作業用にどうぞ【BS 山本周五郎人情時代劇】下巻「初蕾 あだこ しじみ河岸 泥棒と若殿 おもかげ抄 めおと蝶」の六話です。

■作業用まとめ 山本周五郎人情時代劇 上巻

■初蕾
■ 1947年(昭和22年)1月 『講談雑誌』
この年は、大恩人「山本周五郎」店主が死去しております。前年には、きんさんと再婚して、横浜に移住。人間嫌いを開始しながら、創作活動にうちこむ周五郎先生。蒸気河岸の先生は横浜でなにを得ていくのか? 山本周五郎、戦後の苦闘がはじまります。

■登場人物
お民……小料理屋「ふじむら」の女中。半之助の子を身ごもる。
梶井半之助……良左衛門の子。お民を愛するが、同僚を斬り江戸へ行く。
喜右衛門……廻船問屋「島屋」の隠居。お民の世話をしようとする。
太市……お民の兄。
梶井良左衛門……半之助の父。稲垣家の港奉行。藩を退き閑居する。
はま女……良左衛門の妻。
お房……「ふじむら」の女中。
森田久馬……半之助の同僚。半之助と口論し斬られる。
小太郎(松太郎)……捨子。良左衛門夫婦に育てられる。
うめ……良左衛門夫婦に小太郎の乳母として雇われる。
俣野考太夫……国家老。


■用語集
借分……シャクブン・借金
御師……オシ・祈祷を行い、参詣のための宿泊や案内などをする神職
致仕……チシ・退官して隠居すること
無為……ブイ・自然のままに
蔬菜……ソサイ・野菜、青物
手燭……テショク・手に持つ燈
讒誣……ザンブ・事実でないことを言い立てて他人をそしること
山家……ヤマガ・山中にある家
虫気……ムシケ・子供のひきつけ、やかんしゃく
規矩……キク・規則
厭悪……エンオ・嫌悪
蟄居……チッキョ・自宅や一定の場所に謹慎すること
久闊……キュウカツ・無沙汰をわびること
仰高門日講……ギョウコウモンニッコウ・昌平黌の講学。ほかに御座敷講釈などがあった。1800年頃より開始




■あだこ
1958年(昭和33年)2月 『小説倶楽部』
 傷ついた一組の男と女が、自分をとりもどしていく。
 まっすぐな人たちの、ちょっと泣けて、ちょっと心温まる——そんな物語です。

◆あらすじ
 許嫁に逃げられ、自暴自棄に暮らす半三郎。飯を食う金も気力もなくなり、餓死をまつばかりとなっていた。
 そんな半三郎が目にしたのは、荒れ果てた屋敷の庭でせっせと草を抜く真っ黒なおんなであった――
「お前は誰だ?」

 山本周五郎が贈る、この世で最もやさしい物語。全文朗読でお送りしております。


◆登場人物紹介
小林半三郎……許婚者に逃げられ自暴自棄になる。
あだこ……津軽の出身。半三郎の屋敷に押しかけ下女になる。
小林半兵衛……半三郎の父。
金森みすず……主膳の娘。半三郎の許婚者。
金森主膳……書院番。半兵衛の上役。
曾我十兵衛……旗本。使番。半三郎の友人。
秋田源右衛門……半三郎の友人。
三枝小市郎……半三郎の友人。
安部右京……半三郎の友人。
市兵衛……米屋の主人。
銀太……魚屋「魚銀」の主人。
曾我伊予守正順……十兵衛の本家。書院番頭。

◆用語集
後添……ノチゾエ・後家・再婚相手
家扶……カフ・家務、会計などを携わる人
お端下……奥方などに使えて、雑用する女性。おすえ。はしため
別殿……ベツデン・本殿とは別に建てた宮殿社殿
斟酌……シンシャク・事情・心情をくみとって手加減すること
請け人宿…… 雇い人などの身元を引き請けて就職の世話をする家。人宿。口入れ宿。桂庵(けいあん)。
進物番……シンモツバン・大名旗本からの献上品、将軍からの下賜品などをつかさどる



■しじみ河岸
 吟味役に昇進したばかりの律之助は、殺人事件で自首したお絹に違和感をもつ。この女、下手人ではないのでは? 律之助は再吟味のために、証拠集めに奔走するが、その裏には、父の悲しい告白が隠されていた。著者得意の人情話です。

■登場人物紹介
花房 律之助……南町奉行所吟味与力。お絹の事件に疑問を持つ。
高木新左衛門……南町奉行所吟味与力支配並。律之助の従兄。
小森平右衛門……南町奉行所吟味与力。
お 絹   ……勝次の娘。卯之助殺しで自首。
勝 次   ……お絹の父。病気で寝たきり。
直 次 郎 ……お絹の弟。
卯 之 助 ……左官職。お絹の恋人。
伊 与 吉 ……卯之助の父。
源 助   ……長屋の差配。
源 兵 衛 ……差配。
儀 平   ……相模屋主人。
清 太 郎 ……相模屋の若旦那。
茂 吉   ……相模屋の番頭。
石出 帯刀 ……幕府囚獄奉行。
志村 吉兵衛……同心。
梶野 和兵衛……同心。
伝 次   ……しじみ河岸の子供。
倉 造   ……しじみ河岸の子供。
六 助   ……遊び人。律之助を襲う。
弥 五 郎 ……船番の老人。

■用語集
既決……キケツ・すでに決定したこと
口書……クチガキ・江戸時代、供述を記録したもの。武士の場合は、口上書きと言われた。
差配……サハイ・所有者にかわって、貸し地、貸し屋の管理をする
囚獄奉行……町奉行の支配化で、牢屋・入牢者に関することを取り扱った。
石出帯刀……囚獄奉行の世襲名。明暦の大火で、罪人の切り放ちを行った人物が、もっとも有名。元禄二年に没している。
雑俳……ザッパイ・遊戯的な俳諧の総称。
獄衣……ゴクイ
文銭……ブンセン・文字銭のこと。寛永通宝の異称
手びしょう……手ひどく



■泥棒と若殿
1949年(昭和24年)12月 『講談倶楽部』発表作品

御家騒動にまきこまれ、廃墟に幽閉される成信。刺客におそわれ、食うにも事欠く彼のもとにあらわれたのは、泥棒であった。

■登場人物
成信……大名家の二男。お家騒動で幽閉されている。
伝九郎……不幸な泥棒。
大炊頭成豊……成信の父。藩主。
成武……成信の兄。
滝沢図書助……江戸の筆頭家老。
梶田重右衛門……側用人。反滝沢派。
鮫島平馬……梶田派の侍。
新三……伝九郎の継父。七つの時、死去
吉五郎……古石場の人足。伝九郎を裏切る。
室久左衛門……藩の中老。

■用語集
常住(じょうじゅう)……いつもそこに住んでいること
古書院(こじょいん)……母屋から張り出した部屋。小さな書院。
重過(じゅうか)……重大な過ち
蟄居(ちっきょ)……武士の刑罰の一つ。自宅や一定の場所に閉じ込めて謹慎させた物。
杣道(そまみち)……細くてけわしい山路。
車力(しゃりき)……大八車などをひいて荷物を運搬するひと
待命(たいめい)……命令の出るのを待っていること。その地位を保ちながら、職務や任地が決まらないこと。
前栽(せんざい)……草木を植えた庭。または植え込みのこと。
気宇(きう)……心の持ち方。
おじゃん……火事が鎮火したときの半鐘の音からきた。物事が中途で駄目になること。



■おもかげ抄

 定九郎を思わせるような美男。実は文武両道の達人なのだが、女房の我が儘気ままをひたすらきいて、周囲からは甘田甘次郎とあなどられている鎌田孫次郎。寺子屋の師匠とあいなったが、御意討ちの侍を見事討ったことで、孫次郎の真実が少しずつ明らかになっていく。
 旧題は愛妻武士道で、同名での映像化もされた。1937年(昭和12年)7月 『キング』掲載。

■登場人物
鎌田孫次郎……文武両道の達人だが、長らく浪人。女房に甘次郎との噂があるが。
椙江……孫次郎の妻。
六兵衛……「猪之松」の隠居。孫兵衛の面倒をみる。
吉公……問屋「猪之松」の雇人。
犬飼研作……御意討ちに倒れた侍。
沖田源左衛門……井上播磨守の大番頭。
千之助……源左衛門の息子。
小房……源左衛門の娘。
林主殿……源左衛門の老友。

■用語集
家作(かさく)……貸し屋
客来(きゃくらい)……客が訪ねてくること
水口(みずぐち)……台所
慮外(りょがい)……思いがけないこと。無礼であること。
意趣(いしゅ)……人を恨む気持ち。
鋩子(ぼうし)……刀剣の切っ先の刃
茅屋(ぼうおく)……茅葺きの屋根や家
入来(にゅうらい)……じゅらい。他人が来訪すること。おいで
笑納(しょうのう)……おくりものを笑って収めてくださいという気持ちをこめてつかう。
唱名(しょうみょう)……仏の名を出して唱えること
呵責(かしゃく)……責めさいなむこと。
微衷(びちゅう)……自分のまごころをへりくだっていう。
情誼(じょうぎ)……人と付き合う上での、人情や誠意
卒然(そつぜん)……突然。だしぬけ。
赫々(かつかく)……勢いが盛んな様





■めおと蝶
1950年(昭和25年)4月 『講談倶楽部増刊号』発表作品で、山本周五郎本人も、「本当に小説らしい小説が書けるようになったのは、昭和二十四五年ごろ」と語っておられます。なにか開眼するところがあったのでしょうか?

 この年より、それまでの主戦場だった博友社から、新潮、講談、朝日、読売、など、諸雑誌や週刊誌に活躍の舞台を広げていきます。

 長篇「楽天旅日記」を一〜十一月にかけて【講談雑誌】に発表。そんな最中に書かれた本作は、長篇とはうってかわっての、夫婦の情愛、愛憎を描いた作品。純文学も大衆文学もない、本物の小説を追い求めた周五郎の、前半生の忸怩たる自分への思いを良平に重ねてみた、と思うのは考えすぎでしょうか? ともあれ

 お聴きください。

■登場人物
信乃……良平の妻。夫の自己中心的な性格を嫌悪する。
上村良平……大目付。信乃の夫。低い身分から成り上がった劣等感を持っている。
文代……信乃の妹。
西原知也……馬廻り総支配助役。信乃の幼なじみ。
甲之助……信乃の長男。
すぎ……甲之助の乳母。
井巻済兵衛……国家老。良平をひき立てる。
住川繁二郎……信乃の兄。
黒部武太夫……父方の叔父。中老。
松島外記……母方の伯父。老職肝入。
渡辺主税……次席家老。
佐渡幸左衛門……老職。
沼野又蔵……老職。
小林道之助……筆頭年寄。
大和守貞昭……藩主。
原田市之丞……収納方。
川口大助……郡奉行。
坂本数右衛門……郡奉行。
武井武右衛門……文代の婚約者。

■用語集
渦紋……カモン・渦巻き模様
間歇……カンケツ・一定の時間をおいて、物事が起こったりやんだりすること
説諭……セツユ・悪い行いをあらためるようにいいきかせること
瀆職……トクショク・汚職

■目次
0:00 初蕾 一
8:07 初蕾 二
15:58 初蕾 三
23:36 初蕾 四
31:49 初蕾 五
40:08 初蕾 六
48:41 初蕾 七
56:56 初蕾 八
1:05:03 初蕾 九
1:13:09 「あだこ」一
1:22:52 「あだこ」二
1:33:02 「あだこ」三
1:42:40 「あだこ」四
1:55:12 「あだこ」五
2:06:25 「あだこ」六
2:17:28 「あだこ」七
2:25:13 「あだこ」八
2:35:49 「あだこ」九
2:43:52 しじみ河岸 一
2:52:07 しじみ河岸 二
3:00:01 しじみ河岸 三
3:08:25 しじみ河岸 四
3:20:40 しじみ河岸 五
3:29:40 しじみ河岸 六
3:37:29 しじみ河岸 七
3:45:17 しじみ河岸 八
3:53:15 しじみ河岸 九
4:01:20 しじみ河岸 十
4:06:44 泥棒と若殿 一
4:14:36 泥棒と若殿 二
4:21:56 泥棒と若殿 三
4:28:56 泥棒と若殿 四
4:37:18 泥棒と若殿 五
4:44:08 泥棒と若殿 六
4:51:35 泥棒と若殿 七
4:58:41 泥棒と若殿 八
5:06:10 泥棒と若殿 九
5:13:52 泥棒と若殿 十
5:22:07 泥棒と若殿 十一
5:29:53 おもかげ抄一
5:36:04 おもかげ抄二
5:42:09 おもかげ抄三
5:49:13 おもかげ抄四
5:57:18 おもかげ抄五
6:04:02 おもかげ抄六
6:12:02 おもかげ抄七
6:20:23 めおと蝶 一
6:27:02 めおと蝶 二
6:41:25 めおと蝶 三
6:48:40 めおと蝶 四
7:03:18 めおと蝶 五
7:10:25 めおと蝶 六
7:24:59 めおと蝶 七 
7:40:30 めおと蝶 八

出版社「丸竹書房」を運営しています。