No.8 コバエがポットン「ご意見篇」

https://m.youtube.com/watch?v=smKJDYz6P24


[企業・商材について]

KINCHOが販売しているコバエ取り。キッチンなどに置くだけでコバエを捕獲できる。競合商品が多く存在し、差異はほとんど無い。


[ターゲット]

主婦が主なターゲットだと考えられるが、10代以上のほとんどの人が対象になる。特に綺麗好きな人。


[企画の思考プロセス]

「コバエ取り」という商品は、使い方も目的も非常にシンプル。また、競合商品は多く、差異はほとんど無い。

「コバエがポットン」独自の魅力をアピールするのではなく、CMの目的を「受け手の印象に残すこと」に振り切る。実生活で「コバエがうっとおしい」と感じた時に、「そういえばコバエがポットンって商品をCMで見たな」と第一想起してもらうことを狙う。また、印象が強いほど流通の力も借りやすくなる。つまり、小売店で良い場所に陳列されやすくなる。

「クレーマー」を登場させる。実生活でもクレーマーを見かけるとついつい見てしまいがち。特に、言ってることが的外れなクレーマーだと滑稽で注目を集めやすい。他社のCMでも見ることがない表現なので、受け手の印象に残りやすい。


[CMの仕掛けを簡潔に言うと]

的外れなことを言う滑稽なクレーマーを登場させることで、受け手に強い印象を与える。


[演出のポイント]

■カメラアングルが一定。

クレーマーとは、怒っている人なので、迫力を出してしまうと受け手に嫌悪感を抱かれる可能性が高い。人に嫌われるCMにするべきではない。あくまで「滑稽な人」として見え、受け手が面白がってくれるように演出する必要がある。

例えば、顔のアップを映せば、人物に迫力が出る。また、カット数が多いと、映像に緊迫感が出る。今回のCMは、顔のアップの無い、一定のアングルで映し続ける映像になっているので、人物に迫力がなく、滑稽さが際立つ映像になっている。


■人物にかわいらしさがある。

嫌悪感を持たれないCMにするために、キャスティングは非常に重要だと考える。大切なのは、かわいらしさ。憎たらしいことを言っていても、人物に愛嬌があれば嫌悪感は抱かれにくい。その点、かわいらしさのある方が選ばれていると思う。

ぽっちゃり体型は、かわいらしい印象を与える。加えて、声が特徴的。甲高いと耳障りだし、低いと脅しているような表現になる。どちらでもない、少し幼稚な声なので、かわいげがある。また、エプロンがピンクなのも、年齢とのミスマッチ感を生んでいて、かわいらしさがある。


[自分がクリエイターだったら]

■ナレーションを変える。
ナレーションを、「困った電話をする前に」から「奇妙なクレーマーになる前に」に変える。目的は、CMの意図をわかりやすくするため。

受け手が、テレビの前で何か作業をしながら見ていたり、ぼーっと見ていたりした場合、CMの意図を理解してもらえない可能性がある。映像の動きがない分、言葉をしっかり聞いていないと「変なクレームをつけている人をあえて映し、面白さを出している」ということが伝わりにくい。

「困った電話をする前に」だと、「おばさんが困っている」という意味と、「電話の受け手が困る」という意味のどちらとも受け取れる言葉になってしまう。つまり、複雑になっているので、このCMの意図をわかりやすくするために、「奇妙なクレーマーになる前に」というナレーションに変えたい。

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