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アインシュタインはうさんくさい

日本人はアインシュタインが好きですね。
アインシュタイン展がデパートなどで開催されると、大盛況なんだとか。
近所のパスタ屋さんでも舌をべろりと出したポスターが貼ってありますが、天才なのにお茶目だからということでしょうか。
 

こんなポスターです


読売新聞の先週のコラムでも物理学者アインシュタインと精神分析学者フロイトとの書簡を取り上げ、ガザの現状への慧眼を称えていますが……
「ヒトはなぜ戦争をするのか?――アインシュタインとフロイトの往復書簡」(著者:アルバート・アインシュタイン&ジグムント・フロイト 2000年発行、花風社)と察しますが、読む人が違えば、随分と感想が違うものですね。
 

〇国はなぜ憎悪の種を蒔くのか?


ノーベル賞物理学賞受賞者アインシュタインと精神分析学の創始者フロイトの1932年に一往復しただけの往復書簡に養老孟司さんの解説がついた100ページちょっとの短い本です。国際連盟がアインシュタインに誰でも好きな人を選び今の文明でもっとも大切な問いについて意見交換してくださいと提案したものです。
 
読売コラムは「人間には憎悪に駆られ、相手を絶滅させようとする本能的な欲求がある…」と引用しただけですが、本書からもう少し見てみましょう。
 
アインシュタイン:「ナショナリズムから縁がない私のような人間から見れば、戦争の問題を解決する外的な枠組を整えるのは易しいように思えてしまいます。すべての国家が一致協力して、一つの機関を創りあげればよいのです」
「法や権利と権力とは分かち難く結びついているのです! 司法機関には権力が必要なのです」
「国際的な平和を実現しようとすれば、各国が主権の一部を完全に放棄し、自らの活動に一定の枠をはめなければならない」
「他の方法では、国際的な平和を望めないのではないでしょうか」
 
さらに「人間の心自体に問題があるのだ」として、「戦争が起きれば一般の国民は苦しむだけなのになぜ少数の人間の欲望に手を貸すのか」「国民の多くが学校やマスコミの手で煽り立てられ、自分の身を犠牲にしていくのか」という問いへの答えとして、「人間には本能的な欲求が潜んでいる、憎悪に駆られ、相手を絶滅させようとする欲求が!」と述べます。
「だから世界政府を」という箇所を省いてはいけませんよね。
 
ユダヤ人とアラブ人が本能的な欲求から憎悪し合ったのでしょうか。
これも読売新聞の別の日の記事での年表の一部です。
1915~1916年 英が「フセイン・マクマホン書簡」でアラブ人国家支持を表明
1916年5月 戦後の中東を分割する「サイクス・ピコ協定」を英仏露が締結
1917年11月 英はユダヤ人富豪ロスチャイルド卿に、戦後ユダヤ人の民族郷土樹立を支持(バルフォア宣言)
一見支離滅裂にしか見えませんが、この後他の国々にも行われる英国流のわざと火種を残して、将来の紛争に介入するやり口です。これを無視して、「絶滅させるまで人間は憎悪し合うもんだ」と言ってしまっていいんでしょうか。
※太字にしたのはシン・説、以下同じ
 
「ユダヤ人名事典」(ジョアン・コメイ著、東京堂出版)からアインシュタインの欄を抜粋します。
「アインシュタインはルーズベルト大統領に書簡を送り、ドイツの核開発の可能性に警告を発するとともに、アメリカ独自の核開発を勧告した。(中略)日本の降伏を迫るため、広島と長崎に投下された。(中略)破壊的目的に使われることに心を痛め、(中略)慚愧の念に襲われた」
天才物理学者がその破壊力の凄まじさを想像できなかったとは信じられません。
同事典にはマンハッタン計画の中心人物オッペンハイマーも掲載されています。「オッペンハイマーは対日戦争で原子爆弾の使用を認めたが、大戦後は、核兵器の国際管理と核開発研究の中止を、強く主張するようになった」
強力に推進しながら、わが国だけに使用した後は、深く反省して強力に反対する。このわざとらしさがうさんくさいのです。英語翻訳本のみロックフェラー四世が序文を寄せた小沢一郎著の「日本改造計画」とまったく同じ主張です。「平和を愛し、信頼するに足る」とうぬぼれる国連による核兵器の一元管理です。
 
往復書簡の本書のアインシュタイン個人年表には「1946年 国際連合に世界政府の結成を促す」という一文があります。
その前には
「1939年 核分裂を利用した爆弾の話を聞き、ルーズベルトに手紙を送る。ドイツよりも先にアメリカが核兵器を開発するように促す」
「1940年 アメリカ合衆国の市民権を取得」
常識を働かせれば、アメリカ市民権はご注進の論功行賞にしか見えません。
 
日高義樹著「なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか」(PHP研究所)によれば、原爆製造に大きな力のあったエドワード・テラー博士のインタビューで、「ロスアラモスの学者たちのなかでテラー博士が最も強硬に原爆を落とすことに反対していたのはなぜか」と問うと、博士は「いまにも倒れそうな敵を葬るのに、ものすごい兵器を使う必要はないと思った」
さらに、テラー博士は1962年「広島の遺産」という本の中で、「悲劇的な原爆の投下の必要はなかった。例えば東京の上空、非常に高いところで夜間に爆発させ、真昼のように明るくする。次は低空で爆発させると警告することもできた」と明かしています。
 
平和を希求する天才物理学者ならテラー博士同様に悲劇的な原爆投下に反対し、テラー博士の代案・高高度爆発が提案できなかったのかと思うのです。
 
はっきり申し上げます。
 
アインシュタインはうさんくさい。

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