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かわいい〜

来月から、いよいよマスクを外して来店するお客さんが復活する。今感じていることも、いつの間にかすっかり忘れてしまうだろう。今のうちにこの時代はこうだったのだなという記録を書き留めておこう。

マスク社会になってから、飲食物を提供した時にリアクションがあまり無くなったなと、それ以前を振り返って思う。

目の前に差し出された厚焼きたまごサンドを見たお客さん。「おいしそう〜」という声が漏れたのを久しぶりに聞いた気がする。そういえば以前は「わぁきれい」「美しい…」様々なリアクションがあったな。

この期間もリアクションはそれなりにあったのだが、生真面目な人は皆「黙」に徹していて、声を漏らすタイプの人の多くは「かわいい〜!」と言うのだ。それが当たり前になっているので「おいしそう〜」の声に不意をつかれて、静かに感動してしまった。

百歩譲って看板メニューのプリンなら分かる(うちのは武士プリンと言われたこともあるくらい無骨なので、かわいらしくはないのだが)。たまごサンドに対して「かわいい〜!」はどう理解を深めようと潜ってみても到達できない。

それって本当に「かわいい」なの?そうやって疑問を呈する面倒臭い大人が消えた結果、この「かわいい〜」が蔓延る社会になったのだろう。

もっと沢山の細分化された感覚、眠っているだけだと思う。自分が理解しようと潜って諦めた、面倒臭いと思われるのが面倒臭い大人たち。それはきっと重労働ではあるが、気付いていない感覚を発掘してあげることは、大人の大事な仕事なのではないだろうか。

高いところから、豊富な経験の水を流してもらった思い出が、誰しもあることでしょう。

いつの間にか大人になった今、あなたの番なのではないでしょうか。

大人として相応しい振る舞いをしたいですね。

持つ者として。

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