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【僕らの性春は笑えて】映画『グッド・ボーイズ』は最高だ【少し泣ける】

去年の6月12日に公開された『グッドボーイズ』。周囲の評判が良くて気にはなってたが、惜しくも劇場鑑賞を逃していた本作。今回鑑賞したところ、これが予想外に面白かった!ということで、本作の魅力を語りながら紹介していきたいと思う。

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【可愛くてお下品で切ない!色んな要素がMixされた脚本が良い!】

まず、本作は脚本が素晴らしい。あらすじは大体こんな感じだ。

小学6年生のマックス、ルーカス、ソーの3人は、家がご近所同士の昔からの仲良し3人組。ある日、マックスはクラスの中でもイケてる男子のソレンからパーティーに誘われる。そこにはマックスが密かに思いを寄せてるブリクスリーの姿もあった。ルーカス、ソーも誘い参加することに決めたマックス達だったが、そのパーティーは何と「キス・パーティ」だった。キスをしたことがないマックス達は、キスの方法を調べようとするが、事態はとんでもない方向へ向かっていき…

『憧れの子とキスをしたいけど、仕方を知らないから調べようとする』まず、この動機がピュアで何とも可愛らしい。主演3人のビジュアルも可愛らしいものだから、彼らがわちゃわちゃしてる姿を見てるだけで、こちらも何だか微笑ましい気持ちになってくる。これだけなら本作は可愛らしい物語で終わるだろう。しかし、本作には人を選ぶであろう強烈な要素がプラスされているのだ。それが『どぎつさ満載の下ネタ』

実は、本作は2016年に公開された『ソーセージ・パーティー』という下ネタド直球の作品の製作陣が関わっている。(俳優としても活躍中のセス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグのコンビ)基本はキスを巡るだけの話なのに、劇中で登場する小道具など、大人向けの笑いはかなりエグい。しかもマックス達は性に関してほぼ無知識なので、無邪気にその道具を使う、そのギャップがめちゃくちゃ可笑しい。(人形のくだりやネックレスのくだりは大笑いした)そのせいで、本作はR指定となっており、演じた本人たちが鑑賞できていなかったりする。

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さらに本作は普遍的な成長物語でもある。それぞれの家が近いということがキッカケで友達になったマックス達。マックスのように子供の頃、近所の同年代の子と『家が近いから』という理由で仲良くなったことのある人は多いのではないだろうか。
そして劇中のマックス達と同じように、だんだんと今いる友達とのズレを感じはじめる。これも多くの人が子供時代に経験したことあるのではないだろうか。だからこそラストは切なく、多くの人の共感を生むことであろう。本作はこうした様々な要素のミックス具合が絶妙、王道な少年物語にノスタルジックさを感じ、下ネタに笑い最後はほんのり切なくなる。油断して観ていたら、この見事な脚本にしてやられた。

【主役3人をはじめ、役者陣の演技が最高!】

本作をより面白くしてるのがキャスティングだ。主人公のマックスを演じたのはジェイコブ・トレンブレイ。アカデミー賞作品賞にノミネートされた『ルーム』(2016年)で一躍有名になり、その後『ワンダー 君は太陽』(2018年)、去年はグザビエ・ドラン監督の『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』でも主演をつとめるなどハリウッドを中心に大活躍してる子役だ。今作では好きな女の子のために奮闘する少年を見事に演じている。
友人のルーカスを演じたのはキース・L・ウィリアムズ。彼はとにかく間の取り方が素晴らしい。製作陣が彼のことを「一番面白い」と評するのも納得で彼が話すだけで面白い。(ちなみに本人もDVDの特典でも撮影中でも至るところで笑っていたりする)
ソーを演じたのはブレイディ・ヌーンは劇中の歌唱力が素晴らしいが、個人的に笑ったのはこの場面。本編をまだ観てない人は是非チェックして見てほしい。

主演の3人だけでなく周囲のキャスティングも絶秒。ルーカスの父を演じたのはリル・レル・ハウリー。凄く陽気で見てるだけで顔がほころんでしまうような愉快な人物を演じているのだが、どこかで見た顔だと思っていたら、2017年に公開されアカデミー賞を受賞した『ゲット・アウト』で主人公の友人を演じていた人物。ホラー要素の強い作品の中でも数少ない笑いを誘って印象に残っていたが、本作でもその面白キャラは健在で本作の雰囲気づくりに一役買っている。

メイキングを見て分かったが、マックス達とトレーディングカードを交換しに訪れる男性を演じてるスティーヴン・マーチャントはじめ、劇中で出てくる登場人物の多くが現役の役者兼コメディアンが演じている。(警官やドローンを買いに行ったショップの店員さんなども)本作の全編通じて漂うコミカルさはこういったキャスティングだからこそと言えるだろう。

【これが今の時代!お馬鹿の中にも意識の変化が伺える】

本作を語るうえで個人的に目に付いたのが、ポリティカル・コレクトネス、通称ポリコレに対する意識の高さだ。

ポリティカル・コレクトネス(英: political correctness、略称:PC、ポリコレ)とは:性別・人種・民族・宗教などに基づく差別・偏見を防ぐ目的で、政治的・社会的に公正・中立とされる言葉や表現を使用することを指す(Wikipedia参照)

まずマックス達がキスの仕方をしたくて、ドローンで隣人の女子高生達を覗く場面である。この盗撮(マックス達にその気はなかったのだが)に対し2人が言う台詞が、「女性蔑視は許さない」。今のジェンダー問題を汲んだからこその台詞だろう。
また人工呼吸用の人形(と見せかけたダッチワイフ)にキスをする場面で、ルーカスが「相手の同意を得なければ駄目なんだよ」と口を挟むのも、今の時代を感じさせる行動だ。
ハンナとリリー、女子高生の2人組が劇中でのマックス達のいわゆる敵役となるのも個人的には意外だった。こうした少年達の敵役となる存在も、かつては男性が演じてきたという印象だからだ。そう思うこと自体、ジェンダーバイアスが掛かってる証拠なのかもしれないが。

グッドボーイズ④

マックス達を誘うソレンもクラスでイケてるグループのリーダー各のキャラクターだが、その役を中国系のアジア人が演じている。これも80,90年代は白人の少年だっただろう。こういった点にも時代の変化と多様性も感じてしまった。正直、こういう作品という語弊があるかもしれないが、こうした意識を感じさせられたのは意外だったし、これが今の時代の作品だと妙に納得もしてしまった。

ということで、いかがだっただろうか。『グッドボーイズ』、下ネタが苦手な人にはお薦めしづらいが、気になってる人。何も考えずに笑えて楽しめる作品を探してる人なんかにはお薦めしたい作品なので、気になる人は是非チェックして見てほしい。(Amazon Primeほか、Rakuten TV、U-NEXTなどでも配信中)


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