見出し画像

麻雀ミリオネア第4戦の感想文・後編(しもで先生視点)

・2回戦まであらすじ

2回戦までの戦いは、こちらの記事をご覧あれ。

1回戦は千羽師匠に大暴れされる。
スリアロチャンネルの名物(?)ディレクターあらいさんの胃がキリキリ痛む展開だ。あらいさん、すまぬ。

2回戦は私が僅差でトップ。
千羽師匠は3着。ラスだったら、我々だけでなく視聴者的にも面白い展開になったんだけどなぁ。

そして、2回戦終了時点でトータルスコアはこんな感じ。

私の条件は、
・トップ
無条件で勝ち。
・2着の場合
千羽師匠トップなら、私の勝ち。
浅井プロトップなら、90.2p以上の差がつかなければ勝ち。
元太プロトップだと、ちょっと面倒臭い。千羽師匠がラスならば17.5p以上の差をつければOKだが、千羽師匠が3着だと37.5p以上の差をつけなくてはならないのだ。
・3着の場合
3着でも並びによっては勝利条件がある。
トップから順に、千羽→浅井→しもで→元太の並びならほぼ勝ち。
浅井→千羽→しもで→元太の場合でも、浅井プロと70.2p以上の差をつけられなければ勝ち。
ちなみに元太プロが私より上だった場合は、千羽師匠に37.5p以上の差をつけられなければならない。

私の勝利条件をまとめると、
トップを取る
トップでない場合は、
元太プロより上になる
千羽師匠と2着順かつ17.5p以上の差をつける
3着の場合でも元太プロがラスであればほぼ勝ち
のどれかを満たす事。
長々と書いたが、通常の段位戦と違う戦い方になるので、色々と説明しておきたかったのである。
特にトーナメント戦の最終戦は、それぞれの思惑が凄く絡んでくるので、その辺も見てもらえるとより一層楽しめると思う。

ちなみにアーカイブ動画はこちら。
特に綱川プロの解説、咲乃もこさんの麻雀愛に要注目。

そういえば、2回戦の途中まで私の名前の表示が間違っているというね(下出和弘になってる)。
日本一地味なタイトルホルダーという異名が、決して自虐ネタではない事がお分かり頂けただろうか。
まぁ、下手和洋と書かれるよりはずっとマシではあるが。

・トーナメント戦ならではの思考、その1(3回戦東2局)

さて、3回戦。
私はラス親。これはラッキー。
オーラスの時点でリードしていればノーテン流局でOKになるし、リードされていてもひたすらアガる事を考えればいい。
何としても一足早くリードしておきたい。トップならなお良し。

しかし、先制したのは起家の浅井プロ。
しかも満貫からのハネ満。
私も筋トレしようか迷うくらい、力強いアガリを見せつけられた。

まぁ、浅井プロはまだまだ素点が足りないので、もう一発満貫クラスが出たら焦る事にしよう。

次局は私と浅井プロとのリーチ合戦。
リーチのみだが、私にとっては大きいアガリ。元太プロを一歩だけリード。

そして、表題の東2局0本場を迎える。
早い手では無いので、せめて少しでも高くしておこう、という事でマンズのホンイツ狙いの進行。
5巡目はここから打5p。

その後も順調(?)に進み、ひとまず5mポンから発進。

続いて、發も元気良くポン。

2つも仕掛けて守備力が少しだけ不安だが、当面の敵である親の元太プロの安全牌は現状3枚ある。元太プロのは、ね。
この時点で千羽師匠が既にテンパイしている事なんか知る由もない。

11巡目、千羽師匠が14sに待ち替えしたうえでリーチ。
え〜と、千羽師匠の安全牌は…。9mしかない。
そして1発目に引いたのが、1s。

ここはひとまず白を切ってイーシャンテン維持しておこう。
テンパイしたら1s勝負だな。

2sがくっついた。
依然として安全牌は9mだけ。
一応満貫イーシャンテンだし、1sがワンチャンスになったし、という理由で1s切るのもあり。というより、段位戦ならここで1s切ってるかもしれない。
ここは渋々、唯一の安全牌を消費しよう。奇跡的にドラ通らないかなぁ。

残り4巡なのに、スジすら無くなった。
ここでもワンチャンスの1sが選択肢に入る。牌理だけなら1s切りであろう。段位戦なら多分ここで1sを切っていると思う。

しかし、これはトーナメント戦。
現状トータル1位の千羽師匠が私の仕掛けに対してリーチしてきた理由を考えてみよう。
役が無い可能性が相当高い
千羽師匠の立場としては、役があったら絶対ダマテンにしたいはず。なんなら今回の14sですらリーチしようか迷っていたのではなかろうか。
待ちが良い可能性がそこそこ高い
私の仕掛けはマンズのホンイツがかなり濃厚。という事は、中途半端なマンズ待ちでは対抗しないはず。あるとしたら14mか。36mと47mだったらごめんなさいだけど。

という事で選んだのは2m。
私が5mポンしていて、25mでリーチしてくる事は無いよね?
とはいえ258mの可能性も少しだけある。その時は千羽師匠を褒め称えようではないか。

そして2mは無事に通過。
しかし18巡目に再び手詰まる。

押し寄せるソーズ。
残されたマンズ。
どれも無スジ。
なんと哀れな手牌なんだ。

前述の理由で、ソーズはどれも触らない。
マンズだとしたら危険度が高いのは14m。
というわけで、ラス牌の5mなんて持ってないといいなぁ。
と、心の中でお願いしながら打6m。

これも無事に通った。
しかし次はハイテイ手番。ここで安全牌ゼロだったら、流石に牌理に殉じて1sを切るつもりだったのだが…。

結果は千羽師匠のツモアガリ。
元太プロとの点差が500点だけ広がった。
しかし、それも束の間。元太プロが満貫アガって再逆転。

南1局1本場。供託が1000点。

役牌トイツが2種類あるとホンイツにしか見えなくなる病という、競技麻雀の選手にありがちな病気を持っている私は、ここから打9p。
どうせホンイツに行くんだから、第1打は少しでも大人しく見せたいという一打である。
健康な人は東か9sを切りましょう。

その後、3巡目のツモ4mで、流石にホンイツは諦めて打9s。
7mのくっつきも期待しつつ、東が重なればトイトイ狙いで。

そうこうしているうちに、ホンイツにもトイトイにもならず、何も鳴けずにいたが、なんとかイーシャンテンまで手牌がまとまる。
これはこれで悪くない、と思っていたら、浅井プロと元太プロが立て続けにリーチ。

千羽師匠が元太プロのリーチ宣言牌をチーして、2人まとめて一発消ししつつ、チーテン。
そして、ついに私にも絶好の258m待ちのテンパイが入り、真っ向勝負!

元太プロの47m待ちが4枚残りで一番強い。私の258mは残り3枚。
千羽師匠が一発目に掴んだのは8m。親の浅井プロには現物になっているが、他の2人には通っていない。
千羽師匠の立場を考えてみた。
親の浅井プロに満貫クラスの放銃だと、浅井プロにまで現実的な勝利条件が生まれてくるので、なるべく避けたい。
元太プロに放銃した場合は、現時点ではまだまだ相当有利。しかし元太プロがトップにまでなって、かつ私が2着まで浮上すると、千羽師匠の敗退が現実味を帯びる。
となると、私のアガリが師匠にとっては一番マシ。
テンパイ維持しつつ、浅井プロの放銃は避けて、これが通れば向こう2巡は安全に行ける、という事で打8m。

千羽師匠にとっての最善は自分のアガリだが、待ちが苦しいのでそこまでは望めない事を思えば、最善に限りなく近い次善の結果だろう。
私も嬉しいが、千羽師匠も多分嬉しい結果のはず。

・トーナメント戦ならではの思考、その2(3回戦南2局)

南2局。親は元太プロ。
ここは早く親を流したい。
かといって、1000点程度で流したところで、もうひとアガリは必要。
あわよくば3900点クラスは欲しい。

ドラは無いものの、ソーズが多めで白がトイツ。ここでの狙いはソーズのホンイツ。

ここから白をポンして、打7p。
通常、ホンイツ狙いというのは手牌の速度が落ちる事が欠点になるのだが、今回のケースに限れば好材料があるのだ。
上家の千羽師匠の存在である。
千羽師匠にとって一番困るのは、元太プロの連荘。
私にとっても一番困るのも、元太プロの連荘。
はい、ここで利害関係が一致しましたね。

千羽師匠は出来メンツから3sをぶっこ抜いてまでアシストに入る。
かといって3sをポンしてしまうと、その後のアシストを受けにくくなる恐れがある。
次の4sはガッツポーズしながらチー。

さらに1sもチー。

待ちは2枚切れの西単騎を選択。
ション牌の南単騎の方が枚数は多いのはもちろん知っているのだが、今切っておかないと、元太プロに切りきれず待ち替えが出来なくなる恐れもある。千羽師匠からしても南は元太プロに対して切らない可能性もある。
その後は待望のツモ8s。これは待ち替えしよう。

千羽師匠なら58sを持っていれば切ってくれるはず。
とか思っていたら、千羽師匠が6pをポン。なんとタンヤオのテンパイではないか。

元太プロのアガリよりはマシだが、そもそも私も3900点クラスをアガりたくて仕掛けているのだ。

その後、千羽師匠は8pを引いて待ち替えからの5p引いてオリ。
そうこうしているうちに、元太プロも3枚見えてるカン6pテンパイ。
千羽師匠と2人で掴みたい58s。ようやく私のところに来ましたよ。

南3局1本場。
千羽師匠がソーズの一色に染める仕掛けを見せる。

この辺の仕掛けの思考については、千羽師匠視点の動画を見てもらおう。

そして私のハイテイ手番。

千羽師匠はドラをポンしている浅井プロの打2mを見て、手出しで2mを合わせ打ちしている。流石にノーテンの可能性が相当高い。
ここで悩んだのは、5sか6sが浅井プロに切りきれるかどうか、である。
テンパイ維持が出来れば、元太プロとの点差が10100〜11100点になる。これはまぁまぁ大きい。
しかし放銃となった場合、オーラスは少なくとも1回はアガらないといけなくなる。
放銃の可能性は低いものの、最悪の結果は避けたい。
というわけで、オリて流局。
結果は全員ノーテン。
そして、元太プロと7100点差をつけたまま、南4局2本場を迎える。

・トーナメント戦ならではの思考、その3(3回戦南4局2本場)

さて、配牌はどうかな?
安い手でアガって連荘には意味が無い。5800点以上の手を早くアガれるならアガるかなぁ。
おぉ、ドラが2枚ある!

リーチをしてしまうと、
①元太プロに直撃の可能性を増やしてしまう
②リーチ棒による元太プロの条件緩和
③流局したら強制連荘
というデメリットしか無いので、リーチに頼らないように進行していきたい。
という事で、第1打はチャンタを見て打6m。

すると、すぐさまドラがアンコに!
しかも役牌だし。
こうなると、役の心配が不要なので、字牌を切り飛ばす。

その後、6mを引き戻して9mを引いて、5巡目にして満貫のイーシャンテンになる。
チーテンは取ろう。
ポンテンは千羽師匠と浅井プロからならポン。元太プロからはポンしない。
テンパイよりも、当面の敵でもある元太プロの安全牌は少しでも多く確保しておきたいからだ。

11巡目、元太プロの安全牌が増えないうちに、千羽師匠から7mが出る。
これはチーテンとっておこう。

ノーテン流局でもOKな私が、この場面でチー。
相手からどう見えるかというと、
東ドラ3のテンパイ
悪くとも、
「東バックのテンパイで、手牌の安全度がそこそこ高い」
というような手牌をイメージするはずだ。

というわけで、千羽師匠は私に絶対に放銃しないように立ち回るだろう。
浅井プロも自分の放銃は条件がさらにキツくなるので、横移動を願いながらオリるはず。
一方の元太プロはそんな事は言ってられないので、1300・2600ツモ条件に向かってひたすら自分の都合で打つのみ。
ちなみに私の待ち、まだ山に3枚いたんだね。

そして14巡目。
ついに元太プロからリーチ。
一発ツモか裏ドラ1枚条件である。

あとは私から直撃した上で裏ドラ1枚。
「そんな、直撃とか無いでしょ」
とか思うなかれ。
私の手牌には、安全牌が1枚しか無いのだ。

一発目は唯一の安全牌9sを切る。
そして元太プロの一発ツモは…ならず!
4pが通ったから、次はスジの1pかな。
と思っていたところに、千羽師匠から9sが出る。

これをチーして打1p。
テンパイ復帰ではあるが、本来の目的ではない。アガリに関しては「あわよくば」である。
真の目的は、元太プロのハイテイをずらす事。
これをサボってハイテイの1ハンで条件を満たされたら、目も当てられない。

次巡に5sを掴み、再びテンパイを崩す。
それはさておき、実は現状安全牌が無いのである。次の候補はダブルワンチャンスの9mになるのかな。
コイツは困った、と思っていたら、元太プロがツモ!
メンピンツモで現状は700・1300。
裏ドラがあったらワシのギャラが無くなる!(勝ち負けはどうでもいいのかよ)
乗るな乗るな乗るな乗るな乗るな乗るな乗るな乗るな!

乗らず!
やったやったやった勝った勝った勝った!

というわけで、私の勝ち!
ギャラはなんとか死守したぜ!

あっ、そうそう。
千羽師匠も見事に勝利。
というわけで、千羽師匠の麻雀ミリオネアはまだ続く。
最終戦は誰が相手なのかは知りませんが、盛り上がると良いなぁ。
自分のミッションは達成したので、これから色々大変であろうスリアロのスタッフ(特にあらいディレクター)の事はもはや他人事である。

千羽師匠について改めて思った事をもう少しだけ書こう。
観戦した時も凄さを見せてくれたけど、一緒に打ってみてもやはり凄かった。
配信の時に驚いたのは「ラグ読み」の精度の高さ。
コレばかりは対応しきれないとは思ったものの、1〜2回戦は鳴き無ししたりしなかったり、試行錯誤でやってみた。
しかし、3回戦は敢えて鳴き無しモードにはしていないのである。千羽師匠から少しでもアシストを受け易くできれば、という狙いである。
もっとも、どれほど効果があったかは分からないが。

・Vtuberと神域リーグ(後書きのようなもの)

そういえば「神域リーグ」 というVtuberとMリーガーがコラボしているリーグ戦が、昨年から始まっている。

Mリーガーが絡んでいるものの、正直なところまるで興味が沸かなかった。

しかし、今回の千羽師匠と戦ってみて、Vtuberについて考えを改めないといけないな、と痛感した。
そこで、神域リーグでは千羽師匠はどこのチームなのかと調べてみたら、なんと無所属。神域リーグにもドラフト会議があり、残念ながら指名されなかったようだ。


「千羽師匠でさえ指名されない神域リーグっていったい?」という感じで、気になり始めている。

更に調べてみると、神域リーグは配信だけじゃなく、パブリックビューイングもやってるんだね。

パブリックビューイングが定期的に出来るくらい、人気のコンテンツになっているわけだ。時代は変わったなぁ。

配信はアーカイブでも観られるけど、ネット麻雀のパブリックビューイングってどんな感じなんだろう。
観に来ている人ってどんな人なんだろう。
未知なる景色に興味が湧き始めてきた。

急激な時代の移り変わりを感じながら、今回の感想文を締めようと思う。

長々とした文章となりましたが、ここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?