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【心理学/脳科学】行動と感情は伝染する

飲み会の場で誰かがスマホや腕時計で時間を確認するのを見ると、つい自分も「あれ、何時だろう?」と時間を確認してしまうというような経験はないでしょうか?

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無意識に人の真似をしてしまうことはよくあることです。

真似をするのは人間だけではありません。サバンナで1頭のシマウマが走り出すと群れが一斉に走り出したり、1発の銃声で鳥が一斉にダーッと飛び去るのも同じと言えます。

これは心理学用語で「行動伝染(Contagion of behavior)」といいます。

今回はどうしてこのような行動伝染が起こるのか、どのくらいの頻度で起こるのかなどについて過去の研究などを参考にしながら書いていきたいと思っています。

大通りで急に空を見上げると、周りの人もつられて空を見上げてしまう

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行動伝染に関して、アメリカの心理学者アンドリュー・ギャラップという方が「急に空を見上げたら周りの人はどうなるのか?」ということについて、リアルな街中で実験を行っており、その結果が興味深いので紹介したいと思います。

彼は賑やかなオックスフォードのショッピング街で通行人2,822人が歩く中、
5人の演者を立たせ急に立ち止まって空を見上げる行為をさせたときに周りの人がどんな反応をするか?という実験をしました。

結果は、全通行人の26.9%(760 / 2,822)が、演者が向けた視線の先を確認するような動きをし、そのうち14.2%(108/760)が空を見上げるために歩くことをやめたといいます。

この行動伝染は、性別の差がなく発生することがわかりましたが(男性= 28.8%、女性= 26.2%)、とりわけ男性は視線の先を確認する時間が多かったことを示しております。

感情も伝染する

行動だけではなく感情も伝播は起きるということをシカゴ大学のDeborah Rozman博士がThe energetic heartという出版物のなかの論文で証明しております。

心臓の発する電磁波は脳波が発する磁場成分の約5,000倍ほど大きいとされ、約1〜2m離れている場所からでも計測が可能と言われています。
彼女はその心臓は電磁波を同心円状に発しており、周囲にいる人にもシンクロする形で影響を与えるというのがこの論文の主張になります。

ポジティブで規則正しい心臓のリズムは付近にいる人にも伝播し、心臓と脳波のリズムが良い具合にシンクロすることで、その次に呼吸や血圧、皮膚の電気信号なども整い始め、最終的には体が最も良い状態になるといいます。

さらに彼女は論文内で握手をしたときに心電図と脳波がシンクロしたという結果も発表しており、握手がもつ効果が興味深いと思わせる内容になっておりますので、ぜひ気になった方がいらっしゃれば読んでみるのが良いかと思います。

左は手を繋いでいない時の脳波と心電図、右は手を繋いでいる時の脳波と心電図
手を繋ぐことで心電図と脳波がはっきりとシンクロしているのがわかる

実は人間⇔ペット間でもシンクロする

興味深いのは人間通しだけではなく、人間とペットの間でもこの心臓のシンクロは起きるといわれております。

同じ部屋にいる犬(Mabel)と男の子(Josh)の心電図が傾向として完全にシンクロしている

夫婦間の喧嘩をしていると犬が逃げていく、というのはこういった心の乱れというのが実はペットにも悪影響を与えており、それを察知しているとも推測することが出来るでしょう。

良いチームを組むと脳が活性化する

スポーツやプロジェクトの中で一般的に見られることですが、質の良いチームを形成すると目標を達成するために高いパフォーマンスを発揮できる"チームフロー"という状態が作られることがわかっています。

豊橋技術科学大学 Mohammad Shehata准教授をはじめとする研究チームは人間が活動しているときの心理状態を ①一人で活動しているソロフロー、②集団で活動しているチームワーク、③チームのみんながゾーン*に入って状態しているチームフローという3つの状態を定義し、それらの状態の時の脳活動を計測しました。

するとチームフローの状態に入った時には、脳の左側頭葉がベータ波やガンマ波といった周波数を出しており非常に活発な状態にあるということがわかりました。

このことは、ビジネスやスポーツ、音楽、芸術などといった人の感情がパフォーマンスに直結するようなシーンにおいて、チームを形成することの大きな意義を表しているようにも思えます。


「カバン持ちは出世する」は本当か?

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「カバン持ちは出世する」なんて聞くと、ちょっと昭和のにおいがするフレーズかもしれません。

しかし経営者や政治家の近くにいて、鞄を持ち歩くことで自然とその人の行動や感情が伝播し、知らず知らずと自分自身が経営者のリズムをまとっていると言えるのかもしれません。

最近ではコロナで「カバン持ち」をする機会というのも減っているのかもしれませんが、自分が幸せを望むなら、その幸せを持っている人の近くで行動することで一歩近づけるようになるかもしれません。

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-----------------------------以下参考文献-----------------------------

1:Andrew Gallup:Visual attention and the acquisition of information in human crowds https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1116141109


2:それ「心理学」で説明できます!  清田予紀

3:チームが極度の集中状態「ゾーン」に入り高パフォーマンスを発揮する「チームフロー」の脳活動を豊橋技術科学大学が解明
https://jp.techcrunch.com/2021/10/07/toyohashi-univ-ravels-team-flow/


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