空き家と防災

今回は先日、メディアの方に向けて、空き家の専門家として「防災の日に向けて」コメントさせていただいたので、そこから引用したいと思います。

9月1日は何の日かご存じですか?多くの学校でこの日は防災訓練を行うので、記憶に残っているよという方もいるかもしれません。
そうです。防災の日です。
防災の日に向けてだけではなく、この時期は一般的に台風など多い季節でもありますから、防災を意識するにもいい機会です。

防災と空き家、どんな関係があるのか見てみましょう。

◆空き家を放置することによる災害リスク

空き家の長期的な放置による老朽化や不十分な管理は、以下のような災害リスクがあります。
・火災:放火や自然発火など出火原因はさまざま。人がいない分、発見が遅れる可能性が高く、隣家を巻き込む大火災になる恐れがあります。
・倒壊:誰も住んでいない家屋、特に木造建物は通気や換気がされず劣化が早いと言われています。さらに「新耐震基準」が適用される前、昭和56年以前に建てられた建物は、耐震性が著しく低い可能性があり、小さな地震でも倒壊する恐れがあります。倒壊までいかなくとも、重い瓦や外壁、塀などが落下し周辺の人に危害を加えてしまうことも考えられます。

上記に加え、空き家を放置し続けると不動産価値の低下、景観や治安の悪化、ごみの投棄や害虫、害獣の発生による異臭、不衛生になるなど、さまざまなリスクがあります。また場合によっては所有者に「賠償責任」が問われることもあります。

◆放置年数の調査結果

アキサポ空き家総研が2021年に実施した東京都内の空き家所有者を対象に実施したアンケート※では、空き家を放置した年数が「10年以上」と回答した空き家所有者は約4割にのぼり、都内でも長期的に放置されている空き家が多いということがわかっています。その一方で、空き家を放置することで生じるリスクとして「倒壊」を認知している所有者は14%にとどまりました。

空き家を長期的に放置すると、人が出入りすることで自然とされていた換気がされず空気が滞り、湿気等がカビや害獣繁殖の要因になります。また水回りも使われない状態が続くと、排水管の水が蒸発してしまい下水の汚臭や虫の侵入、沈殿物を発生させます。このように人が住まないと家はどんどん劣化していくため、早め早めの対処をしていくことが重要です。
また、台風や豪雨の多い7月から10月にかけては、より一層空き家の倒壊リスクも高まるため、長期的に空き家を利用していない(放置している)所有者は特に、空き家が抱える災害・トラブルリスクに対する備えが必要です。

※アキサポ空き家総研2021年3月実施、「2021年 東京都空き家所有者に対する意識調査」より


一部、以前の記事の復習みたいになってしまいましたが、空き家を放置しないことが防災リスクを軽減することはわかってもらえたでしょうか?
次回は放置してしまった空き家をどう対処するか?というお話をしたいと思います。

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