No.12 ピザーラ 「生地篇」

https://m.youtube.com/watch?v=gxOGrI_bfOY


[企業・商材について]

デリバリーピザを販売している企業。売上シェアは1位。味にこだわっており、軽井沢の有名なパン屋「浅野屋」と生地を共同開発している。また、食材は冷凍ではなく、生のものを使用し、店舗でカットしている。


[ターゲット]

10代〜40代の男女。主なターゲットは、ファミリーや、友人と家で過ごしている人。


[企画の思考プロセス]

「ピザーラは食材にこだわっている」という事実がある。具体的には、軽井沢の有名なパン屋「浅野屋」と生地を共同開発している。

そのまま伝えても受け手の印象に残らない。なぜなら、食品を扱う企業で「食材にこだわっている」というメッセージを発信しているCMはありふれているから。

比較対象があれば、印象に残すことができる。架空の競合他社をつくり、その企業が美味しさよりも利益を優先する姿勢であり、劣悪な食材を使っていることを伝える。それと比較して生地の情報を伝えれば、食材にこだわっていることを受け手が実感しやすくなる。


[CMの仕掛けを簡潔に言うと]

「ピザーラが食材にこだわっていること」を受け手が実感しやすくするために、劣悪な食材を使っている架空の競合他社をつくる。


[演出のポイント]

■ピザブラックが現実離れしたお店として演出されている。

ピザブラックは、現実では考えられないほど劣悪なお店として演出する必要がある。なぜなら、少しでも他の企業を想起させると良くないから。日本人の感覚として、比較広告(他社や他社商品の名前を具体的に挙げ、貶める広告)は受け入れられにくい。もしも、他社を想起させるような表現にすると、ターゲットから嫌悪感を持たれる可能性がある。例えば、「ユニフォームのカラーが他の専門店に似ている」「生地に冷凍製品を使っている」などの表現をした場合は、その危険を伴う。

その点、ピザブラックの店員が、派手なアクセサリーを着けていたり、髪型がモヒカンなど、飲食店としてはありえない格好をしている。また、生地にはパンの耳を固めたものを使用している。現実離れした、ユーモアのある演出として、ターゲットに受け入れられやすい表現になっている。


[自分がクリエイターだったら]

■浅野屋の生地を使っていることを後半で伝えたい。

元のCMでは、ザーラが浅野屋の生地を使っていることを伝えた後にピザブラックの生地のことを伝えているが、順番を逆にしたい。

ピザブラックが出てくるまでは、特に工夫が見られない普通のCM。そのため、ここまででピザーラの魅力を伝えても、ターゲットに無視され、記憶してもらえない可能性が高い。それよりも、ピザブラックの生地がパンの耳であることを伝えて、「じゃあ、それに比べてピザーラはどうなの?」と感じてもらった上で伝えたほうが、ターゲットに届きやすいと考える。

また、前半部分をもっと陳腐にしたい。元のCMは、少しだけ陳腐なので、普通に「ちょっとダサめなCM」という第一印象を与える可能性がある。それよりも、振り切って陳腐に見せて、「他のCMと違う」という第一印象を与え、無視されにくくしたい。

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