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ウシにまつわるエトセトラ

丑年である。

いったい今年何歳になるのかなんて考えたくもないけど、
とにかく年男なのだ、今年。

丑年、というと思い出すのが、祖父の記憶だ。

祖父が熱心な仏教徒だったかは知らないけど、
毎朝、毎晩、仏壇に向かってお経をあげていた。

「ぶっせつまかはんにゃはらみたしんぎょう・・・」

一通りお経をあげたあと、

「しんぱち、昭和○年、丑年の生まれ、
人に迷惑をかけない人に育ちますように、
嘘をつかない人になりますように…」

こういうお祈りのようなものが始まる。

祖父の家にいるときは毎朝、毎晩これを聞いていた。

とにかく、この「丑年の生まれ」というフレーズが耳にすごく残っていて、
「丑年」と聞くと、祖父のお経を思い出す。

そして、実際そんな人間になったかどうかは別の話として、
嘘つくな、迷惑かけるな、って祖父の教えが、
何十年たっても、声からリズムから耳にずっと残っている。

小さい頃に祖父と何を話したかなんて何も覚えてないけど、
お経とこの教えだけは頭にしみこんでいる。
実はこれをすり込むためにお経あげてたのか!?って思うほどだ。

というわけで、丑年だ。

もともと十二支の丑と、動物の牛は関係なかったようだけど、
丑と言えば牛だ。

最近、牛には感謝している。

何かというと、牛のおかげで睡眠が取れるようになったのだ。

昨年の暮れぐらいから、
思うように睡眠が取れなくなって、
寝ても2時間ほどで目が覚めて、
その後、朝まで眠れないみたいな状態がずっと続いていた。

睡眠サプリを試しに飲んでみたりしたけど効果ゼロ。
ちょっとだけお酒を控えてみたり、
酒を抜いてみたり、そうすると少し長く眠れるけど、
やはり効果は薄くて、いろいろと試してみたけど、
どれもあまり効果がなくて、あきらめかけていた。
試しに寝る前にホットミルクを飲んでみたら、
これが嘘みたいによく眠れたのだ。

あまりお腹に自信がないのと、
寝る前に牛乳とか太りそう…とか、
実は寝る前に牛乳を飲むのはNGだとも聞くし、
なんとなく敬遠していたんだけど、
やってみたら、なんてことはない、とにかくよく眠れた。

何でも試してみるものだ。
始めてまだ5日目だけど、この5日間の睡眠の快適さ!
朝まで眠れてる。ああ幸せ!

ほんとうに牛乳のおかげなのかよくわからないけど、
とにかく、飲み始めてから改善されたので、
牛の乳には感謝している。

牛、やっぱり好きだ。
丑年生まれだからだろうか。
関係ないよな…。

すき焼きも好きだし、ステーキも好きだ。
横浜人のソウルフード、ハングリータイガー(牛100%)にはラブしかない。

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牛さん、ありがとう!

そう言いたい。

牛と言えば思い出すゲームが2本ある。

一本はセガサターンのゲームソフト、
稲川淳二監修の「古伝降霊術 百物語 ほんとにあった怖い話」だ。

これ、ゲームというか、怪談を百個聞いてロウソクを消していくっていう、
よくわからないソフトだ。つーかたぶんクソゲーだ。

このゲームの中に、子どもの頃に見たCMの記憶についての怪談がある。

体験者が子どもの頃に見た「ウシ印石鹸」の
CMに出てくる牛のロゴが怖かったという話。
モノクロの牛の黒目がギョロっとこっちを見てるCMで絵自体も少し怖い。
…CMとして失敗だろう、これ。

それで夜中にふと起きると放送が終わったテレビがついていて、
砂嵐がザーってなってる画面にその牛のロゴが浮き出してきて、
テレビから牛の首が出てくるという…

「貞子か!」って話なんだけど、映画「リング」よりは前のゲームで、
テレビの砂嵐から牛の顔が出てくるって画面が異様な感じで、
怖いというよりは笑えるんだけど、この話だけ妙に覚えている。
ほかの100個の話はほとんど覚えてない…。

もう一本が「空手道」っていう1984年のアーケードのゲーム。

4方向のスティックレバーを2本使って、
その組み合わせで20種類以上の技を出して戦う世界初の対戦格闘ゲーム。

このゲームの何が牛なのかというと、ゲームを進めていくと途中で、
「さあ牛だ!」のかけ声とともに牛と戦うボーナスステージが始まるのだ。

ただ、このゲームが難しくて…50円が一瞬で消える。
とても牛まで行けず、上手に遊ぶ年上の人をむっちゃうらやましく見てた。
「牛と戦いたい」そう思っていた。

少し前に年賀状を作る際に、牛のモチーフを探していて、
ふとこのゲームのことを思い出した。
この牛を年賀状に使おうかなと思って
調べたらswitchのアーケードアーカイブにあったので買ってみた。

便利な時代だ。
買いにいかなくても、その場で買ってすぐ遊べる。

なつかしく思い出しながらプレイ。

…激ムズ。何これ。
これに1プレイ50円使ってたの?
秒で消えるんですけど…。

牛が出てくるのは、全国大会で勝ち進んだ先の
ボーナスステージのはずなんだけど、とにかく勝てない…。

まず全国大会への道のりが遠い。遠すぎる。
ウシよ、ファーラウェイ。

まず道場での稽古試合があるんだけど、これにちっとも勝てない。
2勝しないといけないのに、1勝しても、2戦目で負ける…。

何度も何度も戦う。

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この道場の門を何度くぐっただろう…。

とにかく修練あるのみ。せいや!

挑み続けること何十試合、何とか稽古相手に2連勝!!

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いざ全国大会へ!

しかし初戦敗退…。

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また道場での稽古試合から再スタート。
コンティニーとか、そういうのはないのね…。

負けたら最初からか…。

全国大会で2勝すれば牛が出てくるはずなんだけど…

意地になってひたすらやり続けた。
久々にゲームらしいゲームをやってる感。
覚えて、試して、失敗して、繰り返して。
アドレナリン、ドーパミン、変な汁もドバドバだ。

思いはひとつ。牛に会いたい。
それだけだ。

ただ、思い知ったのは「オレ、ゲーム、ヘタすぎ!」ってことだ。
うすうすヘタなんじゃないかと思ってはいたけど、
ここまでヘタだとは。

でもコツコツやっていくと、何となくコツはつかめてくる。
技の出し方もだいたいわかってきた。
最初は惨敗していた稽古試合は意外にすんなりクリアできるようになって、
全国まではふつうに行けるようになった。

それでも全国に行くと負ける。
何が悪い?
対戦相手が強くなっている気はしない。

明らかに自分のプレッシャーの弱さが負けにつながってる…。
あと一つ、あと一つ勝てば牛に会える。
その焦りで思わぬミスをしてしまう。

じつはこれメンタルの問題なのでは?
とにかく心を無にすることにした。

あとどれだけ勝つかではなく、
黙々と積み重ねた修練の成果をだすことに注力した。

マインドセットを変えて挑んで、何度目かのプレイ。
気がついたら全国大会で2戦目に勝利していた。


やったーーーーーー!

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うぇーーーーーーい!!!

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「さあ牛だ!」ってセリフと共に牛登場。

海辺に現れる一頭の牛。

きたきたーーー!牛きたーーー。

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やっと会えたね。

・・・・・・


踏みつぶされた。

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無念…。しかし、なに、この達成感!

もう当初の目的はどうでもよくなっていて、
けっきょく年賀状にこの牛のモチーフは使わなかったけど、
積年の思いを遂げることができた。

今年はいい「ウシ年男」を過ごせそうだ。

ありがとう!ウシ! そしておつかれさま、オレ。

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