悪口の正体、そして茨城について。

『悪い言語哲学入門』の著者の方がアフターシックスジャンクションというラジオ番組で、悪口の定義について解説していた。悪口とはすなわち「ランク付け」だ。

相手が傷ついたかどうかを基準にすると、鈍感な人には何を言っても悪口にならないことになるけれど、んなこたぁない。たとえ相手が傷ついていなくても、悪口は悪口だ。

一見して、悪口と捉えにくいものもある。
「〇〇ちゃんは勉強できて良いね〜」
相手との関係性ができていて単なる褒め言葉なら良いが、これが「あんたは勉強できるけどブスだよね」的なニュアンスを帯びるとき、相手を可愛いかどうかランク付けに引き摺り込み、下に置く含意があるとすると、それは悪口だ。

自分で言う自虐は良いけど他人に言われてむかつくことも、このランク付けの考え方でいける。自分を自分より下に置くことはできない。自分は自分にとってオンリーワンだから。一方で、他人が自分を評価すると強制的にランクの中で下位に置かれる。ムカっとくる。
これを社会的に広げると、「黒人なら良いが白人に『ニガー』と言われると差別と感じる」なんてことになる。

我々はランキングが好きだ。しかして強制的にそこに組み込まれ常に劣位に置かれるとき、それは悪口になる。

と、いうことで、都道府県魅力度ランキングは茨城にとって素朴に悪口であると思う。ジェンダーギャップとか、PISAの学力テストなら、数値が出るから女性管理職増やすなり子どもの教育プログラム見直すなり対策がとれる。けれども「クラスでアンケートとったら何か知らんけど茨城くんが一番モテないっぽいよ。7年連続おめでとう」とか言われてどうしろと?モテようとイキがればイキがるほどモテなくなるという無限地獄。

しまいには、言い訳のような感じで茨城にもこんな魅力ある!とか言わされる始末。
だいたい、魅力度ランキングトップクラスの北海道、沖縄、京都に東京より下位争いの方がニュースになる時点で怪しい。46都道府県は茨城の悪口を言って安心するわけだ。もはやいじめである。

人は言うだろう。そんなの気にしなければ良い。
そう、別に気にしていない。
しかしてその時期になるとニュースにうっすら魅力度ランキングが入り込んでくるのである。
また人は言うだろう。そんなの見なければ良い。
予告してくれればな!
ぼーっとテレビ見てる時とかYahooニュースとかにチラつかなければな!

残念ながら、一度モテない認定をされた者は何があってもモテない。それが日本社会の現実だ。ヒーロー大歓迎のアメリカならば事情が違うかもしれないが。

駄文だ。失礼した。

茨城に栄光あれ!

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