プロジェクト管理のプロが実践するWBSの作り方
事業やプロジェクトなどチームで動くものには、タスク管理とスケジュール管理が欠かせません。
2〜3人の少数であればチャットなどのテキストコミュニケーションで把握することも可能ですが、関わるメンバーが多くなってくると、それぞれのタスクやスケジュールをテキストで把握しきることは不可能です。
そのため、
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①プロジェクト完成までに必要なすべてのタスク
②各タスクの担当者
③各タスクの期限
④タスク同士の依存関係
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が一覧になっているものが必要になり、ビジネスシーンでは「ガントチャート」または「WBS」が利用されます。
WBSに馴染みのない方のために少し補足すると、WBSとは、Work(作業)Breakdown(分解)Structure(構造化)の略で、その名の通り、プロジェクト達成のために必要な作業を分解して構造化したもののことです。
どちらかというとガントチャートを利用する人が多い印象ですが、私自身は以下のような理由でガントチャートよりもWBS(Excelまたはspread sheet)での管理を行います。
これらの理由から、基本的にはガントチャートではなくWBSで管理するようにしています。端的に言うと、ガントチャートのほうがWBSより細かくしっかりしているので、返ってメンテ作業が大変になり、流動的なプロジェクトには向かないと考えています。
大事なポイントは、WBSのメンテコストを最小限にすることです。管理者自身がメンテが面倒だなと思うようなものは、誰も使いません。
ここからは、簡単に高品質なWBSを作成するための手順をご紹介します。
まずは、WBSの完成イメージを頭に入れておきましょう。
下記が、私がよく利用するパターンのWBS完成イメージです。
【STEP①】必要な入力項目を用意する
まず、入力項目として下記の5つの欄は用意しましょう。
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① 作業項目(タスク)
②担当者
③ステータス
④マイルストーン
⑤スケジュール
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もし、もっと詳細に管理したい場合には、基本の上記5項目(①〜⑤)にさらに2項目(a〜d)を加え、下記の7項目を用意することがあります。ただし、項目が多くなればその分管理やメンテナンスも大変になるので、できるだけ少なく絞ったほうが良いです。
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①作業項目(タスク)
②担当者
③ステータス
④マイルストーン
⑤スケジュール
(a)進捗率
(b)成果物
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【STEP②】作業工程とタスクを全て入力する
1列目、2列目に大まかな作業工程を記入していきます。
(プロジェクトの全体スケジュールとなるマスタースケジュールがある場合には、そこに書かれている内容と、1列目、2列目に入力する項目名を合致させます。)
そして、3列目、4列目にさらにその作業工程を細かくブレイクダウンしたタスクを記入していき、タスクを構造化していきます。ここで、抜け漏れなく網羅的に記入することができるかが、WBSの品質を左右します。
【STEP③】各作業の責任者を入力する
STEP②で入力したタスクの責任者を入力していきます。ここは、個人名で入れるのがポイントです。まだ担当が決まっていないとしても、例えば、該当するチームのリーダー名などを仮で入れておきましょう。
責任の所在を明らかにしておくこと、担当になることで当事者意識を持たせることで、ボールが宙に浮いてしまうのを防ぎ、確実にタスクが進捗するようにします。
複数名記述してある場合は、一番左の人が責任者です。
【STEP④】マイルストーンを置く
行0にはマイルストーンの欄を設け、プロジェクト行程上の区切りを入力していきます。このマイルストーンが、全てのタスクをいつまでにやらなくてはいけないのかというスケジュールの区切りになってきます。
定例会議をマイルストーンとして設置しておくと、スケジュールが区切りやすくなるのでおすすめです。
【STEP⑤】マイルストーンに従って、後ろからスケジュールを引く
STEP④のマイルストーンから逆算しながら、ここまでにこの工程を終わらせるためには、いつレビューが必要で、レビューにはどのくらいの時間がかかって…と、後ろからスケジュールを引いていきます。
ここまでが基本のステップとポイントです。
もう少しWBSの精度を上げたい人は、以下2つのSTEPも取り入れてみてください。
【STEP⑥】作成・確認・修正・合意のステップは細かく切り分ける
一つの作業を完了させるまでには、だいたい「作成」→「内部レビュー」→「全体レビュー」→「修正」→「合意」という5つのステップがあります。この当たり前の5ステップを細かくタスクとしてブレイクダウンしておくのも大事なポイントです。
また、ここはマイルストーンになる会議とも関連してくる箇所です。多くの場合、全体レビューは会議内で行われることがほとんどでしょう。そうなると、会議の日に合わせてレビューのスケジュールが確定します。そのレビューの日程が決まることで、前後の作成や修正のスケジュールが決まっていく、という流れになります。
【STEP⑦】依存関係をわかりやすくするために枠線や矢印で補足する
中長期的になるものや、一度期間が空いてしまって依存関係が見えにくくなるものは、関連するタスク群として枠線などで囲っておく、離れてしまった場合には矢印で補足するとさらに見やすくなります。依存関係がみえにくくなるものは、メンバーのために配慮をしてあげられると良いですね。
依存関係の矢印の線は、上下で見たときに離れているタスクに対してのみ、引くようにしましょう。パッと見で、依存関係があるとわかるようなタスクは線を引くことは不要です。あまりにたくさん引いてしまうと、ごちゃごちゃして見づらくなってしまいます。
以上がWBSの作成手順とポイントでした。
このようなWBSでの管理は、プロジェクトに限らず、チームで動く仕事においてかなり有効に働くはずです。ぜひプロジェクト管理の参考にしてみてください。
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