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innocent worldは日本の音楽界に変化をもたらした曲だった

 Mr.Childrenが初の1位を獲得した作品で、日本の音楽界で当時デビュー3年目のバンドが社会現象になるほどのムーブメントを起こした一曲。もちろんミスチル以前にも素晴らしいバンドはたくさんあり、ムーブメントを生み出した例は多いですが、セールスとインパクトという点でみれば、時代に転換点をもたらした一曲ではないかと思います。

 元々バンドとしては珍しくポピュラリティを強く意識していた事もあり、「CROSS ROAD」でヒットを出し、その後、スピッツや、YELLOW MONKEY 等90年代はバンドが大きなヒット曲を連発するという一時代を築いたと言われますが、その先陣をきってヒットした曲といってもいいでしょう。

 リアルタイムでその社会現象を知らない私でも、この曲がいかにインパクトを残したかを感じ取ってみると、まずサウンドは今聴くと、90年代特有のデジタルサウンドで時代を感じさせますが、それでもタイムレススタンダードな作品である事は間違いないでしょう。

 歌詞を見ると十代よりも二十、三十代向けに書かれた印象があります。自分自身の胸の内を明かし、自分にしか歌えない歌詞。それまでラブソングが多かったバンドに新たな引き出しを用意した音楽プロデューサー小林武史氏の手腕もありますが、君への歌から僕の歌に変化しバンドの大きな軸を生み出した曲と言ってもいいでしょう。

歌詞は印象に残るものが多く、”窓に反射する(うつる) 哀れな自分(おとこ)が 愛しくもある この頃では”

”近頃じゃ夕食の話題でさえ仕事に汚されていて”から始まる二番の歌詞は、社会に出てからの悲哀 様々な角度から物事を見ていたら自分を見失ってた

”入り組んでる関係の中でいつも帳尻合わせるけど“(略)そして僕はこのままで微かな光を胸に 明日も進んで行くつもりだよいいだろう? Mr.Myself

"日の当たる坂道を昇るその前にまたどこかであえるといいな イノセントワールド” 大人になろうとしている心境にネガティブの中にポジティブが含まれていたり、整理しないまま生み出されたフレーズが実は多い。しかしこれが、上手く嵌っていて青春のあの頃を引きずっているけど、前に進む。というポジティブさに集約されていきます。失われた30年という時代背景もあり、自分探しみたいなものも生まれたといわれる1994年を象徴する一曲と言えますね。また”物憂げな6月の雨に打たれて”という文学的な一部分は名曲に必ずあると言っていいハッとさせられる瞬間であり、時代背景に関係なく、肌感覚で伝わるフレーズではないかなと思いました。

 聴き手によって様々な解釈が生まれ共感を持てるのも名曲でありますが、この時代をリアルタイムで見てみたかったなんて思ったりします。

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