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"交流"こそ下鴨ロンドの秘訣

written by Hiroshi Kawajiri(下鴨ロンド・シェアメイト)


2023年9月、京都では建築学会大会が開催された。全国から建築関係者が集まるこの期間を利用し、下鴨ロンドでは一般の人も参加可能な石割邸見学会を開催した。結果、学生を含め23名の方々が石割邸を訪れ、内9名は宿泊もされた。シェアメイトの私も何人かの参加者と話させてもらう機会があった。

今回の記事は見学会を通して改めて思った雑感である。





石割邸の魅力にはまず建物が持つ力が挙げられる。
築90年以上ながら、普遍的なデザインのオリジナルの内装が多く残っている。


また建物の状態もポイントだ。

数年前に主宰のhonmaさんが再発見した時のボロボロで室内の空気が澱んでいるような状態では一般人には敷居が高い。家の中に足を踏み入れることにも躊躇してしまう。かといってあまりに小綺麗になり過ぎているのあれば、流行りのオシャレな古民家○○○に行った方が手っ取り早い。(←古民家○○○は否定していません。私も大好きです)

「文明の利器からかけ離れることなく普通に生活できる」
「だけどまだまだ手直しする箇所がたくさんある」
というこの"絶妙な状態"も多くの人を惹きつけるのだと思う。




そして下鴨ロンドというコミュニティ
コミュニティと書いたが、下鴨ロンドは特定の思想を持つ集団ではない。理念に賛同した人たちが会費制のシェアメイトとして参加し、各々が自由に石割邸を活用しているだけだ。全員が一堂に会することもない。
しかしシェアメイト同士が顔を合わせる機会はある。


一つは現在もこれからもまだまだ続く石割邸の修復作業。これはシェアメイト以外のボランティアの人たちも多く参加している。


もう一つは不定期に開催されるイベント。
シェアメイトの誰かが海外訪問した時の報告会だったり、出張アンティークマーケットだったり、ビブリオバトルだったり…。


ここで重要なことは、修復作業やイベントへの参加は強制でも義務でも何でもないユルい活動だということだ。


こうした活動を通して、シェアメイトやボランティアメンバー、関係者の皆さんと知り合いになる。メンバーの年齢層や職種も幅広い。

毎回のように顔を合わせる常連さんもいるが、(今のところ)一度しかお会いしていない方も多い。個人的には、普段の仕事やプライベートではお会いする機会が少ない業種の人たちとも交流できることはとても楽しい。他の参加者も多分そう思っているのではないか?

そう、下鴨ロンドは交流の場でもあるのだ。(もちろんイベントなどに参加せず、交流も求めず、ただ石割邸を利用するだけでも全く問題ない)


では石割邸と下鴨ロンドにはどんな関係があるのか?

下鴨ロンドはコミュニティで、これまで書いてきたように交流の場となるイベントも開催しているが、そもそもの出発点は石割邸の修復・保存だ。石割邸がなければ下鴨ロンドはないし、逆に下鴨ロンドが解散すれば修復資金となる会費もなくなり、石割邸の維持は難しくなる。つまり下鴨ロンドが今後も続いていく(=人の交流が続いていく)からこそ石割邸も維持されていくということになる。



話は冒頭に戻る。

今回多くの見学者が訪れてくれた。その方々は建物としての石割邸を堪能すると共に、下鴨ロンドという活動にも共感して頂けたかと思う。特に宿泊までされた方はhonmaさんや宿泊者同士で交流する機会もあったので、よりそのことを感じてくれたのではないだろうか?(私も一晩、参加者の方と深夜まで話させて頂いた)



今後もこうした交流が続いていくことをシェアメイトの一人として願っている。


そして今回ほぼお一人で対応して頂いた主宰のhonmaさん、お疲れ様でした。
とても素晴らしいイベントでした。


※ この記事は主宰者や他のシェアメイトの意見を代表するものではありません。


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