近藤 伸 / クラシック(函館)

classic hakodate / 北海道 函館市 谷地頭 25-20 Instagram @classic_hakodate

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最近の記事

終わりは知らない方がいい?

いつもの店が閉店する。 「あと4回」 来年からいつもの過ごし方ができなくなるわけだけど、すでに気持ち的に、いつもの過ごし方ができなくなってしまった。 「あと3回」 なんだか落ち着かない。 いつもの過ごし方ができない。 挨拶をし、空いていればバラの前の席に着き、間髪入れず朝宮茶を頼むのというのがほぼ毎週のルーティン。 心残りにならないように、いつか一度くらいは食べてみようかと思っていた、おしるこを頼んだりしてしまって、貴重な「いつもの」を味わうことなくカウントダウン

    • 最後の晩餐に食べたいものは?

      好きな食べものはなんですか? パッとは出ず、しばし考える。 「自分で作るスープかな」と答えた。 思いもよらぬ答えが出てきた。 まさか他人の作ったものではないとは。 じゃあ、最後の晩餐に食べたいものは? やはりこれといったものは思い浮かばず、しばし考える。 質問者が沈黙を破る。 これを聞くと、その時の健康状態はどんな感じなの?と聞いてくる人がいるんだよね。 たしかに!じゃあ健康だったと仮定して…。 みんながあれこれ話している間に、答えがぼんやり浮かんできた。 「

      • やめるわけにはいかない

        やめても忘れられる という気持ちの逃げ道は用意してあるけれど、やめられない理由がある。 「またいつか」 その約束を守りたい。 約束したわけではないけれど、いつかが叶う日が来る可能性を残し続けたい。 遠くにぼんやりある、いつかという灯台の灯り。 それが日々、いや、忙しい日々では忘れていても、ふいに暗闇に呑まれた時、心の支えになるものだから。 20代の頃にやっていたお店は、10年続けるという目標達成、自分の為に「やめるわけにはいかない」だった。 40代を前に、続け

        • 安心してください。きっと忘れます。

          そう書いた翌週、突然シャッターが開いていた。 「骨折してね。4ヶ月も暇してたよ。」 何事もなかったかのように元気で、いつも通りだった。 おそらく業務用パックの、なんの変哲もないアイスコーヒー。昨年の雷が鳴った週に有線放送だと判明した、この店に合っている訳ではない、ここでしか聞くことはないであろう曲たちのエンドレスループを聴きながら過ごすひと時が帰ってきた。 もしもあのままシャッターが開かなければ、新しいお店と出会い、そこがここと同じようにかけがえのない店になり、この店

          突然シャッターが降りるかもしれないから、いつもシャッターを切る

          3月に80代の営む喫茶店の灯りが2つ消えた。 ひとりはまだまだやるぞ!と確定申告を出し終えて、家に帰りひと休みで横になったところ、そのまま心臓の鼓動が止まった。 ひとりは痴呆が忍び寄ってきたらしく、身内から強制退場させられてしまった。元気一杯でも、そんな店の終わり方もあるのだと、あまりにも不意打ちだった。 およそ1年前。行きつけの喫茶店が店主の入院の為長期休業となり、喫茶店難民となった。 その時にずっと気になっていた喫茶店のドアをようやく開けた。週1回、通い詰めた。1〜

          突然シャッターが降りるかもしれないから、いつもシャッターを切る

          時間泥棒にささやかな抵抗を

          「便利になって短縮されている時間で余暇が生まれているはずなのに、何故かますます忙しくなっている」と誰かが言った。 毎日詰め込みすぎていて、誰が言った事だったかすら思い出せない。 完全にミヒャエル・エンデのモモの世界の住人となってしまっている。 noteが1番書きたい媒体なのに、1番書けずにいる。ある程度の長い文にしようとすると、隙間時間ではうまく纏まらず、先送りにして、流れる。その繰り返しだ。 テクノロジーの進化(主に通信速度の高速化と、遠隔地とのリアルタイム共有)に

          時間泥棒にささやかな抵抗を

          頑張れ、先輩

          お尻を叩いてくれたおかげで、今回もギリギリ滑り込みで連続投稿は延命。 ほっと、ため息をつきながら投稿ボタンを押すと、すかさず褒めてくれた。 お尻は叩くのも叩かれるのもいい気はしない。 それでも、お節介かもしれないけれど、ちょっとイヤな顔をされるかもしれないけれど、きっと為になると明らかに見えているなら、頑張ろうよ!と声をかけてみるのは悪くない。お節介な人が減った、こんな世の中だから。 結果はどうあれ、頑張ったね!、頑張ったよ!と労いの言葉をかけてあげられるのだし。 人

          沈黙は加担

          以前、賢い者は沈黙する。しかし、沈黙は是なのか?と書いた。 「沈黙は加担だよ」 私の周りは愚直すぎて自営業、フリーランスしか生きる道がないような人が多いので、そんな言葉が飛んできた。 危険は減り、クリーンな世の中になってきたけれど、良い方向へ向かっているか?と問われれば、そうは思わない。 暮らしやすくはなったけれど、なんだか生き辛くなってきた。(自然や人間臭さと切り離されずに生きてきた世代的価値観からの視点で)良いとは言えない方向へ流れ始めているような気がする。 そ

          誰かの中で生きている Ⅱ

          飲み物を決め、食事のメニューを開こうとした時、ぼんやりと思い出した。 12年前のこと。「あの一品、パクらせてもらいました!」と、そういえば連絡があったなあと。 ページを捲ると懐かしい姿が目に飛び込んできた。なんと今でも提供され続けていたのだ。 10年前に店を閉め、私はそれ以来一度も作っていない。 開店以来ずっと人気らしく、遅い時間に行った為この日も完売で食べることは叶わず。 私が作らなくなった料理が、遠く離れた沖縄で輝きを放って生きていた。 野菜がおいしかったのが

          誰かの中で生きている Ⅱ

          人生初の1週間の休暇

          40代を前に、人生初の1週間の休暇をとった。 以前営んでいた店は10年間で100日休まなかった。クラシックは8年の間に最初は休み無し、休みの日にしかできない雑務が増えて2週に1回となり、3年ほど経ち毎週となり、一昨年秋には遂に最終週を連休とするようになった。 自分の年齢的なものとQOLを大切にという時代の空気感も相まって、休みを増やすのに抵抗が無くなってきた。 20代の私が現状を見たらさぞ驚くだろう。なにしろ年に数回しかない(取らない)休みなので、富士山に登った時もご来

          はたして、沈黙は是なのか

          昔から「見ざる聞かざる言わざる」と伝えられているようにそれができる人は賢い。いや、賢い人はそれができると言うべきか。 賢い人は争いを回避する。巻き込まれに行くような真似はしない。

          はたして、沈黙は是なのか

          今この瞬間、様々な暮らしがある。

          19℃。今日の東京の気温を見て驚いた。 函館は0℃。アラスカはマイナス24℃だった。 今、この瞬間、様々な暮らしがあるものだ。 冬至が近付く。 帯広の友人がどうにも気分を持ち上げる事が難しいと書いていた。日照時間とうつ傾向は相関があるそうだ。北欧の行事や北方民族の儀式の中でも冬至が大事にされる意味が、北に渡ってみて体感として理解できた。 現在の函館の日没時間は16:07。帯広は15:53。たかが14分、されど14分。3時のお茶をして、さあ後半戦を頑張ろう!と気持ちを切り替

          今この瞬間、様々な暮らしがある。

          危機的状況をチャンスと捉えて

          人間は慣れる生き物。 あれから1年。加齢による拘りからの解放もあるのだろうが、恐ろしいもので慣れてしまった。 以前書いたテーブルの上に鞄を載せられてしまう問題。多数派が占めてくるとそれは文化になる。 私は、もう2度と来店しないであろう人々に美しさを説くことは不毛だと思い始め、そうしたい人にはそうさせるようになった。(長く付き合っていくであろう人には、何かのきっかけがあれば提案していきたい。そういう古い文化もあったのだよと) 妻は頑なに、「お荷物こちらにどうぞ」と隣り及

          危機的状況をチャンスと捉えて

          人の寿命の平均日数は30000日

          人の寿命の平均日数は30000日。 ラジオを流し聞きしながら車を運転していたら、その言葉の矢が鼓膜に突き刺さった。 計算してみると、私は約14000日生きてきたらしい。幸運が味方してくれれば残りは約16000日。 あの行為に、あの思考に、あの人に時間を使うべきではなかった。 振り返れば、これからはしない方がいい物事が見えてくる。 吸収する余地のある前半は、すべきではなかった事をする事が大切であったとも素直に思う。 人生の後半に問われるのは吸収したものをどう放出、願

          人の寿命の平均日数は30000日

          看板を背負う

          「しんさん、リレー取材のバトン受けてくんない?」 東京のカフェ店主から連絡が入る。 開店当時は載ってみていた情報誌関係にはやがて懲りて、今は基本的に書籍以外の取材は受けないのだけれど、その店の掲載記事を読み、他はどんな店が掲載されているのかを見ると、味のある店揃い。グルメ系ではない事もあり(なんと失恋話がテーマ)気まぐれで受けてみる事にした。 執筆者を調べてみる。どうやら紅白歌合戦にも出たような人らしい。解散コンサートは東京ドーム。常連さんに迷惑かかりそうな影響力なので

          いつか、伝説になる前に

          電車が大好きな中学生。カッコイイ特急が好きとかそういうレベルではない。プレゼントに貨物列車の時刻表をもらって大喜びするほどの強者だ。 JR路線はどんどん廃線に、辛うじて引き継がれた第三セクターの路線も風前の灯。 北海道はそれが特に顕著で、数年毎に廃線や、無人駅の廃止、そして今後の廃線の議論が交わされている。 (↑サイト内の画像をスライドすると過去と現在が見比べられます) 道南で一番好きな湯ノ岱温泉。移住直後にはまだ電車が通っていた。(当然のように電車と書いたが、道民は

          いつか、伝説になる前に