自分でボールを持ってはいけない。
仕事ができない人は、自分でボールを持ってしまう人だと思う。
小学生の頃、僕はサッカー少年だった。ミッドフィルダー、いわゆる司令塔的なポジションだったわけだが、よく監督から怒られたことがある。「新平、お前はいちいちボールを持ちすぎだ」
ボールコントロールに自信のあった僕は、パスをもらうたびに一回トラップして、周りを伺いながらドリブルし、何かのタイミングを見計らう癖があった。たまにいいパスは出せているし、相手に取られたわけでもないのに、怒られる理由が分からなかった。
少しあとになって、欧州のプロリーグの試合を見て、何がダメだったのか分かった。彼らは可能な限りダイレクトでどんどんパス回しをし、基本的に最速のテンポで展開することで、気持ちのいいリズムをつくり、ゴールを決めていた。ああ、なるほど。無意味にボールを持つことは、全体のスピードを殺し、リズムを崩し、チャンスを失うことなんだなと。
これは仕事でも同じだ。仕事ができない人ほど、期限も切らずに一回自分で抱え込もうとする。自分に知見がないことや他者ありきの話を考えても、当たり前だけど何も前に進まない。最終的にギリギリになってから「あれどうなったの?」と突っ込まれて、評価を下げるのがオチだ。(正解のない制作仕事は別だが、それでも期限を切るだけでも動きのモノサシができる)
以前、新R25で「ビジネスをうまくいかせる連絡のルール」みたいな取材を受けたが、僕だけではなく全員が「即レス」と答えていた。これはどういうことかと言えば、自分でボールを持たないということだ。世の中はロジックではなく、実はリズムで動いている。それにうまく乗れれば、一流のチームのパスプレーを楽しむことができるし、乗れなければ傍観するしかない。
これはお金も一緒。ただ無意味に溜め込んでも、そこから何か流れが生まれることはない。過去にケチらず、未来にうまく使う人に、ボールのように回り回ってお金は流れてくる。
ボールを手放すことができないのは、周りに信頼してパスできる人がいないのではなく、自分に相手を信用してパスする覚悟がないだけだ。でも、パスは実戦の中でパスの経験を積まないとうまくならないように、仕事の振り方もチームの作り方も、お金の活用もやってみないといつまでも下手クソなままだ。だからまずはメッセージの即レスを心がけよう。このnoteをシェアすることも、ある意味で良いボール回しだと思います。