【怒りを拳に込めてぶっ飛ばせ!】映画『ポライト・ソサエティ』感想
凄く好きな映画だった。
最初、ボリウッド映画と勘違いしてたけど、物語の舞台はロンドン、南系アジアの移民コミュニティが題材となっている。
製作をつとめたのは『イエスタデイ』、『ラブ・アクチュアリー』など有名作品で知られるワーキング・タイトル社。
本作もこうした映画と同じ質感、良い意味でライトで明るい。
こうした作品が好きな人にこそ本作を観て欲しい。
物語は姉の結婚を阻止するために奔走する妹が婚約相手の恐ろしい陰謀に気付いてしまい…というあらすじ。監督をつとめたのはイギリス系パキスタン人のニダ・マンズール。
長編デビュー作となった本作は、英国インディペンデント映画賞で最優秀デビュー脚本賞を受賞、フロリダ映画祭にて観客賞を受賞している。
話は王道中の王道。
物語自体に目新しさは感じられなかったがテーマや題材は今を感じさせる。
ポスタービジュアルや予告編で推されているのが「カンフー×ボリウッド×シスターフッド」。確かに宣伝通り、リアとリーナの姉妹愛が話の焦点になってるしカンフーアクションも冴え渡っている。
だが、自分が本作を気に入ったのはこうした部分ではない。
ニダ監督、脚本もつとめており、何を書いてもコメディになってしまうと言ってるくらい本作もコメディ色が濃い。そして自分が好きだったのもこのコメディ部分。
まず登場人物、全員キャラが立っていて魅力的。
特にリナのクラスメイト達が凄く良い。主人公含む3人組の凸凹トリオはビジュアル含め最高。ほのかに漂うポンコツ感がまた愛おしい。
彼女たちが探偵ごっこをするパートや姉を誘拐しようとするパートは馬鹿馬鹿さ含めて可笑しすぎて声出して笑ってしまった。
全体的にテンポも良くエンタメとしても面白いが、作中に込められたメッセージも見逃すわけにはいかない。
女性だからこそ結婚するべきという保守的な世間
結婚相手に選ばれるという男女の無意義の優位性とそれに甘んじてる同性達
家父長制など
本作には女性に対する偏見や差別などが随所に散りばめられている。
「そんな女性の抑圧された怒りを拳に込めてぶっ飛ばせ!」というメッセージは痛快。
リナが劇中で何度も言う「我こそは怒りの化身」とは「女性の怒りの化身」ということなんだろう。
リナを演じたプリヤ・カンサラはインタビューで「子供の頃、ロンドンでテレビや映画を観ても、自分のような姿をしたキャラクターはいなかった」と語っている。
きっと、これからはリナのようなキャラクターが主人公の物語もスタンダードになっていくんだろうな。そしてその姿を見て憧れる子供も増えていくんだろう。
ということで『ポライト・ソサエティ』、想像以上に面白くて大好きな作品だった。気になった方は是非チェックしてみてね。
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