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連邦準備制度は自らの損失を大衆に付け回すが、大衆保護はしない 1章要約

9月28日にアップ予定だった9月20日にアップしてしまいました。連続投稿も途切れてしまいました。2章の前にこれをお読みください。

こんにちは、癌と金の真説を紹介しているシン・説(しん・せつ)です。
インフレは最も不公平で政治家と銀行家にのみ都合のよい徴税システムであることを告発したG・エドワード・グリフィン著の「ザ・クリーチャー・フロム・ジキルアイランド(邦題:マネーを生みだす怪物)」の要約をじっくり紹介しています。
インフレの本質は、物価高というより貴金属に交換できない不換紙幣を創出して、それをてこにした借金マネーの氾濫によってお金の価値が下がることです。インフレ徴税は国民に気付かれず、タンスでも預金でも政府から隠れる場所はありません。国民が知らないので税金が財源と思い込ませることもできます。政治家にとって最高の徴税システムです。
では1章の要約と感想や解説をお届けします。
 ※で囲んだ部分はシン・説の個人的感想の部分です。

1章 ジキル島への旅
FRS(連邦準備制度、同書ではFRB・ボードではなくFRS・システムとされていますが同義です)の基本計画は1910年11月J・P・モルガンの秘密リゾート、ジョージア州の離島、ジキル島での秘密会議で起草された。参加者は、ウォール街の大手金融機関を代表し、間接的にはヨーロッパも代表していた。
秘密の理由は単純だった。銀行業界の対立する派閥が結集したことが知られたら、銀行家たちが取引を制限する協定を結んでいる可能性に大衆は注意を向けていただろう。もちろん、これはまさに彼らがしていたことだ。それは5つの目的を持つカルテル協定だった。5つの目的とは次の通りだ。
 
①国の新しい銀行との競争の激化を止める
②融資目的でゼロからお金を生み出すフランチャイズを取得する
③無謀な銀行が通貨の流出や銀行の取り締まりにさらされないように、すべての銀行の準備金を管理する
④カルテルの避けられない損失を納税者に負担させる
⑤その目的は大衆保護であることを議会に納得させる
 
銀行家は政治家とパートナーになる必要があり、カルテルの構造は中央銀行でなければならないことが認識された。
記録は、FRB(連邦準備制度理事会) が表明された目標(※米国の雇用の最大化、物価の安定化、適切な長期金利水準の維持を実現し、その結果として米国経済を活性化すること)を達成できなかったことを示している。
それは、真の目標ではなかったから。銀行カルテルとして、そして上記の 5 つの目的に関して、それは無条件の成功を収めてきた。
以上が1章の要約です。

※ここからは【個人的感想】と注釈です。
ジキル島とは、連邦準備制度に関する本には欠かせないパワーワードです。関連本はいくつも読んでいますが、これほど詳細なジキル島秘密旅行の描写ははじめてで、一気に引き込まれました。
そして、ジキル島メンバーにとって5番目の最もやっかいな目標「その目的は大衆保護であることを議会に納得させる」があることから、大物政治家がメンバーのひとりであり最重要人物である理由がよくわかりました。これだけの錚々たる政界・銀行界の大物があだ名で呼び合って1000キロも旅する列車が「オルドリッチ専用列車」だったことでもわかります。

訳者註:ネルソン・オルドリッチ上院議員はロックフェラーⅡ世の義父でネルソン・オルドリッチ・ロックフェラー元副大統領の祖父です。J・P・モルガンの投資パートナーでもあります。ロックフェラーとモルガンを結ぶには格好の人物でした。
議会を納得させるのがやっかいというのは、当時のアメリカの連邦議員には、中央銀行が発行する不換紙幣によるインフレに苦しんできた記憶があったから、議会対策はきわめて重要でした。ですから、これは銀行家単独の陰謀ではなく、政治家と銀行家の陰謀です。本書は政治家と銀行家の共謀という本質を見抜いたからこそ、政治家の最大のメリット、財源に困らないインフレ徴税の本質にたどり着きました。
ほか6人のオルドリッチ専用列車の乗客は政府高官1人、銀行員5人です。ここでは翻訳本の方から名前と役職を紹介しましょう。
▽エイブラハム・ピアット・アンドリュー 連邦財務次官補
▽フランク・A・ヴァンダーリップ ナショナル・シティ・バンク・オブ・ニューヨーク頭取
▽ヘンリー・P・デイヴィソン J・P・モルガン商会上級パートナー
▽チャールズ・D・ノートン ファースト・ナショナル・バンク・オブ・ニューヨーク頭取
▽ベンジャミン・ストロング バンカーズ・トラスト・カンパニー社長
▽ポール・M・ウォーバーグ クーン・ローブ商会パートナーで英仏ロスチャイルドを代表 
日本でもお馴染みのミュージカル「アニー」に登場する大富豪の慈善家ウォーバックスさんのモデルとされていますが、いやはや図々しいことこの上ありません。※

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