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【東京国際映画祭】映画祭デビューしませんか?【魅力を紹介】

皆さんは「映画祭」と聞くと、どんなイメージを覚えるだろうか。有名どころでいえば、フランスで毎年開催されるカンヌ映画祭や、イタリアで開催されるベネチア映画祭などはメディアなどでもその名前を目にしたことはあるのではないだろうか。日本でも10月から年明けにかけて、次々と映画祭が開催される。今年はコロナの影響で映画祭の開催自体危ぶまれたが、(実際、いくつかの映画祭はオンライン開催という形式で開催している)無事公開されたようでひと安心である。実は日本では毎年、秋頃から映画祭の公開ラッシュ時期になる。どんな映画祭が開催されているか、下記に記載しておきたい。

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このように日本でも映画祭自体は多く開催されている。しかし、筆者は日本の映画祭はそこまで盛り上がっているという印象をもっていない。例えば東京国際映画祭などのレッドカーペットの様子などは、メディアなどでは取り上げられるものの、実際に会場に行くと年配の方が多く見られ10~20代の人の姿は少ない。筆者の個人的な意見をいえば、映画好きの方でも映画祭に足を運んでる方は少ないという印象だ。(実際に自分の周囲の映画好きの友達でも映画祭に行ってる人は少ない)

ただし、東京国際映画祭に関して言えば、2018年の来場者数は約276万人と決して少なくない人数なので、これはあくまでも筆者の個人的な印象ということにはなるが、筆者個人としてはもっと多くの人に映画祭に来て欲しいという思いがある。そこで、この記事では、映画祭の魅力と東京国際映画祭の概要などを紹介していきたいと思う。映画祭に興味ある人、映画好きな人は是非読んでいって欲しい。

【映画祭の魅力:映画祭が浸透してないと思う4つの理由】

ここでは映画祭の魅力について書く前に、筆者が思う映画祭がそこまで浸透していない思う理由を以下の4点にまとめてみた。

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生活圏内で開催していない:これは映画祭あるあるなのだが、映画祭の多くは都内で開催されている。(上記で挙げた4つの映画祭も全て都内で開催)愛知や大阪などでも映画祭自体は開催されているが、その数は都内の数と比べたら圧倒的に少ないというのが現状だ。ちなみに筆者は2年前まで愛知に住んでいたので、映画祭の存在自体は知っていたが、行く事ができず歯がゆい思いをしていた。きっと映画好きでこういう思いをしている人は少なくないと思う。

②映画祭の開催自体知らない:SNSや周りの映画好きの友人と話してたりすると、映画祭が開催されること自体そもそも知らない人が多いという印象を受ける。多くの人に興味を持ってもらうには、まずは少しでも多くの人に映画祭の存在を知ってもらう事が大事だが、そこまで宣伝が届いているという印象を受けないのだ。ただ映画祭自体は、SNSで宣伝したり都内の映画館でチラシを置いたり、劇場で告知動画などを流してはいるので、決して宣伝に力を入れてないとは思わない。もしかしたら日本の映画祭自体の存在感がそこまで強くないという事と、次の項目で挙げる理由が原因なのかもしれない。

どんな作品が上映されているか知らない、どこから手を出したらいいか分からない:映画祭自体の存在は知っていても、どんな作品が上映されるか分からない。これも映画祭あるあるだが、映画祭などで公開される作品は、一部の作品を覗いて日本では配給が決まってない作品がほとんど。通常、劇場で公開される作品は、配給会社、宣伝会社が様々な媒体でその魅力を分かりやすく届けてくれるからこそ、その作品の存在を知るし興味も持てる。しかし、配給が決まっていない作品は当然宣伝もされないので、その作品の存在自体、自分で調べない限り知る事はない。映画祭の情報自体は目にするが、どんな作品が上映されるか分からない。だから映画祭の存在も記憶として脳裏に残らないのかもしれない。映画祭に限らず作品などもそうだが、興味がある人は情報は受け身ではなく、自分から自主的に調べていく必要がある。その場合、どのような方法で調べていくのか、その取っ掛かりなども下記で記しておきたい。

④参加の仕方が分からない:映画祭に興味をもったとしても始めての場合は、どのように参加して良いか分からない人も多いのではないだろうか。基本はチケットを購入するのだが、映画祭によっては人気作品などは発売と同時にすぐに売り切れてしまう場合もある。どのようにチケットを購入したらいいか、そのポイントも記しておきたい。


【映画祭の魅力:映画祭でしか味わえない4つの魅力】

上では映画祭が浸透していないと思う理由を4つ挙げたが、ここでは筆者が思う映画祭でしが味わえない魅力を4つ挙げていきたい。

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①映画祭という非日常を体験することができる:一つ目は映画祭という普段の生活では体験できない非日常を体験できるということ。カンヌ映画祭やベネチア映画祭など、メディアを通じてでしか聞いたことないような『映画祭』というイベントを体験できる、それ自体が魅力的だし価値があると思う。また映画祭によっては観客自身がコンペティションの優秀作品などに参加できることもあるというのも魅力の一つだったりする。映画祭に興味がない人でも、生涯に一度くらいは映画祭を体験するのも良い経験になるんじゃないだろうか。

東京国際映画祭①

②上映前の新作、世界の珍しい映画を観る事ができる:映画祭は種類によって扱うタイプの作品は違うが、多くの映画祭にも共通して言える事はこれから上映される新作や、普段観る機会のない世界の珍しい映画を観れるという点が二つ目の魅力だ。例えば今年の東京国際映画祭では、世界で数多くの映画祭の賞を受賞している『ノマドランド』(2021年1月公開予定)や、あの『新感染』の続編、『新感染半島 ファイナル・ステージ』(2021年1月1日公開予定)が観れたりする。(しかもこの2作品は同日に上映するというのも熱い)こうした公開前の話題作が一足先に観る事ができることや、今後一般公開されないような世界中の作品を観る事ができるのも映画祭ならではの魅力だ。

東京国際映画祭③

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③俳優、監督などを間近で観る事ができる:三つ目の魅力は、普段スクリーン越してしか観ることのできない俳優や作品の監督などを間近で観る事ができるという点。レッドカーペットなどはもちろん、舞台挨拶や上映後のトークセッションなど多くの俳優、監督を観る機会ができる。憧れの俳優を間近で見ることができるという魅力はもちろん、監督などとのトークセッションはその作品の製作背景や意図を知ることのできる重要な機会にもなる。

東京国際映画祭②

今年は残念ながらコロナ禍の影響で海外からの俳優や監督などの来日はほぼ無い状況ではあるが、オンラインでの参加や日本の俳優、監督などはあるので(レッドカーペットは行われるか不明)、興味ある人は是非調べていってほしい。

④映画と一期一会の出会いがある:これが筆者が一番お薦めしたい映画祭の魅力。②で挙げたように映画祭では、世界の珍しい映画を観る事ができる。作品の中には、実は配給が決まってる作品や配給権を買われる場合もあるが、多くの作品はこの場でしか観る事の出来ない作品が多い。そして、その中には自分にとって刺さる作品、たまらなく好きになる作品があったりする。だからこそ映画祭との一期一会の出会いなのである。(ちなみに下記に挙げた画像の作品が筆者が東京国際映画祭で観て気に入った作品。これらはいまだに一般公開はされていない。)

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このようなこの場でしか味わえない作品と出会えるからこそ、筆者は足繁く映画祭に通っている。

【2020年は映画祭デビューに特に相応しい。そう思う2つの理由】

ここまで映画祭の魅力について語ってきたが、筆者は今年は特に映画祭デビューに相応しい年だと提案したい。

①コロナの影響で大作がない:今年はコロナウイルスの影響で、ハリウッド系の大作作品が軒並み公開延期となっている。11月20日公開予定だった『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』は2021年4月に、11月6日公開予定だった『ブラック・ウィドウ』は2021年の4月29日公開に、全米で12月18日に公開予定だった『DUNE/デューン 砂の惑星』は2021年10月1日に延期されている。今現在、大作映画として期待されているのは、12月25日に公開予定の『ワンダーウーマン 1984』ぐらいだ。そのため映画好きとしては物足りない年末になるのではないろうか。だからこそ、災い転じて何とやらではないが、空いた分の時間を映画祭に向けてみるのはどうだろうと提案したい。

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②今年は配信がある:今年はコロナ禍の影響で、各映画祭が従来とは違う変則的な対応をしているが、その中で動画配信サービス『U-NEXT』が、東京国際映画祭、下北沢映画祭、東京学生映画祭の3つの映画祭との連携を発表している。各映画祭の方針を尊重しつつ、それぞれに異なるサポートを実施していくということで、どんな配信の仕方をするのかはまだ発表されていないが、今回の変則的な対応によって、地方在住の人など、都内の映画祭に参加するのが難しい人などにとっては自宅にいながら参加することができるのではないだろうか。

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【東京国際映画祭の概要と期間】

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「TOKYOプレミア2020」や日本公開前の最新作をプレミア上映する特別招待作品を集めた「特別招待作品」、世界各国・地域の映画祭出品作や話題作から日本公開が未決定の外国作品などが上映される「ワールド・フォーカス」など様々な企画が開催される。開催期間は2020年10月31日から11月9日まで。

【東京国際映画祭の部門の特徴】

今年はコロナの影響により、海外審査員の招聘が見込めないだろういうことでは、昨年まで実施していた「コンペティション」、アジアの新鋭監督を集めた「アジアの未来」、日本映画の気鋭作品をそろえた「日本映画スプラッシュ」の3部門を今年は「TOKYOプレミア2020」という1つの部門に統合、賞を競う形ではなく、その中の全作品を対象に、観客が投票して決めるという「観客賞」のみを設けるという変則的な対応がとられている。他にも日本公開前の作品をプレミア上映する『特別招待作品』など全部で6部門あるので部門ごとにまとめてみた。

TOKYOプレミア2020:ワールド・プレミアやアジアン・プレミアの作品を中心に、内外の個性豊かな監督による新作を公開する部門。日本、アジア、欧米、それぞれのバランスを取りながら32本の作品が集まっている。東京国際映画祭の中心となる部門で、最近の映画祭のテーマでもある貧困やボーダー、ジェンダーなどの社会的要素を取り入れながら世界各国の様々な作品を集めている。観客賞を実施するのもこの部門なので、映画祭により参加したい、味わいたい人に特にお薦め。

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②特別招待作品:日本公開前の最新作をプレミア上映するのが特別招待作品部門。上記で挙げた『ノマドランド』や『新感染半島 ファイナル・ステージ』などの映画好きにとっては要注目の作品などがズラッと並ぶのがこの部門。そしてこの部門は作品にもよるが、チケット発売と同時に即完してしまう作品が非常に多い…もし気になる作品がある人はチケット発売と同時に購入することをお薦めするぞ。

特別招待作品

③Japan Now:日本映画の今を俯瞰するJapan Now 部門。今年は『淵に立つ』(2016年)、『よこがお』(2019年)で知られる深田晃司監督作品の特集がされる。

深田監督

④ワールド・フォーカス:世界各国・地域の映画祭出品作や話題作から日本公開が未決定の外国作品、そして海外映画祭に出品されて話題となった日本映画も取り上げるというのが、この部門。この部門の作品も映画祭で受賞してる話題作などがあるなど、映画好きにとって見逃せない作品が多い。今年は台湾特集を実施し、昨年開始したラテンビート映画祭とのコラボレーション企画も継続するとのこと。(公式サイト参照)

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⑤ジャパニーズ・アニメーション:日本のアニメーション・VFXから生まれ、世界に羽ばたいたキャラクターにフォーカスする部門。アニメーションでは『劇場版『ポケットモンスター』』、VFXでは、生誕45周年を迎えたシリーズ『秘密戦隊ゴレンジャー』を中心に、スーパー戦隊シリーズを特集上映。さらに<アニメ映画の現在>を知ることのできる特集も行っているとのこと。(公式サイト参照)

ジャパニーズアニメーション

⑥日本映画クラシックス:国際交流基金の協力のもと、天才・山中貞雄の現存する3作品を修復。そして巨匠・稲垣浩の不朽の名作が特集。

日本映画クラシックス

⑦ユース(TIFF チルドレン/ TIFF ティーンズ):少年少女に映画の素晴らしさを体験してもらう部門。「TIFFティーンズ映画教室2020」は、中学生たちがリモートで集まり、映画を作り成果をスクリーンで発表する。「TIFFチルドレン」は小学生を対象に、サイレント映画の名作をパフォーマンス付きで紹介するコーナー。「TIFFティーンズ」は国際映画祭で評価された作品の中から、若者を主人公に持ち、高校生世代に刺激を受けてもらいたい秀作を上映とのこと。

ユース部門

【どんな作品が上映されてるか:気になる作品の見つけ方】

①公式サイトから調べる:まずは公式サイトの上映作品から作品情報を調べる事をおすすめしたい。その作品のあらすじ、どの地域の作品か、そして上映時間は何分くらいあるのかといった作品の基本の情報が把握できるし、予告編からその作品の雰囲気を掴むこともできる。(作品によっては予告編がない作品もあり)

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②YouTubeなどのSNSをチェックする:次にお薦めしたいのが、SNS上で発信してる作品紹介をチェックする方法。Twitter、インスタ、YouTubeなどのSNSで東京国際映画祭の宣伝は行われているが、個人的なお薦めはYouTubeでの紹介。下記の東京国際映画祭チャンネルでは、東京国際映画祭シニア・プログラマーの矢田部吉彦さんや石坂健治さん等による作品紹介を随時挙げている。(詳しくは下記リンクを参照)どんな作品なのかをより詳細に知れるだけでなく、どういった面が魅力的なのか、どういった背景を持った作品なのか等について語ってくれているので、より作品に興味を持つと共に自分が観たい作品を絞りこむことができる。

他にも、国内外の映画・セレブ情報を中心に、最旬のエンタメ情報を紹介するCinemaCafe.netでは、矢田部吉彦さんのBLOGを掲載しており、その中で東京国際映画祭の作品について文章で語っているので、文字で確かめたい人は(基本はYouTubeで語っている内容と同じ)そちらをチェックするのもお薦めだ。

余談:ちなみに筆者が今の所必ず観たいと思ってる作品は、「TOKYOプレミア2020」部門に選出されている『二月』と『ポゼッサー』の2本。カメン・カレフ監督は『アイランド』(2011年)からファンになっているので必ず観たいし、ブランドン・クローネンバーグ監督は『アンチヴァイラル』(2012年)が結構好きなので観たい。

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また、気になってる作品はまだ絞り込めてないが、現時点で特に気になるのは、『アップル』、『ノーチョイス』、『兎たちの暴走』、『トラブル・ウィズ・ビーイング・ボーン』、『第一炉香』、『悪の絵』などである。(あくまでも筆者の記録用として)

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【映画祭のチケットを買う時の注意点など】

ここでは映画祭のチケットを買う時に注意したい点などを述べておきたいので、東京国際映画祭初めての方などは良かったら参考にしてほしい。

①人気作品は即完の可能性大!:人気作品のチケットは即完が予想される。特に人気のあるのが特別招待作品や、邦画の人気俳優の登壇がある作品など。過去に東京国際映画祭で上映した『シェイプ・オブ・ウォーター』や『スリー・ビルボード』などはすぐに売り切れたという話を聞いている。今年の作品だと、『ノマドランド』や『新感染半島 ファイナル・ステージ』などは即完売必至!チケットの一般発売開始は10月24日だが、部門によって発売開始時間が違うので、その点にも注意しておこう。

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また会場の一つとなっているTOHOシネマズ六本木の各スクリーンの座席数の一覧も挙げておくので、気になる作品がどのくらいの座席数の作品で公開するのかも、チケット購入の順番に役立つかもしれない。

②上映時間、スケジュールの確認:次に注意したいのは上映時間、公式サイトではスケジュールが公開されているので、こちらで作品ごとの時間が被らないよう注意して欲しい。

③場所の確認:主にメインとなる会場はTOHOシネマズ六本木ヒルズとEXシアターの2会場。どちらも地図上では近い距離にあるが、歩くと意外に時間が掛かる…会場を間違えないよう事前に場所の確認はしておきたい。

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【まとめ】

という訳でいかがだっただろうか。あくまでも筆者が個人的に思う映画祭の魅力やポイントなどを紹介したが、もしこの記事を読んで少しでも映画祭に興味が湧いた人は、これを機に映画祭デビューをしてみてはどうだろうか?特に今年はオンラインでの配信も予定されているので、都内に住んでない人でも参加できるというのお薦めしたいポイント。筆者としては一人でも多くの人に映画祭に来て欲しいので、ぜひ考えて観て欲しい。



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