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【自然体にポップに】映画『SCRAPPER スクラッパー』感想

ポスターや予告編からイメージした通りの内容だった。

現代のロンドン。母親を亡くした12歳のジョージー、友人のアリとともに自転車泥棒をしながら1人で暮らしている。そんなジョージーのもとに、12年間ずっと行方がわからなかった父ジェイソンが突然訪ねてきて…というあらすじ。

ジョージーの日常はなかなかデンジャラスだ。
保護者がいると世間に嘘をついたり自転車を盗んで売ったりと社会的にアウトな生活をしている。

いくらでも深刻になりそうな題材だが語り口はポップで軽い。ジョージーの気の強い性格や友人アリのとぼけた雰囲気もそうさせているのだろう。

ジョージー、それこそ『チェンソーマン』の藤本タツキ先生が好きそうなキャラクターという印象。

世界観も可愛らしい。
この映画、おとぎ話のような可愛さとリアリティのバランスが絶妙。

ジョージーが住んでいる団地もカラフルだしインタビュー形式で紹介される周囲の人物たちの格好や言動もユーモラス。
だけど演出自体はワザとらしくなく自然体、懐にスッと入ってくるような感じが心地いい。

その最もたるのが映画の終盤、ジョージーとジェイソンが抱き合う場面。感動的なんだけど後ろでは少年たちが普通にサッカーをしている、その飾らない感じが良かった。

ジョージーとジェイソン、似た者同士で不器用な2人。車道を挟んで歩く2人の姿や電車を待ってる人を勝手にアフレコしたりする姿も可愛らしかったな。

2人でアフレコする場面はジョージーは本心を吐露していたように思えた。

後、ジョージーが補聴器をつけていたり異性同士だけどアリと恋人関係じゃなかったり、そういう価値観の変遷を感じ描写(劇中で特に言及されることもない)が個人的に「あ、良いな」って感じられた。

補聴器はジョージーを演じたローラ・キャンベルがもともとつけているものらしい。

監督のローラ・キャンベルは本作が長編デビュー作になるとのこと。これからどんな作品を撮っていくのかも楽しみ。

映画『SCRAPPER スクラッパー』は2024年7月5日から公開中。
気になる人は是非ともチェックしてみてね。

入場者特典で貰ったステッカーも可愛い。
2023年製作/84分/PG12/イギリス


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