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茅敷く農法

この数年、茅を使った畑の変化や方法を実践する中で、少しずつわかってきたこと。

昔の人は、屋根としての役割りを終えた茅を畑に還して、農作物を育てていたと、話にはよく聞く。が、茅葺き屋根の現象と共に、その文化も途絶えてしまったようで、未だに茅を使って畑をやってる人から、具体的なやり方をなかなか教わることが出来ないのが現状。
つまりは、それ以上に効率的で、美味しい野菜をつくる農法が発展しているということ。


基本的な使い方としては、茅マルチとして畝間に茅を敷き、雑草の育ちを抑える。

茅を畑に撒く効果としては、肥料としてというよりは、土壌改良の要素の方が強い。
まず、土が乾くのを防ぎ、適度な湿度と温度が保たれた土中環境が、微生物の働きを活性化させる。微生物の餌になるような、生ゴミなどを加えて一年程度置いておくと、フカフカな粒状の土が出来る。

多分、茅を長いまま敷いた方が、適度な空気も通り、より深く土が良くなるが、茅を細かく粉砕した方が、耕運する畑の場合は、すき込みやすい。あまり薄く撒いても、ほとんど効果はないので、5〜10cmくらいの厚さで敷くと、結構な量が必要になる。

また、一言に茅と言っても、スグリ作業で出た葉っぱや、煤けた古茅、屋根の上ですでにほとんど土に還ったものなど、それぞれ使い分けられる。
茅の成分としては、ケイ素が多いようで、茎や葉を大きく育てるとは聞くが、化学肥料などと比べると、大した効果はない。
むしろ、茅だけで美味しい野菜を育てられるものではなく、牛糞や鶏糞のような有機肥料など、栄養分が必要になる。

我が家では、家庭で日常的に出る生ゴミを、肥料として使うためのコンポスト、最近話題のキエーロがなかなか調子よくて、分解も早いし、いい香りのする土が出来てきている。
これを秋野菜、もしくは来シーズンの野菜の腐葉土として使う。

畑をやるというのは、単に野菜を育てるのではなくて、土の中の生命体の環境を造ることで、それが案外面白い。


かやぶき屋根や、畑の作業をしていると、命の循環を感じる。
人が生きるには、大きなエネルギーが必要で、その周りには、微生物レベルのたくさんの生命体が活発になる環境が生まれる。
いろんな生き物と一緒に自分たちは生きていることを感じる。

茅は単なる屋根材ではない。
人と人を、人と自然を繋ぐ、循環する素材であるという実感。それを理解し、かやぶき屋根の魅力をいかに共有できるかが、大きなテーマになってきていると思う。

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