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バイクや自動車の作り方(2)


ベンチマーク評価の解釈(2)

ベンチマーキングの対象には、当然自社の製品も含まれます。多くの場合、自社製品を基に性能を改善したり機能を追加することになります。新モデルなどと謳っても、突然真新しいモノが出来上がるわけではなく、過去に造ったモノの上に少し新しいモノを積み重ねることが基本です。
ベンチマーク評価の結果、ポジティブな結果とネガティブな結果が得られますが、まずはそれらの物理的な要因を分析することになります。ポジティブに評価される要因を取り込み、ネガティブな要因を取り除く方向で技術的なコンセプトを練っていきます。ここまではバイクも自動車も同じですが、ここから先はバイクと自動車でプロセスが異なります。

1st プロトタイプ(自動車の場合)

自動車開発の場合は、実際に走行している状態を定量的に計測して、計測値を定性的な評価結果と紐付けしていきます。例えばA社のAモデルの旋回特性がポジティブなら、Aモデルの旋回時の6軸の加速度変化やホイール周りやシャシーの剛性を計測して、旋回特性の中身もいくつもの指標で分解して、計測値と特性とを結びつけていきます。更に旋回特性の目標値(理想像)を描き、新構造や新技術を織り込んだ解析モデルを作成して、CAE解析によって達成される旋回特性を予測します。この予測の精度を推し量るために、ベンチマーク評価のデータと付き合わせを行うこともあります。こうして、CAE解析である程度の造り込みが行われ、最初の試作車が設計、製作されます。最初に製作された試作車では、予測した特性とのギャップが計測され、その原因が検討され、目標値へ近づけるための調整が行われます。

1st プロトタイプ(バイクの場合)

バイクの場合は、少し様相が異なります。
自動車では、走行時の挙動へのドライバーの寄与率がそれほど高くないため、訓練を受けたドライバーが操縦している限りは、車両の特性のみを計測することが容易です。しかしバイクの場合は、挙動へのライダーの体格や操縦方法(ライディングスタイル)などの寄与率が高く、車両の特性のみを計測することは容易ではありません。そこで、基本的には訓練を受けた実験ライダーの定性的な評価を基に開発が進められます。フレーム剛性やサスペンション特性などはCAE解析は行いますし、実際に計測もしますが、あくまでライダーの定性評価を信じて、積み重ねたノウハウを基に、最初の試作車の調整が進められます。


続きは、また後日・・・

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