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才能じゃない「理論とプロセスで組み立てて、アイデアでまとめる」 ブランディングに強いロゴデザイナーの思考回路

「デザイナーはセンスがないとできない」

「元々絵がうまいんでしょ」

「どうせ専門の勉強をやってる人だけがなれるんだ」

それが全部誤解だということを、これから説明したいと思います。


初めまして、シモカタセイジと言います。
和歌山で、小さなデザイン事務所をやってます。

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シモカタのプロフィールはこちら

おかげさまで、ロゴ製作の実績も累計100件を超え、ブランディングの実績も30件超えるなど
ぼちぼちお仕事も充実しながら日々を過ごさせていただいています。

今日は、twitterで「こういうブランドコンセプトをロゴに落とし込むまでの思考が気になる!というか知りたい!」というリクエストをいただきましたので、一度僕なりに学んできたものを解説させていただこうと思います。

それとコロナでクラウドソーシングや副業に興味を持った人も増えたように感じます。そんなこれからデザイナーを目指す方にとって、もしかしたらお役に立つかも。そうなれば嬉しいな、とも思っています。

そして大切なことを一つ。

僕は、デザインの学校も出ていません。

元々、絵がうまかったわけでもありません。

試行錯誤し、学び、考えてお仕事にたどり着きました。

1:そもそもロゴって何?

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↑(これは、僕の屋号「Kikakushitsu」のロゴです)
まずは、ロゴって何か?改めて確認しましょう。

【ロゴタイプとは】

会社名や商品名のシンボル化を図るため、1つのマークのようにまとまって扱われる合成文字。一方、会社名や商品名を象徴する絵柄やマークのことをロゴマークという。また、それらを総称して単にロゴと呼ぶことも多く、会社ロゴ、商品ロゴのように用いられる。

出典:コトバンク[ロゴタイプとは - コトバンク]

日本語と英語で意味が若干違ったりしますが、大枠ではこの認識が一番わかりやすいと思います。

ロゴタイプ+ロゴマーク≒ロゴ と、僕は理解して人にも話すようにしています。

2:クライアントが「何を伝えたいのか」を理解する

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では早速内容に入っていきます。
ロゴをつくる打ち合わせ、というと
「どんなデザインにしましょうか?」という言葉から入る方も結構いるのですが、
これだと、正解にたどり着くまでかなりの時間を要するケースが多いです。

じゃあ、どうすればいいか?

僕は「相手が伝えたいことを出来る限り理解する」からスタートするようにしています。

具体的には

そのロゴを作成するものは
・どんなサービス(事業)なのか
・どんな特徴があるのか(差別化要素)
 *業界内での差別化(相対的差別化)
 *他では真似のできないこと(絶対的差別化)
・具体的には何を伝えるためのものなのか
・誰に対してのものなのか(ターゲットの確認)
・それによって、ターゲットは価値を得ることが出来るのか
 *どんな感情の変化が起こるのか(定性的価値)
 *どんな結果の変化を生めるのか(定量的価値)

この辺りまでを聞いてから、実際のデザインについての話に入ります。

なぜこれらを聞くのか?それは「ロゴのコンセプトを明確化して、クライアント自身で決断してもらう為」です。

3:共通言を作り、ターゲットの「感想」という共通認識としてのゴールをつくる

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ここからは前段で聞けた内容を、いかにビジュアル化していくかという話です。

まずは「共通言語」を作っていきます。

その前提として、僕がとても大事にしていることを共有させてください。
それは「デザインに対する言葉の意味は一人ひとり、違う認識を持っている」ということです。

例えばあなたが「かわいい」という言葉でイメージしたものと、
クライアントがイメージするものは同じではないのです。

つまり、その言葉だけを愚直に受け入れるだけでは、正解にたどり着くのがとても難しい。

では、どうするか?
僕は、打ち合わせで出てきたキーワードに対して、様々なデザインを一緒にみることで
そのギャップを埋めるようにしています。

同じように、もう一つ大事なことがあります。
それは「フレーミング」という工程です。


突然ですが一つ質問です。

例えは「オシャレ」なロゴを作ってくださいと言われて、
以下の2つを提案として提出しました。

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あなたはどちらを選びますか?

答えは、多分割れるはずです。

でも同じ画像に対して

「20代前半」の「若干ヤンチャな男性」が「オシャレ」で「楽しそう」
と、感じるロゴはどちらでしょう?というオーダーだったらどうでしょうか?

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おそらく、大多数の方が「左」を選ぶのではないでしょうか?

なぜ選べたのか、それは「オシャレ」という言葉に「条件」が付与されたから。
つまり「抽象的な言葉は、条件づけていくことでどんどん明確に出来る」ということです。

ここまでを、僕は打ち合わせで話すようにしています。

4:言葉で理由を説明出来るものをつくる

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ここからが、実際にデザインを構築するパートです。
前段までの内容を元に、イメージのラフを作っていきます。

その際に大事にしているのは、打ち合わせで聞いたことを、いかにロゴに反映させるか、です。

要件定義/ロゴタイプ/ロゴマーク/色付けに分けて、具体的に解説していきます。

要件定義:
2:で確認をとった「クライアントが伝えたいこと」をまとめ直します。

・どんなサービス(事業)なのか
・どんな特徴があるのか(差別化要素)
 *業界内での差別化(相対的差別化)
 *他では真似のできないこと(絶対的差別化)
・具体的には何を伝えるためのものなのか
・誰に対してのものなのか(ターゲットの確認)
・それによって、ターゲットはどんな価値を得ることが出来るのか
 *どんな感情の変化が起こるのか(定性的価値)
 *どんな結果の変化を生めるのか(定量的価値)

これらを、以下のようにまとめ直します。

・優先順位をつけてロゴに反映するもの
・ロゴタイプ/ロゴマーク/色付けのどれで伝えるのか
・ビジュアルとして判断する「ターゲット」の嗜好
・最終的にターゲットがそのロゴを見たときにどんな「感情の変化」を想起するのか

まとめ直したらそれぞれの要素を視覚化します。

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ロゴタイプ:
要件定義で決めた、文字によって与えたい印象を反映します。

・フォント選び
 ・オリジナルフォント(手書き含む)
 ・商標登録可能なフォント(要確認)*例えばAdobe Fontsは商標登録可能
 ・判断基準:フォントで伝えたいイメージを反映出来るものを選ぶ
  (ex:伝統的できっちりしたイメージ→歴史のあるフォントを採用/女性的なイメージ→線が細   く、角の少ないフォントを採用 等)
・文字レイアウト(カーニングの調整/サイズ/配置の調整)
 ・カーニングの調整
  (ex:間隔を広げる→余白感のある、落ち着いたデザイン/間隔をわざとバラバラに→個性や    隙の表現 等)
 ・サイズ
  (ex:大きめの文字→インパクトや社名の強調 等)
 ・配置の調整
  (ex:均一・中央に配置→安定感/サイズも配置もバラバラ→個性と楽しさの強調 等)

ロゴマーク:
要件定義で決めた、マークによって与えたい印象を反映します。

・マークの作り方例
 ・サービス(事業)の視覚化
 ・コンセプトの視覚化
 ・社名や事業名の視覚化
 ・思いの視覚化
様々な方法がありますが、出来るだけ簡略化し、イメージとして視覚化していくことが大切です。
得意なスタイルを身に着けるのもおすすめです。
(ちなみに僕は、サービスの視覚化と事業名(アルファベットや漢字)をビジュアル化するのが得意です。


色付け
・色選びにも意図を持たせる。
  (ex:淡いトーンで統一→優しいイメージ/白地に黒文字→安心感と高潔なイメージ)


このように、全ての要素に意味を持たせることが大切です。
そして
「これらをどうまとめて表現するか」

アイデアやスキルを使うのは、実はここだけだったりします。


5:「オリジナリティ」という悪魔に気をつける

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以上を組み立てると、かなりクオリティの高いものが出来上がっていると思います。
その上で、「ではこれがオリジナリティのあるものなのか」ということが脳裏をよぎります。
ここを確認することは大事です。ですが、その上でとても気をつけないといけないことがあります。

それは、
「デザインの歴史において、自分たちが思いつくレベルの素晴らしいデザインは、ほとんどが誰かによって表現されている」ということです。

何が言いたいかというと、盗作はもちろんダメ、けど、どこかしら似たデザインになることは否めない時もある、ということです。

そう考えるだけで、本当に伝えたいコンセプトからずれないロゴを提案できると思います。

6:まとめ

以上をまとめた上で、コンセプトをきっちり添えでデザインの提案を提出することが大切です。例えば僕の場合は、以下のようなフォーマットで提案をするようにしています。

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また、アイデアの部分は、それこそ引き出しの量がとても重要だと思います。気になる色使いのものやレイアウト、デザインのものを見つけたら、全部自分で分解してみて、そしてそれを分類して自分の知識としてストックすることが大切です。

どなたかのお役に立てればいいのですが。
質問やお仕事の相談等ありましたら、ぜひtwitterにてDMください!

では、最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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