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【永山瑛太×川栄李奈】『半透明なふたり』を観た【YouTube無料公開中】

6月8日より配信されている『半透明なふたり』。永山瑛太と川栄李奈の2人を主演に芥川龍之介の短編小説『鼻』を原案にした短編映画だ。

監督はauの人気CM「三太郎」シリーズを手がけてきたCMディレクターで、映画『一度死んでみた』の浜崎慎治。主題歌は藤井フミヤが手掛けている。

2020年製作/93分/G/日本

この作品、YouTubeで全編無料公開されている。なので気になる方は、まずは本編をチェックして欲しい。全編24分もないので良い意味で軽く観ることができる。

※これより以下はネタバレ感想になるため、鑑賞後に読むことをお薦めします。

一番印象深かったのはSNSを通じての誹謗中傷。原作の『鼻』でも、主役の僧が人々から心無い陰口や噂をされるところが物語の肝となっている。浜崎監督のコメントを読んでも、その部分を特に掬いあげて描いたことが伺える。

SNSでの中傷は散々問題になっているけど、こうした痛みを受ける側の苦しみを伝えることに意味があるのだろう。中傷される側とする側の気持ちの落差も改めて感じた。する側は本気ではなく軽いノリ程度なのも問題なんだよね。

同時に自分も気づかないうちに誰かを傷つけてるのかもしれないとも思う。何故ならこうした誹謗中傷を悪いと思う感情と、悪ノリを楽しいと思う感情は自分の心にも同居しているから。

気軽に自分を見せれる世の中だからこそ、自分の言動をより意識していく必要がある、そう思えただけでも本作を観て良かった。

主演2人の演技はさすが。約24分という短い物語でこんなに気持ちが入り込めるのは間違いなく2人の魅力によるところが大きい。突如コンビニがダンスホールみたいになる場面は驚いたがダンスする2人は可愛らしかった。

逆に、終わり方には物足りなさを感じる。芥川龍之介の『鼻』をモチーフにしてるだけに、ラストをどうするのかも気になっていたから、ありふれた終わり方のように思えた。

龍也には理解者が偶然現れたから救われたのかもしれない。だが、この世の中には龍也のように理解者に出会える人は少ないと思う。龍也のような立場で1人だったら、どうこの世界と向き合うのか?自分はその物語も見てみたい。

短い中に確かなメッセージ性を感じる作品だった。こうした作品を無料で観させていただけるのは有難い。興味ある方は是非ともチェックしてみて欲しい。


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