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『ブラックアダム』はロック様無双だけの映画じゃないぞ!!

12月2日から公開している映画『ブラックアダム』。5000年の眠りから目覚めた破壊神の暴走と彼を止めるために駆け付けたヒーロー達の闘いと人間模様を描かれる。『シャザム!』と繋がる物語で、DCU(DCユニバース)に連なる作品となる。

主演は『ワイルド・スピード』、『ジュマンジ』シリーズなど数々の大ヒット作で人気のドウェイン・ジョンソン。共演に「007」の5代目ジェームズ・ボンドで知られるピアース・ブロスナン、『透明人間』(2020)のオルティス・ホッジらが名を連ねる。

監督は『エスター』、『フライトゲーム』のジャウム・コレット=セラ。ドウェイン・ジョンソンとは2021年に監督をつとめたディズニー映画『ジャングル・クルーズ』でタッグを組んでいる。

2022年製作/124分/G/アメリカ

ゴタゴタ続きのDCUにおいて仕切り直しの1作目という位置付けでもある本作。実は「ドウェイン・ジョンソン×ブラックアダム」という企画自体は随分前から進んでおり、完成まで約10年以上のも時間を費やしている。

そのためドウェイン・ジョンソンの本作にかける思いもひとしおだ。主演をつとめただけでなく製作総指揮をつとめるなど本作のプロデュースにも深く関わっている。

そんな気合の入った本作はまさに王道と呼ぶに相応しい内容となっている。
ヒーロー映画も変化球的な作品が多くなってきたが、その中で本作はどこか原点にも立ち返ってるかのよう。
本作を観ながら「そうそう、ヒーロー映画ってこういう風だったよな」と懐かしい気持ちにさせられた。

それこそ『アイアンマン』などの初期のMCU映画に通じるものも感じたので、ヒーロー映画好きな人全般にお薦めしたい。

画面からも伝わる圧倒的強者感。このビジュアルで強くない訳がない。

肝心の内容だが一言で表すなら「ドウェイン無双」。ドウェイン演じるブラックアダムがところかまわず暴れまくる。

ドウェイン・ジョンソンがブラックアダムを演じているというより、魔術を身につけたドウェインがDC世界に降り立ったという方が合っているかもしれない。何なら「ドウェインが異世界(DC)に魔術を身に付けて転生した」という転生モノでも違和感ないくらい。

本作の欠点を一つ挙げるならブラックアダムが強過ぎるということだろう。全然ピンチにならないので、観ていてハラハラする場面はほぼないんだよね。

そんなドウェインだが、その鍛え上げられた肉体美は一見の価値あり。何せ「自前の筋肉があるのでスーツの肉じゅばんはいらない」と答えたというエピソードがあるくらい肉体はキッレキレなのだ。ドウェインファンはもちろん筋肉好きには眼福の2時間になることだろう。

この尋常な筋肉を眺めるだけでも本作を観る価値はあるといえる。

だが、本作の見所はブラックアダムだけじゃない。ブラックアダムと対立するJSAメンバーをはじめ、アドリアナ親子やヴィランであるイシュマエルなど、本作に登場する多くのキャラクターたちのドラマもしっかり描かれる。

特にJSAのメンバーであるドクターフェイト。彼に関しては、この映画のもう一人の主人公と言っていいだろう。本作はブラックアダムの物語でもあり、ドクターフェイトの物語でもあるのだ。

ピアース・ブロスナンのイケオジっぷりに惚れる人も多そう

このドクターフェイトを名俳優であるピアース・ブロスナンが演じてるというのが素晴らしい。存在感と貫禄が抜群。物語の中核を担う役をベテラン俳優が演じることで作品が明らかに締まってる。キャスティングした方のセンスが素晴らしすぎる…

そしてドクターフェイトとJSAのリーダーでもあるホークマン、この2人の関係性が筆者には一番刺さった。特に終盤のドクターフェイトのある行動には胸が熱くなる。ブロマンス好きな人には2人の描写は刺さるんじゃないだろうか。

ホークマン、見た目も良いし戦い方が泥臭いのも好き。演じたオルティス・ホッジも意識したことなかったけど格好良かった。

脚本の特徴なのか、ドクターフェイトとホークマン以外でも各キャラクターがコンビとして描かれてることが多い。サイクロンにアトムスマッシャーはそれぞれ若手コンビとして描かれているし、ブラックアダムは自分を復活させたアドリアナの息子アモンと関係性を築いている。

特にブラックアダムとアモンの疑似親子的な関係性は良い。言及している方も何人かいたが「ターミネーター2」のT-800とジョン・コナーの関係を彷彿とさせる。口にこそ出さないがお互いが失った人を相手に重ねてると思うと切なくなる。

正義が悪を倒すという単純な構図だけでなく、ヒーローというかアメリカに対する皮肉が差し込まれてるのも印象的。国の乱れはほっておくのに、ヤバそうな脅威が誕生したら介入してくるという指摘に黙ってるだけだったけど、これは皮肉で終らせるのか、それとも次作以降で何か答えを提示するのかは気になるところだ。

全体的にDC映画の重さや暗さが薄まって、良くも悪くもMARVEL作品っぽさもあるが、描かれるヒーロー像はまさにDC。
民衆と同じ目線のヒーローがMARVELだとしたら、DCは人々が見上げる先にヒーローがいる。今作のブラックアダムも「守護者」として人々を見守るのだ。

衝撃のポストクレジットも含めて大満足だった。これからのDCUにも期待したい。

109シネマズ名古屋の12/3の10:55~の回にて鑑賞。観客は20~30人程。惜しむらくは初週にも関わらずIMAXシアターでの上映がほぼ無かったということ…

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