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共働き子育て世帯の最大の敵は転勤 転勤について思うこと

 専業主婦を前提とした昭和時代から一変し、現在は、共働き世帯が子持ち家庭の7割を占めている。私は、第一子が生まれたのを機に転勤のある新聞社から、転勤のない会社に転職した。これにより、子育ての難易度は大幅に下がった。

 私は現在、コンサルタントとして働いており、記者時代と変わらず激務である。激務で育児の時間がないという家庭も多い。それは事実だ。それでも、私は以前より家事育児には参加できており、家族と過ごす時間も増えている。
 そこで気づいた。子育て世帯にとって、残業や休日出勤以上に、深刻なのは転勤ではないかと。転勤が子育てをする共働き世帯にとってどれほど悪影響を及ぼすのかを考えたい。

妻が仕事を継続する場合


  1. 妻のワンオペ育児

 私は記者だった時に第一子が産まれた。妻は他の地域の会社に勤めているため、この時は単身赴任をしていた。平日はもちろん妻と子供に会えないし、休日も隔週で、妻の家を訪れる程度だった。さらにコロナが猛威を振るっていたため、感染状況を確認しながら、移動が可能かどうかを判断していた。この時、妻がワンオペで育児をしており、大きな負担となっていた。私自身もせっかく子供が生まれたのに会えないのは寂しかったし、帰省するのも体力的にきついでのこんな生活続くのだろうか、と不安があった。
 一方、今は家族と一緒に暮らしているので、毎日子供と顔を合わせることができるし、激務とはいえ在宅勤務が中心で自宅にはいるため、家事育児に参加することもできる。

2.保活の苦労が無駄になるかも

 保活(子供を預ける保育園を探す活動)は本当に大変だ。記事ではよく読んでいたが、まさかここまでとは。私は、関東で保育園を探したが、結局、1年待っても認可保育園に入れず、認可外保育園に預けることになった。この間、自治体とのやり取りとか、保育園の見学とか、本当に苦労したが、子供の将来のために教育方針を調べながら保育園を探した。
 転勤族だとどうだろう。そもそも頑張って保育園を見つけても転勤の辞令によりすぐに退園しないといけないとか、また一から探すことになるとか考えるとモチベーションが上がらない。転勤先の自治体によって、保活の難易度も異なり、考えるだけで精神的にきつい。

3.子供を授かれない

 そもそも単身赴任していると子供を授かることが難しくなる。
子供が欲しくても夫婦で夜を過ごすのは月に数日。そこが妊娠しやすいタイミングとは限らない。転勤族の友人は「子供が欲しいが、排卵日に会おうとか計算できないし」と真剣に悩んでいた。子供が欲しい家庭は人生設計が狂うし、少子化の加速にもつながるのではないか。

妻が仕事を辞める場合

1.妻のキャリアを犠牲

 「今の仕事を続けたい。仮に転職したって、転勤したらまた辞めないといけないよね」。妻と話しているときにそう言われたことを今でも覚えている。私が転勤族である限り、妻は正社員として働くことが難しくなる。
 友人を見ていても、労働意欲のある女性が働くのをあきらめているケースは夫の転勤が理由であることが圧倒的に多い。大学を卒業したり、資格を取得をしたりと、努力を積み重ねてきた女性が、夫の転勤でキャリアを犠牲にしてもいいのだろうか。人口減で人手が足りなくなっているのに、働き手をさらに確保できなくなるのではないか。

2.長期的に世帯収入減

 妻が正社員として働かなければ、当然収入は減少する。我が家も妻の収入がなければ生活は厳しい。
 夫1人で家族を養うのは非常に難しい時代だ。年収が上がっても所得税や、社会保険料の支払額が増加し、手取りは大きく増えない。年収によっては児童手当の支給もなくなってしまう。物価高で家賃、食費、日用品が高騰する中で夫の収入だけで家計を支えられる世帯がどれだけあるのだろうか。

 各種統計を見ていても「子供をほしくない」「2人目を考えられない」と回答する理由として、経済的な負担をあげている方も非常に多い。
 ダブルインカムであれば、長期的に収入も安定するし、安心して、子育てをすることも可能となる。

転勤は専業主婦が前提の制度


 私は元々転勤否定派ではなかった。父親が全国紙記者だったので転勤が多く、小学校は3校通った。自分も全国紙記者となった以上、転勤の覚悟はできていたし、色々な土地に行くのは楽しみでしかたなかった。
 価値観が変わったのは子供の誕生がきっかけだった。単身赴任生活が長く「人生、このままでいいのだろうか」と思うこともあった。
 よく考えると実家とは大きな違いがある。母は、父と結婚するときに勤めていた会社を退職し、専業主婦になったことだ。当時は、それがよくあるパターンだった。そのため、母は、父の転勤にもずっと帯同しており、家族全員で暮らすことができた。転勤は専業主婦を前提とした制度であると身をもって感じている。

転勤がストレスなら転職を


 私自身、転勤のない会社に転職したことで上記の問題を一掃できて、子育て環境は大幅に改善した。転勤が子育てのハードルとなっているなら早めに転職をするのも手だ。友人や保育園のパパママも転勤、そして単身赴任には本当に苦しんでおり、転職も視野に入れているようだ。

 もちろん転勤にも人材育成や、職場活性化とかのメリットはあると思う。ただ、共働き世帯が子育てするうえでは問題のある制度であることは間違いない。大企業の経営幹部の世代は、妻が専業主婦であることが当然で、ほとんど育児に参加していなかったから、理解してもらうことは難しいと思う。子供が生まれた時、転勤に大きなストレスを感じるなら、すぐに転職できるよう、汎用的なスキルを身に着けることが重要だと感じている。

#記者
#転勤
#働き方


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