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一線の学者なら製薬会社の謝礼を当てにするな 自民裏金500万円未満ならおとがめなしとそっくりな『予防接種・ワクチン分科会参加規程』

自民党の裏金問題で処分の線引きとなったのが、5年間で500万円以上の不記載があったか否かです。引退する二階俊博元幹事長が1000万円以上でおとがめなし、清和会幹部が500万円未満で処分対象となり、岸田・茂木執行部の恣意的な処分とも言えますが、大半は500万円未満で「注意」のみのおとがめなしです。冒頭の画像は、SNSで拡散されている秀逸な作品ですが、岸田自民党は、自らの脱税は不問としながら国民への増税はまったく意に介さない腐った党だということです。


自民党の本質を浮き彫りにしたのが岸田首相の唯一の成果?


 
この恣意的、ご都合主義の線引きとそっくりなのが、ワクチンの接種順位や有効性・安全性等について議論する新型コロナウイルス感染症対策分科会や、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会等での参加規程です。14条からなるもので、新型コロナ後に刷新されているようなので、読み比べてみました。
 
特に問題となるのが、第8条(審議不参加の基準)と第9条(議決不参加の基準)です。コロナ禍前の2018年3月1日の参加規定を以下に採録します。
 
(審議不参加の基準)
第8条
委員等本人又はその家族(配偶者及び一等親の者であって、委員等と生計を一にする者をいう。以下同じ。)が、申告対象期間中に調査審議するワクチンの製造販売業者からの寄付金・契約金等(※注2は省略)の受取(割当てを含む。以下同じ。)の実績があり、かつ、それぞれの個別企業からの受取額が、申告対象期間中に、年度当たり500万円を超える年度がある場合は、当該委員等は、当該ワクチンについての審議又は議決が行われている間、審議会場から退室する。
 
(議決不参加の基準)
第9条
委員等又はその家族が、申告対象期間中に議決審議されるワクチンの製造販売業者からの寄付金・契約金等の受取の実績があり、かつ、それぞれの個別企業からの受取額が、申告対象期間中のいずれの年度も500万円以下である場合、当該委員等は、分科会等に出席し、意見を述べることができるが、当該ワクチンに関わる議決には加わらない。ただし、寄附金・契約金等の受取額が、申告対象期間中のいずれの年度においても50万円以下である場合、当該委員は議決に加わることができる
 
つまり、▽製薬会社から年間500万円超の受け取りがある場合、審議に加われない▽製薬会社から年間500万円以下の受け取りがある場合、審議に加わって意見も述べられるが、議決には加われない▽製薬会社から年間50万円以下の受け取りがある場合、議決にも加われる――です。
 
臨床試験の簡略化など製薬会社への忖度ばかりが目立ったコロナ禍を経て、新型コロナワクチンの利益相反が大いに問題視される中、この癒着の構造にどれだけメスが入ったのか、2024年4月16日参加規程を熟読すると、第9条のただし以下で寄「附」金と使っている箇所にいたるまでコピペのように一言一句同じです。
全体で言えば、適用対象部会の第2条五 「季節性インフルエンザワクチンの製造株について検討する小委員会」が「季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」に変更されただけです。
 
ワクチンメーカーから年間500万円を受け取る専門家が、議決には加わらないが、意見は自由に言えるという常人の常識を遥かに超える内容を今後も続けると言っているわけです。
 
どんな屁理屈に基づくのか脱税の自民党が説明してくれています。
当時の田村憲久厚労相は2014年6月3日の参議院厚生労働委員会でこう語っています。HPVワクチンメーカーから資金提供を受けた委員の扱いについて社民党福島みずほ参議院議員の質問「実際ワクチンを売っているグラクソ社とMSD社からお金を委員たちがみんなもらっている。全くもらっていない人は二人しかいない、十人のうち。三人は議決権がない。こんな状況で公平な判断ができるでしょうか」に答えました。
 
<アメリカの基準にのっとった基準で、アメリカより厳しい基準です。アメリカの場合は五万ドルという基準で、議決権あるか、もうそれとも退室かという、そういうルールでありますから、日本はそこに五百万、五十万と間を置いて、議決権はないけれども、参考、つまり議決権はないわけでありますから、そういう意味ではアメリカよりも厳しい基準であります。>
一線で御活躍されておられる、そういうような学者の方々でございますので、もし全くという話になると、なかなか今度はこういう検討会に入っていただける方がいないというような問題意識もあるということも御理解をいただければ有り難いというふうに思います。>
 
これは10年前のやりとりですが、今年4月15日に行われた厚生科学審議会で副反応検討部会のある委員(某国立医科大小児科教授)が厚労省に回答した寄附金の申告書をまとめると、
 
KMバイオロジクス   令和5年度 50万円以下
阪大微生物病研究会  令和4年度 50万円以下
第一三共       令和5年度 50万円以下
サノフィ       令和5年度 50万円以下
ファイザー      令和4年度 50万円以下
塩野義製薬      令和5年度 50~500万円
Meiji Seikaファルマ 令和5年度 50万円以下
田辺三菱       令和5年度 50万円以下
 
令和4~6年度の1社あたりの最高額だった年度だけ申告すればいいので、全体像はわかりませんが、公平公正な意見がまったく期待できないのは言うまでもありません。一線の学者なら製薬会社の謝礼などあてにせず本業で稼いでください。これなら一般人が常識で判断した方がはるかにましです。
 

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