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【映画】「大名倒産」1人目になる勇気と2人目を信じる気持ち

というわけで、映画「大名倒産」を観てきました。予告編のコミカルな感じがとても気になり、楽しみにしていたのですが、期待通り、笑って泣けるコメディ映画でした。今回は、映画「大名倒産」について深堀していきたいと思います。また例によってネタバレ有りとなりますので、ご了承ください。

まずはストーリーのご紹介から!

越後・丹生山(にぶやま)藩の鮭売り・小四郎はある日突然、父から衝撃の事実を告げられる。なんと自分は徳川家康の血を引く、大名の跡継ぎだと!庶民から一国の殿様へと、華麗なる転身…と思ったのもつかの間、実は借金100億円を抱えるワケありビンボー藩だった!?

先代藩主・一狐斎は藩を救う策として「大名倒産」つまり藩の計画倒産を小四郎に命じるが、実は全ての責任を押し付け、小四郎を切腹させようとしていた…!残された道は、100億返済か切腹のみ!小四郎は幼馴染のさよや、兄の新次郎・喜三郎、家臣の平八郎らと共に節約プロジェクトを始めるが、江戸幕府に倒産を疑われ大ピンチ!果たして小四郎は100億を完済し、自らの命と、藩を救うことが出来るのか!?

公式ホームページより引用

ちなみに実は将軍のご落胤・・・というネタは、会津藩初代藩主保科正之公を彷彿させますし、なんといっても大借金の返済に成功したといえば上杉鷹山公。そのあたりのエッセンスが入った設定なのかもしれませんね。どちらも清廉潔白。今回の主人公の小四郎とカブります。

次に豪華キャスト陣のご紹介です!

殿になった途端に次々とピンチに見舞われる、巻き込まれ系プリンス・松平小四郎を演じるのは、幅広い層から愛される国民的俳優・神木隆之介。さらに杉咲花、松山ケンイチ、浅野忠信、佐藤浩市など超豪華キャストが集結!

公式ホームページより引用

こちらはメインキャストですが、こちらに書かれていない面々も超豪華!小日向文世さん、宮崎あおいさん、梶原善さん、小手伸也さん、勝村政信さん、高田延彦さん、石橋蓮司さん・・・と若き座長(神木くん)を盛り立てるために、みなさんシーン数は少ないですが、おいしい場面をかっさらっていきます。

肝心の内容はどうだった?

ちょっとだけ映画オタク臭を出してしまいますが、古き良き「松竹調」の時代劇という感じでした。「男はつらいよ」の山田洋次監督を代表する、あの松竹らしいアットホーム感。予告編のコミカルさでお分かりの通り、全編明るいタッチで描かれています。口調も現代語になっていますし、特に主演の小四郎はとにかく「オーバーリアクション」、そしてすぐに「叫ぶ」。ま、これがいいんです。だって誰でも急に「君、今日から殿ね」って言われたら「えーーーーっ!!!」ってなりますよね。

女性陣がいい!

そして小四郎の幼馴染の町娘役を演じた杉咲花さんがいいんです。元気いっぱい、年齢とか立場に関係なく、思ったことをハッキリ口にする、ま、もちろん「お芝居」だからできることだと分かっていても、バッサリと江戸侍たちの謎風習をぶった斬るところは本当に笑えます。また小四郎のお母さんを演じた宮崎あおいさんも素晴らしい。というか、あの笑顔は反則でしょうという、久しぶりに拝見しましたが、変わらぬ表情にやられました。

周りで支える強力バイプレイヤー陣!

小四郎のお父さん役の小日向さんが上手なのは言うまでもないですよね。今回も泣かせてくれます。そして小四郎の教育係の浅野忠信さん。同世代としてはカッコいい、クールな浅野さんというイメージが強いのですが、最近コメディも上手で場をかっさらっていました。家臣役の梶原善さん、小手伸也さんともに劇団出身ということもありますし、実力ある方々なので安心して見ていられます。さらには幕府側の勝村政信さん!これは絶対に「時代劇」映画やドラマに出てくる老中のパロディをやってるんだと思います。いつもの勝村さんと全然違うのでわかりませんでした!

老中首座の石橋蓮司さんもやはり上手い!これまた「おぬしも悪よの~」の世界を完全に茶化しに来ている感じで爆笑でした。そして最後に小四郎の実の父である佐藤浩市さん。浩市さんはもう・・・日本を代表する俳優の一人ですから、何をやらせても天下一品(とはいえ、個人的には三谷幸喜作品であれこれやらされている佐藤浩市さんが好きなんですけどね・・・)。今回はサポートの立場からしっかり映画を引き締めていました。

いよいよ本編内容の感想です

もちろん、こんなにうまくいくもんかねー、と斜に構えてしまえばそこまでなのですが、それは「無粋」というもの。今回は現代の貨幣価値にして100億円という大借金を、一介の若者がなんとかして返済しようと奮闘していくサクセス物語なので、そのあたりは純粋に映画を楽しみましょう。私の好きな「チーム論」としても見ることが出来ます。まずは小四郎の幼馴染のさよちゃん。不器用な小四郎を見ていられずお手伝いをすることに。そして巻き込まれていく家臣団。さらに異母兄弟たちとも絆を作り、徐々に仲間が出来ていく。

おそらく父もかつては藩政改革に乗り出したんだと思います。が、どうにもできずに結局借金は膨らむばかり。そしてどうにもにっちもさっちもいかなくなって「大名倒産」という手段を取ることに。小四郎と父が言い合うシーンはなかなか熱くなります。ま、小四郎の青臭さが際立つわけですが、逆にこのくらい清々しくなければ改革なんてできませんからね。しっかり前を見て、失敗することなど考えない無鉄砲さも持っている。しかし、だからこそ周りがちょっと心配になり一緒に手伝う・・・まさに現代のリーダー像の一つに見えてきますね。

演出面と「エンディングのあとのエンディング」について

コミカルな演出がすごくよかったと思います。時代劇だからとか映画だからといって堅苦しい重苦しい時代モノだと気がめいりますよね。だってこっちは楽しむつもりで「映画」を見に来ているんだから。120分楽しませてください!って感じですよね。そういう意味ではほとんどダレずにテンポよく(良すぎ?)進んでいきます。ところどころテロップだったり、「あと○日」というような煽りも入り、そういったところもなかなか笑えました。

そしてエンドロール。ここはGReeeeNの曲が使われているんですが、例によって歌詞がいい。「1人目になる勇気と、2人目を信じる気持ち」というような内容も含まれていました。小四郎そのものですよね、改革を成し遂げるぞ!という勇気と、自分についてきてくれる仲間を信じる気持ち。いやー、GReeeNの曲って本当にこういう熱いテーマにぴったりですよね。さらにエンドロールが往年のハリウッド映画とか80年代、90年代の日本のテレビドラマのラストのようにキャスト陣の見せ場が用意されています。というよりダンスですが。映画全編がコメディなんで、全然ありだなと思いました。むしろここのシーンだけでも何度か見たいくらいです。ぜひぜひおススメです。そしてその後にもエンディングがありますのでこうご期待ください。

・・・と、長くなりましたが語ってみました。いやー、やっぱり映画は娯楽。今は気分としてこうした元気になる、明るくなれるものがいいですね。キャストの皆さんのダンスシーンを見ると、製作途中も楽しんで映画作りをされたのではないかな、と思ってしまいます。そうした作り手の空気って伝播するんですよね、もし少しでも興味が出ましたらぜひぜひおススメです!



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