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「永遠の人間学」と知性主義

『7つの習慣』の著者・スティーブン・リチャーズ・コヴィー氏は、「博士」という肩書きで呼ばれていることがあります。わたしはずっと「博士号を取得した作家」なんだと思っていました……。恥ずかしー。

実際には、ブリガムヤング大学で教授を務めておられていた方です。専門は経営管理と組織行動学。『7つの習慣』は、その研究の成果でもあるんですね。

1996年に出版された旧訳版は、副題が「成功には原則があった!」となっていて、ビジネス書らしいビジネス書として売られていた記憶があります。

ところが2013年発刊の新訳版は、副題が「人格主義の回復」に変わりました。「永遠の人間学」と謳われる部分が強調されている感じ。博士のスマイルも全面に押し出されている感じ。笑

この本自体、誠意、謙虚、勇気などの「不変の原則=人格主義」に基づいた成功の法則をまとめたものなので、より内容に合った副題になったといえるかもしれません。

「7つの習慣」を身につけるのも大変なのですが、コヴィー博士が「個性主義」と呼ぶコミュニケーションスキルやロジカルシンキングだって、使いこなすのはカンタンじゃない。

けっきょく、日々全方位的に自分を磨き続けるしかないのよね……と思うのですが。

この課題に対して、COTEN RADIOの番外編「人間の知性について」が、とても示唆的だったのです。

メンバーのひとりである室越さんが、とあるきっかけで「知性ってもっと多面的・多様性を持って評価されてもいいんじゃないか?」と疑問をもったというお話です。ヤンヤンさんの百面相がかわいすぎる……。

いまの日本に限らず、どこの国も偏差値やIQといった数字で測られる「学力」がイコール「知性」になっているのではないか、という問題提起です。

ラジオでは触れられていませんが、韓国の受験戦争なんて、ママたちの闘争でもあって超熾烈なんですよね。

それくらい、「学力」を上げることが、成功に結びついている社会に生きているのですが。

こういう社会では、現行のシステムでは測れない「知性」をもつ人は、当然置き去りにされてしまいます。

ビジネスパーソンにとって言語化スキルは大事だけど、非言語のコミュニケーションに長けている人もいるわけで、この人たちの能力にちゃんと光が当たる社会こそ、豊かで、ダイバーシティ性が高く、やさしいつながりのある社会なんじゃないか。

ザックリまとめると、こんなお話でした。

ラジオを聴きながら、これぞ「個性主義」に偏りすぎた社会のことで、バランスが崩れているって、こういうことなのか、と思ったのでした。

評価の基準がひとつなのは、分かりやすくはありますが、格差を生み出しやすいものです。

そんな社会で、「落ちこぼれないように、しっかりやれや!」ではなく、「このあり方もOK!」「そのやり方も、ありだよね!」となれれば、もっと気持ちを楽に挑戦したり、自分の意見を言ったりできるように思います。

言う方も、受け止める方も、必要なのは「不変の原則=人格主義」。

「永遠の人間学」は、深くて深い知性の学問でもあったのだなと思ったのでした。

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