ユクスキュル未邦訳文献(1)Was ist Leben?
ユクスキュルの未邦訳文献の日本語訳の一部を公開。ちなみにオリジナルの版権は切れていますので、ご安心を。
"Was ist Leben?" 『生命とは何か?』という、たった1ページの小論は1920年(ユクスキュルが56歳のとき)に"Die Neue Rundschau"に掲載されたものです。
この論文の争点は20世紀初頭の生物学らしく、創発を巡るものとなっています。彼は「機構(Gefüge)」と「構造(Struktur)」という概念を使い分け、部分と全体の関係を論じています。さらに、面白いのがなんらかの構造を持つものの発生について、求心性と遠心性の区別を用いている点です。
少し前に、ユクスキュルに関する論集"Jakob von Uexküll and Philosophy, Life, Environments, Anthropology"が出ました。その中でカント寄りの解釈をしていた論文"Kantian ticks, Uexküllian melodies, and the transformation of transcendental philosophy"というものがありましたが、求心性と遠心性の区別が完全にないものとして扱われてしまっていましたね。それゆえに、独創的な読みで面白い論文なのですが。
今後もちょくちょく挙げていきます。
どうでもいいことですが、ユクスキュル(Uexküll)という名は、エストニア語で「一村」さんです。ホントにどうでもいいけどね。