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【子育て】測定できる数字や定説を信じすぎない

 子供を持つ親ならば、わが子が健やかに成長してくれることを誰もが願う。勉強ができてほしい、"良い"学校に行ってほしいといった願いから、五体満足に育ってほしい、優しい子に育ってほしい、その願いは様々だ。自分が実現できなかったことを子供に期待する親も多いし、周囲のママ友・パパ友に影響される親もいる。

 学力、偏差値、IQテスト、GRIT(やり抜く力)…。測定可能な数値を上げようと血眼になる教育ママ(パパ)もいる。数値に出るものはわかりやすいので、目標にしやすい。これまで私もGRITに関連するnoteを書いてきたし、夢中になれる対象を見つけ、没頭するような人生を歩んでほしいとわが子に対し思っている。

 何が子供の(もしくは成人の)セルフコントロール・やり抜く力に影響を与えるのかに興味があるが、松岡正剛さんの下記の記事を見つけた。

 本書は、やっぱりアメリカ人が能力を算定しようとしすぎてきたことを告げているのがひどく気になった。IQもウソ発見器も犯罪心理官も独特なアメリカの産物なのである。とくにコカコーラとハンバーガーというファストフードによって、消費者全員の自制心を解体することは、マシュマロ・テストが実のところは市場主義者の考案物だったとさえ思わせる
 性格や能力を判定すること、そのための新しい指標を用意することは、アメリカ人はやたらに好きだ。つまりは自己開発大好き集団で、そのためのコンサルタント絶対ほしい派なのである。最近はGRIT(グリット)が大流行である。Guts(度胸)、Reslience(復元力)、Initiative(自発性)、Tenacity(執念)の4つの才能を兼ね備えているのが「やり抜く力」だというのだ。
 アンジェラ・ダックワースやリンダ・キャプランの手引書が日本でも出回っているが、女性のビジネスパーソンがGRITを推しているのが目立つ。どうやら彼女らはマッチョがお好きなようなのだ。この4項目は、まさにドナルド・トランプにぴったりあてはまるのに。

松岡正剛の千夜千冊

 テクノロジー・AIの発達で、人はその能力(の一部)を大きく伸ばすことができるようになりつつある。ネットには多くの情報・知識があり、SNSを駆使して、自分の理想とする人々と直接コンタクトできる。自分の現在地を把握し、次の1歩を踏み出すヒントを得られる若い人には、大きな可能性が開ける時代である。PDCAを回せる人とそうでない人では、人生で成し遂げられることに大きな違いがでてくる。

 そのうち、週休2日が3日になり、(生活の糧を得るためだけの)労働時間は減ってきて、自分のフリーな時間をどう使うかが、今よりも問われる。年齢を問わず。その時に、自分の好奇心の対象が多岐に渡り、やりたいことが多い人にとっては素晴らしい時代となる。そのためのテクノロジーもより廉価になっていく。
 
 自分の価値観や生き方の軸が定まっていない人は、いつまでもSNSやスマホの画面に費やす時間が多くなり、自分の人生の時間が搾取されていることにも気づかず、自分の思想が影響を受けていることにも気づかなくなる。その兆候は既にいたるところで見られる気がする。

 子供が中学生にもなれば、彼らは自分でより客観的に親を見るようになる。それまでは、親が自分の価値観に基づき、一方的に伝える立場だったのが、やがて双方向になり、子育ては別の形になっていく。そう考えると、意外に親が子供に影響を与えられる時間はもしかすると思ったほど長くはないのかもしれない。親が充実した人生を過ごしているかどうかを、子供は敏感に感じ取る。自分が成し遂げられなかったことを子供の私に押し付けないでほしいと、面と向かって言うことももしかするとあるだろう。

 数字で測定できない「価値あるその子ならではの、ダイヤモンドの原石」を親の自分が見つけられるか、見つけようとしているのか。なにより、親であるあなた自身が自分の人生を充実して過ごしているのか。言葉だけでなく、どんな背中を子供に見せているのか。実はそれが、一番子供に大きな影響を与えるのかもしれない。

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