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ウクライナ戦争の起点は市場開放を巡る争い プーチンインタビュー③

ロシアのプーチン大統領のインタビューを通じて、プーチンは本当に悪の枢軸なのか、アメリカに正義はあるのか、について考えています。
 
原題「ザ・プーチンインタビューズ」というドキュメンタリー番組で、2015年7月から2017年2月にかけて、JFK、プラトーン、スノーデンなど社会派作品で著名な映画監督のオリバー・ストーンがプーチンロシア大統領に密着しました。全4話の構成となっています。
 
日本向け編集の「オリバー・ストーン・オン・プーチン」の第3話は、ウクライナ戦争の背後にある「自由貿易」という名のグローバル勢力の私利私欲です。
 
第3話 ウクライナ戦争の起点は市場開放を巡る争い
 
ソ連崩壊後ウクライナが独立し、急激な民主化と国家資産の公然たる横領が横行し、国民の生活水準は低下します。ロシアとの間で関税障壁のない経済が一体化していたウクライナを通して、ロシアの市場完全開放を画策したアメリカを中心した西側諸国と、WTO(世界貿易機関)と17年間かけて合意した貿易ルールを反故にされ防戦するロシアとの争いが浮き彫りになります。
 
ウクライナがいったん発表したEUとの連合協定調印を撤回したことが大転換点となります。
2013年11月から4か月間もの暴動がウクライナで起きますが、この暴動を「非常に不可解」と言うオリバー・ストーンは、「外国などで訓練を受けた狙撃部隊が警官と市民の双方を狙った」と指摘すると、プーチンも「あなたが言った通り」と応じます。
2014年2月21日ヨーロッパの外相3人同席の上でヤヌコビッチ大統領と反体制派が話し合い、大統領選前倒しに合意しましたが、西側報道では「ヤヌコビッチがキエフを放棄した」と伝えられ、ヤヌコビッチの公邸が占拠されました。検事総長が銃撃され、ヤヌコビッチの車列も狙われました。ロシアの手引でヤヌコビッチはロシア併合前のクリミアに逃れ、1週間以上身を隠します。
 
一連の西側報道について、プーチンは「なんでも曲解され歪められる。何百万人という視聴者を欺ける。メディアが独占状態にあればね。かたよりのない目で見ればクーデターは明らか」と言います。このクーデターを容認しなかったのが南東部のドンバス地方ですが、ロシア語の使用を制限する法律まで作られては親ロ派住民の激しい抵抗もやむなしと思えます。
 
このマイダンクーデターがオバマ政権(バイデン副大統領)下で、バイデン政権下でウクライナ戦争が起きたことに注意が必要です。トランプ政権時代はウクライナ紛争の和平合意であるミンスク合意が守られていました。
 
ここからいわゆるアメリカの新保守主義ネオコンサバティブ、ネオコンのメンバーと目される実名と映像が次々と出てきて、オリバー・ストーンが短評します。
 
マイダンクーデター当時、国務次官補の欧州ユーラシア担当ビクトリア・ヌーランド氏について「積極的に政権交代を支持していた」と評するオリバー。

国務省№3ビクトリア・ヌーランド氏の夫はロバート・ケーガンというネオコンの論客 ウィキメディアコモンズより


「ジョン・マケイン上院議員が訪れた集会にはネオナチ含む過激派指導者が参加していた」
「全米民主主義基金NEDもウクライナで活動していて、カール・ガーシュマン会長はウクライナ独立を強く訴えた」
「オープンソサイエティ財団創設者、ハンガリーの大富豪ジョージ・ソロス氏もウクライナの組織の支援に深く関与している」
すべてオリバー・ストーン発信のネオコンメンバー短評です。
 
「彼らはウクライナの組織の支援に深く関与していますか?」というオリバー・ストーンの問いに、プーチンは「あなたの言うとおり」と応じ、「彼らの行動は時に理解できない。NATOを統制するために外敵を必要としているように見える」と婉曲的な物言いですが、本質を捉えているように思います。
 
ウクライナ戦争は本当に専制主義陣営と自由主義陣営の戦いなのですか? 親米保守派に顕著な言い分だと思いますが、私には国境をなくす者と国境を守る者の戦いにしか見えません。単純な侵攻の後先ではないと思います。
停戦合意もしていないのに、来年2月にウクライナ復興支援会議が日本で開かれることで化けの皮が剝がれてきたのではないでしょうか。

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