今、話題の『すみっコぐらし』を観てきたから感想を書いておく。

『ジョーカー』『It』『ターミネーターニューフェイト』、ここ最近、注目作が次々と公開されている映画業界だが、今、SNS界隈で話題になってる映画があるのはご存じだろうか。
それは11月8日公開の『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』だ。

すみっコぐらしポスター画像

どれくらい話題かというと、国内最大級の映画レビューサイトFilmarksの11月第2週公開作品の初日満足ランキングで一位、観た人からは『逆詐欺映画』、『パステルカラーのジョーカー』などのパワーワードを含んだ感想も聞こえており、一時はTwitterのトレンドランキング一位に躍りだすなど、大旋風を巻き起こしている。
更に、公開2週目は映画ランキング、邦画1位に躍り出ただけでなく、前週の興収比150%という驚きの数字も叩き出している。
では、どんな映画なのか?筆者も先日観てきたので、ネタバレ無しの感想を挙げたい。

すみっコぐらし全員集合

【すみっコぐらしとは?】
そもそもすみっコぐらしとは何か?を、映画を観る前の筆者みたいに、あまりよく知らない方の為に説明しておこう。
「すみっコぐらし」とは、たれぱんだ、リラックマを世に送り出してきた会社、サンエックスが2012年に生み出したキャラクター
日本人の「隅っこが好き」という気持ちをテーマに作られており、今年春に発表された「日本キャラクター大賞2019」では見事にグランプリを受賞。
キャラクターは白くま、猫などの動物から、豚カツの切れ端やエビフライのしっぽなんてものまで存在する。
キャラクター達のプロフィールを簡単に貼っておくので観てみてほしい。

すみっこ①

すみっこ②

どうだろう、可愛らしい見た目とは裏腹に設定は、なかなかシビアじゃないだろうか。
言ってしまうと、ここにいるキャラクター達は、社会に馴染めていない者たちだ。
集団の中にいても、決して皆の中心になるのではなく、遠巻きに静かに眺めているだけ、
そして、それは現実社会の我々とリンクしている。クラスの中でも人気グループに属する事なく、クラスの端っこでひっそりした学生生活を過ごしてきたり、リア充とは無縁の生活を送ってきた人たち。そんな人たちほど、彼らに共感できるのではないか?

すみっこぐらし映画

この映画のキャッチコピー「きみもすみっこなの?」は「きみも社会に馴染めていないの?」と、我々に問いかけているようにも見える。
「パステルカラーのジョーカー」と例えられる所以は、こうしたキャラクター設定がジョーカーと通じるからだろう。

ジョーカー映画

【脚本が秀逸!子供だけじゃなく、大人も泣ける!】


さて、前置きが長くなったが、感想を挙げていこう。
この映画、基本は子供を対象にしているという事で、ナレーション形式(しかも、ナレーションを担当してるのはV6の井ノ原と本上まなみという癒し系)で、まるで子供に「読み聞かせ」るように話が進んでいく。
そして、観ているだけで顔がほころんでくる可愛らしいキャラクター達。
何とも優しい世界である。

すみっコぐらし①

しかし、筆者は実はけっこうなひねくれものこういう癒し系な世界は逆に鼻についてしまう。正直、前半は「これ大丈夫かな」と構えながら観ていた。
しかし、話が進むにつれ段々と筆者も引きこまれていくことになる。

その理由は脚本が思いの外、大人向けかつ凝っていたからだ。
今作は、すみっコぐらし達が、絵本の世界に吸い込まれるという物語なのだが、この設定がよく出来ている。すみっコぐらし達の絵本の住人達のコスプレも可愛いのだが、「絵本」という設定がよく活きている。観ながら、展開や演出に何度か感心してしまった。
もとより上映時間は65分と短めなのだが、退屈な時間は一度も感じなかった。

そして、終盤の展開。

ガチで泣かせにくる

すみっコぐらしひよこ

ネタバレできないので、内容は語らないが、あの可愛いすみっコぐらし達がこんな熱い展開を見せてくれるというギャップがいっそう胸をうつ。
筆者は、泣きこそしなかったが、胸にじーんとくるものを感じたぞ。

本作の脚本家は、ヨーロッパ企画の角田貴志
角田さん、この仕事をいただくまでは、「すみっコぐらし」の事は全然知らなかったらしい。
脚本を書く時は、男女も関係なく、お子さんから大人まであらゆる人が楽しめるよう意識したとの事。
そういえば、この映画、キャラクター達がジェンダーレスなのも印象的であった。
脚本は角田さんだけでなく、『すみこぐらし』の生みの親、横溝友里氏監督のまんきゅうさん、アニメーション制作チームと全員でアイデアを出し合ったらしいが、そこも意識したのだろうか、機会があれば聞いてみたい点でもある。

ちなみに、すみっこぐらし達だが、横溝氏が大学生の時に、メモの隅に描いた落書きが誕生のキッカケになっている。
筆者は、映画を観た後にこの事を知ったが、この事を知ってから映画を思い返して、より脚本に感心した。
小さいお子さんでも楽しめて、大人も唸らせる脚本、「みんなの思いを形作っていった」と角田さんが語る通り、よく出来た物語だった。

#映画 #すみっコぐらし #ヨーロッパ企画

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