見出し画像

バイクや自動車の造り方(1)

バイクと自動車の両方の開発の、乗り味などと呼ばれる定性的な部分の企画や評価に携わってきた技術者として、私が経験してきた手法を書き出していきたいと思います。
他にもこんなやり方ある・・・とか、それは違う・・・という指摘があれば、是非コメントをいただき、情報交換できるとありがたいです。


バイクや自動車の市場とは

現在のバイクや自動車は、形態的にも技術的にも、世間の期待も、概ね決まっている成熟した市場です。(ここでは、法的に自動二輪車とか自動車と定義されて公道を走れる乗り物で、モーターショーに出すような変わり種は除きます)
なので、宣伝文句で”新しい・・・”とか言っても、既存のカテゴリーに属し、ターゲット層は比較的容易に想定され、他社の競合モデルは存在し、市場では比較評価されます。

商品企画

まずは、どのカテゴリーでどんな購買層を狙うのかという大体の商品企画が検討されます。モデルチェンジだったり、ライバル社の競合モデルが少ないニッチなカテゴリーを狙ったり、ライバル社の調子がいいところにぶつけたり・・・理由は色々あります。

ベンチマーク評価

商品企画が決まると、競合モデルのベンチマーク評価を行います。競合と目される他社モデルを調達し、開発プロジェクトの主要メンバーで眺めまわし、乗り回し、評点をつけて、自分達の新型モデルの売りを決めていきます。
この評点の付け方がメーカーの特色になります。評価項目、項目ごとの評価指標、項目の優先順位、試乗会に集めるメンバーのバックグラウンドで、同じモデルでも評価結果は大きく異なります。
メンバー間でも評価はバラつきます。主要メンバーが集まって、喧々諤々と評価のすり合わせを行います。ここでよく話し合っておかないと、その後の分業の結果チグハグなものになってしまいます。
これは商品開発プロセスの中、最初に訪れる最も重要な部分です。

ベンチマーク評価の解釈

ベンチマーク評価の結果の解釈にも手間をかけます。
例えば、A社のAモデルのここが良かったけどここはイマイチ・・・とか、B社は相手じゃないな・・・とか、C社の出来はやべぇ・・・とか。他社モデルの良いところは、その理由も掘り下げて議論します。
ここで重要なのは、ベンチマーク評価の優劣は、その時の評価指標で見た時の結果で、市場での評価とは相関性が薄いことです。ここでしくじると、出来上がった新型モデルは独善的なものになり、市場では低評価だったり、珍車認定されたりします。なので、ここでは営業部などが持っている市場の意見をほどよく取り入れることが重要です。
ほどよくというのは、その時の市場の見解はその時点でのものなので、真に受けると市場の期待を超えるものが出来ません。

続きはまた後日・・・


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?