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死神のこども 3

私、ヨルと相棒の天使ヒカリは、幼なじみだ。幼少期にもずっと一緒で、友達のほとんどいない私の唯一の理解者だった。私が死神を、彼女が天使を選ぶとなったとき、お互いにサポートし会おうぜ、といって飛び立ってった。

正直なところ、ヒカリが天死省まで同伴してくれるのは、ありがたかった。思ったより、自分が落胆していたから。天死省まで、ジウの入った甕をかかえて無言で歩く。天使や死神なのに飛ばないの?と思われるだろう。飛ぶのは存外つかれるのだ。下界に降りるならともかく、歩いて行ける距離だから歩くのだ。ともかく、目の前に天死省らしき、それなりに立派な建物が見えた。正面の扉に手をかざす。第一の認証は、個人個人で違う波動だ。光彩の認証と、使用武器の確認もされた。死神天使も人間風にいうところの上級公務員なのだ。重要な省庁のセキュリティは厳しい。

こういう省庁の常で、どこに何の部署があるのかが非常に分かりにくい。A地点で再度認証、B地点にワープ、その後廊下の突き当たりを右に曲がって...到達するころにはすっかり心が荒んでいた。何の真似なのだ、これは。

「あのう」管理課の受付で声をかける。「創世申請」で来た子供が突然砂に崩れまして。このような前例があるか知りたく、伺いました。」「子供の記録は創世課に残してあるはずです。何人か、かなりの古株の方もいらっしゃるので、そちらでお聞きした方が良いかと思います。」「そうですか、ありがとうございました」

またあのうんざりするようなワープ地獄を抜けて、創世課に向かったのだった。

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