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【神道】 お札の祀り方

 ご家庭や職場では、神棚でお札をお祀りすることが一般的でしょう。最近はおしゃれな神棚も販売されていますね。参拝者のなかには、「ウチに神棚が無いから、お札はいらない」という方もいらっしゃいます。そういう方は、お札をお祀りするハードルを高く見積もっているからではないでしょうか。今回はお祀りの方法について、私の見解を投稿します。

お札を祀る方角

 神道を勉強された方には、お札は南向きや東向きに設置することが正しいと教わった人もいらっしゃると思います。神社本庁の「お神札のまつり方」にても下記のように述べられています。

一般的には、清らかで明るく、静かで高いところに、南向き、あるいは東向きにおまつりするのがよいと言われ、座敷におまつりすることも多いようです。

神社本庁「お神札のまつり方」より

 南向きまたは東向きは、推奨される方角であるようです。しかし、神社本庁の文章は一般的な事例を述べているに過ぎず、指示はしていません。この点は大変重要です。神棚の方角にこだわった結果、神様を祀ることが疎かになっては本末転倒です。大切なことは、神様へ丁重に接する気持ちです。
 先の神社本庁の説明でも、下記のように続きます。

しかし、今日の住宅事情では、このような場所が見当たらないことも多く、どのようにおまつりしたらよいのか判らないという声があります。
こうした場合は、家族が親しみを込めて、毎日お参りのできる場所を第一に考えるとよいでしょう。何よりも、尊ぶ心を持って、日々丁重におまつりすることが大切です。

神社本庁「お神札のまつり方」より

とある職場での事例

 先述のとおり、ご家庭や職場の環境では、南向きや東向きに設置することが難しい場合もあります。そういう環境で方角にこだわると無理が生じます。私が違和感を覚えた事例では、ゴミ置き場の上に設置された神棚でした。方角にこだわった結果、神棚を設置できる場所がゴミ置き場の上だったようです。これでは、神様を拝んでいるのか、ゴミを拝んでいるのか分かりません。また、神様の下に汚れ物が集まっていることもモヤモヤした気持ちになります。神棚を設置した人は、純粋な方だったのだろうと感じました。しかし、純粋であったがために、方角を意識し過ぎたのだと思います。

大切なのは神様への敬意

 私が奉職していた神社では、お祀りの注意点は下記の3点でした。
  1、清浄な場所
  2、目線よりも高い場所
  3、お札自体に傷をつけない
 3について補足します。お札は必ずしも神棚に納める必要はありません。かつては、壁や柱に直接貼り付けて拝むこともありましたから、今もそのようになさって構わないと思います。ただし、お札に釘や画鋲を打ちつけて設置することは止めてください。それは神様を傷つける行為であり、敬意がありません。

お供え物

 神棚には毎日お供え物をしなくてはならない。という誤解もあります。神社の神主は、毎日お供え物を捧げています。しかし、その水準をご家庭にも押し付けてしまっては、敬う行為が義務となり、その結果として感謝の気持ちが失われてしまうでしょう。そうであれば、無理の無い範囲でお供えをすることが良いと思います。例えば毎月決まった日付(一日や十五日など)にお供え物をしたり、珍しい食べ物が手に入ったら、まずは神様にお供えしてから頂くなどです。
 大切なことは、神様への敬意を忘れず、感謝の気持ちでお祀りすることです。

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店主略歴

 広告代理店とデザイン会社の勤務を通じて日本文化に関心を持つ。國學院大學へ入学、宗教学(古代神道、宗教考古学)を専攻。神社本庁の神職資格(明階)を取得し、卒業後に都内神社にて神職の実務経験を積む。現在は家業の薬店を経営。登録販売者資格保有。


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