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【夏だ、恋だ、ヴァカンスだ!】映画『7月14日の娘』感想

動画配信サービス『JAIHO』で7月14日から配信が始まった『7月14日の娘』。作品の紹介画像(この記事のトップ画にも使ってる)が素敵で、配信がスタートしたら絶対観ようと決めていた作品。

めちゃくちゃ好みの作品だった。

ジャンルはコメディ。
かなりシュールなのでハマる人は選ぶだろう。

同じJAIHOで配信されてる『タバコは咳の原因になる』になるもそうだったけど、フランスのコメディってぶっ飛んでる作品が多いと思う。

2013年製作/88分/フランス

7月14日の革命記念日に出会ったエクトルとトリュケット。
恋に落ちたエクトルはヴァカンス旅行に友人たちとトリュケットを誘うのだが…というあらすじ。

オープニングはスケールの広さに驚き。ここは本当の革命記念日にロケしたんだろうな。

フランスでは2~4週間の有給休暇が取れるヴァカンス法という法律が存在する(有給休暇自体がめちゃ多い)。日本からすると羨ましい限り。

そしてフランス映画は「ヴァカンス映画」と呼ばれるジャンルが存在するくらい、ヴァカンスが舞台となっている作品も多い。

ヴァカンス映画は名作が多いんです。この4作品はどれも大好き(左上から『海辺のポーリーヌ』、『ガスパール君と過ごした季節』、『みんなのヴァカンス』、『オルエットの方へ』)

本作もそんな「ヴァカンス映画」に属する作品になるのだと思う。
ただし、この映画は避暑地でヴァカンスを満喫する姿じゃなく、避暑地を目指しててんやわんやする姿がメインとなっている。

そう、エクトルの計画はとんだ横やりが入るせいで上手くいかなくなってしまうのだ。途中からこの映画の目的はトリュケットを探すことに変わる。

遠回りばかりの旅路や2人がすれ違う姿には大いにヤキモキさせられた。

本作は、その場で思いついたであろうアイデアがそのまま映画に反映されておいとにかくシュール(普通に人が撃たれたりするがそれで大事にはならない)。出てくるたびに体の一部を失うインテリ青年の下りとかは、なかなかのエグみがある。

本作は登場人物たちもぶっ飛んでる。
4回試験に落ちた真面目過ぎるジュロや、事の発端であるシャルロットの弟のベルティエ(こいつが全ての元凶である)。
特にヤバいのは主人公の友人のパトールとその先生。

この2人は医師免許が無いのに医療行為をしていたことで警察に追われているという驚きの身。パトールはそんな状態なのによくヴァカンス行く気になったな。先生は存在自体がヤバい、何故かデロリアンに乗ってるし。

このパトールを演じてるのはフランスの名優ヴァンサン・マケーニュ。この方、禿げてて猫背で中年太りの体型なのにセクシーなのだ。トリュケットを演じたヴィマラ・ポンスが初めて観たけど魅力的で好きになってしまった。

こんなふざけた連中の珍道中なのでトラブルも頻繁に起きる。強盗に遭ったり警察と銃弾戦になったりと、その道中は荒唐無稽。

ただ、そうした描写も含めて本作はお洒落なのである。

色使いがとにかくカラフルで素敵。
少しレトロな雰囲気も含めて画面を眺めてるだけで、まさに眼福がんふく

トップ画やこうした場面を見てピンとくる人は是非観て欲しい。

こんなぶっ飛んだコメディとお洒落って両立するんだね。フランスというお国柄だからかな。邦画でこういう作品を観た記憶がない。

後、登場人物たちのやり取りもけっこう小粋。
何度が述べてるんだけど、フランスって本当に愛に生きる国民性だと思う。
トリュケットを追いかけるエクトルの姿もそうだし、個人的にはスクラップ場のおっさんのやり取りにもそう感じた。

「今は忙しい」
「捜してる子がいるんです」
「先に言え」
とか

「この指輪は偽物だ」
「でも感傷的価値が」
って言ったら買取金額を倍にしてくるところとかね。
笑いどころではあるんだけど、「人を想う気持ち」を汲んでる辺りが好き。

頭を軽くして観れるけど内容だけど、映画の随所に政権批判が取り入れられてるところも良い。嫌味になっておらずユーモラス。

またフランス人にとって「ヴァカンス」がどれだけ大事なのかも劇中の混乱ぶりで分かった。分かってたけど最後の結末は安心する。

ということで『7月14日の娘』、大好きな作品でした。
JAIHOに入って良かったなと思った2本目の作品。気になる人は是非チェックしてみてね。


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