No.20 メチャカリ 「ショップ店員さんがまだ、苦手です篇」

https://www.youtube.com/watch?v=DD6pY1j075Q


[企業・商材について]

ウェブ上のファッションレンタルサービス。月額5800円(税別)を支払えば、登録されているアイテムをレンタルできる。運営しているのは、「earth music&ecology」などを展開するストライプインターナショナル(旧クロスカンパニー)。メリットは、ショップ店員とのやりとりをする必要がない、新しい服を次々と着ることができる、「買ったけど失敗だった」と後悔することがない、など。

いくつかある類似サービスの中でも、メチャカリは消費者に利用してもらいやすいと考えられる。理由は2点あって、新品であることと、期限がないこと。類似サービスの多くは提供しているのが中古品であり、レンタル期間の制限がある。


[ターゲット]

10代~30代の女性。ファッションに対する興味がライトな層。具体的には、興味を持ち始めたばかりの人や、「どちらかというと興味がある」という程度の人。

ファッションへの興味が強い人は、レンタルサービスを利用する可能性は低い。なぜなら、興味が強い人は店舗に行って眺めること自体を楽しみとしているから。

そのため、ターゲットとなるのは、比較的ライトな層であると考えられる。


[企画の思考プロセス]

ファッションレンタルサービス自体、世に出て間もない。消費者の中には、サービス内容や競合の有無などを知らない人のほうが多い。そんな中、サービス内容は複数の点で競合に勝っているので、サービス自体に興味を持ってもらえれば、メチャカリを利用してもらえる可能性は高い。

サービス内容は「ネットで服が借りれる」というシンプルなもの。サービス名とコピーを使えば、一つの画で伝えられる。そのため、サービスの具体的な説明よりも、メリットを伝えることに秒数を使いたい。

メリットは、ショップ店員とのやりとりをする必要がないこと。つまり、ターゲットにとってのストレスが無くなる。そのメリットを実感してもらうには、ターゲットが共感できるような「ストレスがかかっている状態」を映像にする必要がある。

店員に話しかけられて、嫌がっている女の子を映す。

具体的には、次のような表現にする。アパレルショップで、ヘッドフォンを着けている女の子が店員に話しかけられる。店員に気づかず、女の子はショップを去る。しかし、実はヘッドホンのイヤフォンはどこにも繋がっていない。つまり、ヘッドフォンは音楽を聴くためではなく、店員に話しかけられることを避けるためだけに着けている。

ヘッドフォンでカモフラージュするほど、店員とのやりとりに嫌悪感を持つ女の子を映し、ターゲットの共感を誘う。その解決策としてメチャカリがあることを提示することで、興味を持ってもらえる。


[CMの仕掛けを簡潔に言うと]

アパレルショップで店員とやりとりすることに嫌悪感を持つ女の子の映像を見せてターゲットの共感を誘う。そして、解決策としてメチャカリがあることを伝え、興味を持ってもらう。


[演出のポイント]

■上下に黒帯が入っている。

ファッションのCMであるため、受け手に「ダサい」と思われてはならない。「メチャカリを選ぶことは、格好良いこと」と感じてもらうために、格好良い映像にする必要がある。上下に黒帯が入っていることで、映画風のドラマチックな映像になっている。


[自分がクリエイターだったら]

■店員の位置を変える。

元のCMでは、主役の渡辺梨加さんの奥に店員がいる。店員の位置を渡辺さんとカメラの間(上手側、視聴者から見て右)にしたい。それによって、受け手は渡辺さんが見たいのに、店員の後ろ姿によって邪魔される。それはつまり「対象物に集中したいのに集中できない状態」。「洋服に集中したいのに、店員に邪魔されて集中できない状態」と似た状況を作ることで、ストレスの共感を誘う。


■コピーが出るタイミングを遅くする。

元のCMでは、「ショップ店員さんがまだ、苦手です」のコピーが出るタイミングと、イヤフォンの先が見えるタイミングがほぼ同じ。受け手はコピーを読むことと、イヤフォンを見ることを同時に行わなければならない。つまり、理解しづらい。そのため、コピーのタイミングを遅くしたい。

まず、イヤフォンの先を見せる。受け手に「店員を避けるためのカモフラージュだったんだな」と理解してもらう。その後、少し間を置いてコピーを出すことで、理解しやすくする。

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