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お金の不都合な真実

コロナウイルスの拡大に伴って、証券講座を開く人が急増しています。
私は良い流れだと思っています。なぜなら、資本主義は資本に味方をするようにできているからです。
(なお、私は金融業界の人間でも、金融商品を販売する立場の人間でもありません)

お金は、お金のあるところに集まる

トマ・ピケティ氏の『21世紀の資本』という書籍をご存知でしょうか。
一時期話題になり、最近映画化もされましたが、その書籍の主張を一言で表すと、以下のようになります。

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(資本収益率は、経済成長率を上回る)

つまり、お金持ちはよりお金持ちになり、そうでない人は(相対的に)いつまで経っても裕福になれないということを表しています。

アメリカのウォール街を占拠せよで話題になった"We are the 99%"は経済に仕組みとしてビルトインされていたのです。

今までの歴史を振り返ってそうであったとピケティ氏は示していますが、今後、無限に複製可能なデジタルテクノロジーはこの流れをさらに加速させるでしょう。

良い悪いではなく、こうなっているのが資本主義なのです。

大規模な金融緩和は誰のため?

現在のコロナショックで景気悪化に備え、各国の中央銀行は異次元の金融緩和をしています。実体経済の伴わない株高は中央銀行の債権・株式・ETF買いによって実現されています。

量的緩和の一番恐るべきはインフレです。
下手をすると、昨日100円で買えていたものが急に200円になる世界が来ます。もちろん、賃金は急には上昇しません(賃金の硬直性と言います。賃金は簡単に下げられないものだからこそ、急にはあげられないのです)。だからこそ、今まで中央銀行は量的緩和には非常に慎重に議論されてきました。

それでは、現在かつてないほどのお金が市中に流れているのに、なぜインフレにならないのでしょう?2倍のお金が流れているのであれば、お金の価値が半分になり、物価が2倍になっても良いはずなのにそうならないのはなぜでしょうか?

きっと、実は既に金融商品がインフレしているのでしょう。8月現在、既にコロナ前の株価に戻りましたが、先を織り込んでいるという株式市場でもさすがに戻りが早いのではないかと思います。当然、出口戦略も検討はしているのだと思いますが、最終的に株高で得をするのは”資本を持つ人たち”になります。

そしてインフレは低所得であるほど、危険です。手元の資産が少なく、日々のキャッシュに頼る割合が高いからです。
一方で、資本家は資産を分散しているため、インフレに比較的強くなります。

経済を救うための政策も弱者にとって一番リスクがあり、強者にとって有利に働くようになっているのです。(認識の齟齬などあれば、コメントにてご指摘いただけると嬉しいです)

さあ、持つ側に回ろう。

資本主義は、強いものに優しく、弱いものに厳しくできています。
このルールの良し悪しを議論するのもよいでしょう。なぜ、労働所得の課税が最大50%なのに、不労所得である株式の利益への課税は20%なのかは議論したら面白そうです。

でも、その仕組みの操縦桿を握っているのは誰でしょうか?半分の人は選挙にいかず、エリートビジネスマンの資産家がアメリカの大統領になるのが資本主義でもあるのです。

働いて稼いだお金は清くて美しいかもしれませんが、資本主義が微笑むのは資本に対してです。コロナで家にいる時間が増えてきましたが、この機に資本について考えてみませんか?


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