生お助けボランティア)とは、高齢者や障がいのある方々が日常生活を送る上で抱えるお困りごとに対し、有償ボランティアとして学生ができる形で応えていく取り組みです。2000年の介護保険制度開始に伴い、2003年から東京都世田谷区でスタートさせました。この取り組みでは「大きな家具の移動を頼みたい」「子どもの送り迎えをしてきてほしい」「毎週お茶を汲みにきてほしい」など多岐にわたるお困りごとに対応してきました。

しかし、事業開始以降継続して取り組んできたものの、2010年代半ば頃からは関わる学生が少なくなってきたこともあり、現在ではほとんど休止状態となっていました。

29年目のIVUSAの今

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、私たちIVUSAは、学生が数十名〜数百名参加する大規模活動は2020年2月を最後に実施できていません。学生同士の対面での交流や、学生と活動地域の皆さんとで深い関わりを作れない今の現状は、ボランティアを手段としあらゆる社会課題に取り組む私たちにとって非常に厳しい状況といえます。

そうした厳しい状況が続く今年、私たちは「原点回帰」というスローガンを掲げています。IVUSAの発足から29年目となる現在に至るまで、毎年毎年入れ替わっていく学生らの根底にあるのは、社会をより良くしていきたいという思いと、もうできることはないのではないかと思える状況でも自分たちにできることを模索し何か一つ行動を起こす姿勢です。
コロナ禍だからこそ改めてその原点を思い出し、そして、未曾有の感染症流行に誰もがつらい思いをしている今だからこそ、自分たちの身の回りにいる人達が抱える「身近で小さな困りごと」から解決に向け取り組んでいこうと、そのような思いが込められています。

身近な困りごとを解決する。これはかつて学生お助け事業が掲げ取り組んできたことでもあります。数百人での大きなアクションは取れない今だからこそ、改めて学生お助け事業に取り組む意味があると考えています。

学生お助け事業に携わる一人として

ここからは、なぜ私が本プロジェクトの再開に向け取り組んでいるのかをご紹介させていただきます。

▷世田谷区が抱える課題に対する関心
私が職員としてIVUSAに関わり始めた2020年の5月、祖父が亡くなりました。コロナの感染によるものではなかったため、コロナの感染が徐々に広がっていた時期ではありましたが、幸いにも葬式を行うことができ、私自身も祖父と最期のお別れをすることができました。しかしながら、この出来事の中で、私の祖父は運が良かったと感じました。コロナに感染された方のご家族は入院中の本人との面会を制限されたり、亡くなられた後も十分に別れの時間を取ることもできないといったことも耳にします。そしてまた、コロナの感染に関係なく、ご家族やご親戚、身近なつながりのある人がいない方の中には、誰にも気づかれず最期を迎える、いわゆる孤独死となる方もいらっしゃいます。

そういった出来事があり、私が暮らす世田谷区の孤独死者数が気になり調べてみると、毎年約150名〜200名程度いることが分かりました。自分が生活する地域で、誰にも気づかれず看取られることなく亡くなられる方がこれだけいらっしゃることに大変驚きました。

また、2020年の秋頃からは、コロナ禍で生活に影響が出ているご家庭(約200世帯ほど)を対象にフードパントリー事業を実施されている区内の団体にもお手伝いで関わらせていただくようになりました。世田谷区に移り住んですぐの私にとって、裕福な方が多いイメージがあったためその実態に驚きました。

孤独死や生活困窮などの課題について知っていく中で、同じ地域で生活する方々がより安心して暮らすことができる地域を作っていくためにも、学生お助け事業の必要性を感じるようになりました


▷東日本大震災で被災された方々からいただいた言葉と若者が果たす役目
もう一つの理由は、IVUSAの活動でずっと関わりがある宮城県山元町の方々からいただいた言葉です。話は少し変わりますが、私がIVUSAに関わりはじめたきっかけは東日本大震災にあります。2011年の震災当時、私はまだ千葉県に暮らす中学生で、震災当時からその後の復旧・復興の様子はメディアを通じてしか知らず、高校生の時くらいからぼんやりと、大学生になったら一度は東日本大震災の復興支援の取り組みに関わってみたいと考えていました。そして、私が所属したIVUSAが東日本大震災の復興支援活動として活動をしていたのが宮城県山元町でした。山元町は宮城県南部に位置する町で、地域の一部は海に面しており、津波により甚大な被害を受けた地域の一つでもありました。

私は大学4年間、IVUSAの活動を通じて山元町に通い続け、震災で被災された方々ともたくさんお話をさせていただきました。そのやり取りの中で今でも心に残っているのは、
「被災をした私たちの経験に耳を傾けてくれ、できることを一生懸命取り組んでくれてとてもありがたい。だけれどもっと重要なのは、ただ話を聞いて地域を見て終わるのではなく、その経験を自分の地元に持ち帰り、私たちと同じ経験をしないよう、大切な人を守れるよう確かな備えをすること
という言葉でした。

今、日本では南海トラフ巨大地震、首都直下型地震がいつ起こってもおかしくないと言われています。これからの社会を作っていく若者世代である私たちはその事実に向き合い、十分な備えをする役目があります。
災害への備えに100%万全はありません。それでも、もしそのような大災害が起こった際に後から振り返って「ちゃんと備えていてよかった」と言えるようにしたいと思っています。それができてはじめて、私はIVUSAを関わりを持ってくださっている山元町の皆様からいただいた約束を果たせたといえると思っています。

地域コミュニティ単位での災害に対する十分な備え、またもしもの時にもお互いのことを助けられる関係性は一日二日で作れるものではなく、日頃の関係性が重要です。だからこそ、災害時の支援をより充実させるという意味においても、学生お助け事業が果たす役割は非常に大きいと考えています。

事業を通じて何を目指していくのか

再開する学生お助け事業は、『世田谷お助けサービス』としてリニューアルし、世田谷区を活動地域として展開していきます。そこで目指す目的は以下の2点です。
①平時の顔の見えるつながりと双方向の支援関係の構築
②災害時の迅速な支援行動の実現


①平時の顔の見えるつながりと双方向の支援関係の構築
身近な困りごと解消に努めていくにあたり、地域の方々が抱える課題を察知し実際に行動に移すためには、私たち自身が地域に深く溶け込み、地域の方々と顔の見える関係性を築くことが重要です。まず第一に、そういった関係性を目指していきます。その上で、そのつながりを持続的なものにしていくためには私たちと地域の方々との間で「支援者-被支援者」という一方向の支援関係で成り立たせるのではなく、私たちと地域の方々との間で、お互いにできる形でお互いを助け合う関係性が必要だと考えています。そのための仕掛けの一つは、有償ボランティアという形での事業実施です。こちらについては次章でご説明します。

②災害時の迅速な支援行動の実現
前章でも述べた通り地域での生活を考えるにあたり災害は切っても切り離せません。私たちは、平時のつながりがあるからこそ非常時にも迅速な支援ができると考えています。平時の顔の見える関係性を軸に、平時でも非常時でも助け合いのつながりを発揮する地域づくりを目指します。

なぜ有償ボランティアなのか

私たちはこのプロジェクトを有償ボランティアとして実施してきました。
「ボランティアなのに有償なの?」
「地域住民同士の助け合い事業ならば、社協もシルバー人材センターも実施している」
そういったご意見もありますが、私たちが本プロジェクトを通じて目指すのは、誰もが安心して生活することができる地域を作ることです。そのためには、本プロジェクトが5年後も10年後も持続可能な形で運営されなければなりません

本プロジェクトに関わる学生にとっても、一度きりのボランティア活動であるならばバイトとしてお金を貯め、活動に参加することも可能かもしれませんが、持続的に地域に関わるためには、やはり経済的な面での負担が生じます。
特にこのコロナ禍では、バイト先がコロナ不況の煽りを受け、生活に影響が出ている学生がいることも事実です。だからこそ、「バイトをするか、地域に関わるか」の二者択一ではなく、プロジェクトに関わる学生にお金がめぐり持続的に取り組みが進められる仕組みが必要だと考えています。

「この地域であれば決してひとりにならないと思えるし、安心して老いていける」
本プロジェクトの継続的な取り組みを通じて、世田谷区で暮らす一人ひとりがそう感じられる地域を作り上げていくためのネットワークのひとつになれればと思っています。

さいごに プロジェクト詳細や公式LINE紹介

最後までお読みいただきありがとうございました。
本プロジェクトはまだまだ再スタートしたばかりです。まずは自走に向けできることから進めていきます。
プロジェクトに関する情報はこちらから見ることができます!

また、公式LINEも運用しています!
世田谷区にお住まいの方で利用してみたいという方がいらっしゃいましたら、こちらからお気軽にご連絡ください!

LINE公式用サムネ

△世田谷お助けサービス公式LINE

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?