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コールセンターでよくある『VoC活用できません』問題について

今回は、カスタマーサポートやコールセンターの現場で、よく話題に上がるVoC活用についてまとめておきたいと思います。

Q:そもそもVoCとは?

A:コールセンターの現場では、VoC=Voice of Customerの略称で、お客様の声、という意味合いで使われている言葉です。

電話応対の応対記録や、コールリーズンと呼ばれる「カスタマーが問い合わせに至った理由」や、顧客アンケートの結果などがVoCに当たります。

基本的にはVoCは、事業推進やサービス改善の示唆や提案につながることが期待されています。

Q:VoCを活用できている現場は実は少ない?

A:はい。VoCを事業推進に活かしている企業はまだ少ないです。

少し古いデータですが、コールリーズンにおいても、データをとっている企業はまだまだ半分程度の割合です。

VoCについて.001

このデータからは『自分たちのカスタマーがどんな理由で問い合わせをしてきているのか?』の把握をしていない現場が約半数近くあるという現実も浮かび上がってきます。

コールセンターのデジタル化が進むまでは、そもそものVoCデータの取得自体も困難なケースが続くかもしれません。

Q:なぜ活用することができていないのか?

A:活用の目的がはっきりしないケースが多いからです。

『○○に関する問い合わせが○○件あり、課題があると思います』
『上位3種類の問い合わせは○○で、○○件あります』
などのレポートをたまにみますが、報告を受けたほうは『で?』となってしまうと思います。

VoCを、何を目的に、どのように分析・活用するのか?という出発点なしに、なんとなく『顧客の声を分析するぞ!』『顧客の声には宝が眠っている!』という感じで、分析自体が目的化しているケースが多いと感じます。

その場合、一時的にVoC収集・分析の活動が始まったとしても、途中でなし崩し的に終了していきます。

VoCはデータであり、データは活用の目的(仮説)ありきで分析方法はもちろん、収集フォーマットも変わってきます。(適当に集めていたデータでは全く役に立たないケースもあります)

データはデータが存在しているだけでは宝にはならないです。データをインテリジェンスに変えるには、人間の仮説思考や企画力が前提として必要になってきます。

Q:何のためにVoCを分析するのか?

この問いがVoC収集・分析のスタート地点です。

VoC収集・分析の目的をしっかり整理しないと、事業推進で価値のある活動にはなりません。

VoC分析によって、どのような示唆を得れるのかを企画するためにいろいろな角度で分析をためしてみる、というのはありだと思いますが、それ以外のケースではきちんと目的を設定しましょう。

では、具体的にどんなケースでVoC分析が、事業推進上において価値を生むのでしょうか?

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カラクリでは、VoC活用の目的は、カスタマーのつまづきポイント=ボトルネックの発見と定義しています。

たとえばトレンドアラートは、VoCの内容から、今起きている不具合などのトレンドをリアルタイムにキャッチすることが目的です。サービス品質の毀損にすばやく対処できるのは大きなメリットです。

大規模な障害はなどは様々な自動検知ツールでも気づくことはできますが、中規模以下や特定のカスタマーにだけ発生する不具合、不具合ではないがカスタマーが新たに持ち始めたボトルネックなどは、VoCが第一発見者であるケースも少なくありません。

また、顧客のボトルネックの発見を、実際に金額換算し、エラー予算=『どれくらい損害があるのか?(その問題を解決するとどれくらいメリットがあるのか)』を明らかにするレポートは、事業そのものに直結する課題発見につながると感じます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

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VoCは、分析すること自体が目的化してしまっては成果がでません。

自分たちのカスタマーサポート、コールセンターにおいて、取り組むべき問題は何か?その問題の解決に、VoCというデータを取り扱うべきなのか?どのようなデータをどのようなフォーマットで集め、分析すべきか?を事前に設計した上で、実務にあたりましょう。

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