兵庫県の空家活用特区制度を解説②

今回は前回に引き続き、兵庫県で施行された「空家活用特区制度」についてお話しします!

前回の復習「空家活用特区制度」とは

空家等の活用を特に促進する必要がある区域を「空家等活用促進特別区域(特区)」として、市町と県は、空き家の活用を促進します。
「特区」に指定された地区は、活用のため、助成やサポート体制がこれまで以上に拡充されたり、規制が緩和されたりします。

制度のポイントは市街化調整区域の規制緩和

最も早く特区に指定された嶋地区は、市街化調整区域であったことから、民家をカフェなどにしたくてもできないという制限がありました。
市街化調整区域とは、都市計画法に基づいて開発が制限された区域のことです。つまり、むやみな開発を防ぐために制定された決まりで、区域内の住宅には建て替えなどに制限があります。それが現在になって、空き家の活用を阻むようになってしまったのです。

そこで兵庫県の空家活用特区制度では、市街化調整区域における規制緩和を実現しています。これはとても大きなポイントです。

具体的には
・用途変更
・更地後の住宅の新築

の2点に対する規制が緩和されます。
これにより、従来ではできなかった住宅から飲食店というような建物ごとに決められた用途以外への用途変更や、建物を除去して移住・定住用の住宅を新築するといったことが可能になります。

ただ、あくまで規制緩和のため色々と諸条件はあるようです。
例えば、除去後にその敷地に住宅を新築できるのは、市街化調整区域になる前に立てられた住宅である必要があったり、住宅をカフェやホテル等へ用途変更をしたければ築10年以上経過している必要があったりなど。
特区に指定された場合は、各行政に確認をとるのが良さそうですね。

その他にも特区に指定された地域は「重点整備道路」として狭い道路への自動販売機や花壇の設置が制限され、車両の通行がしやすくなったり、「重点整備地区」として敷地が道路に接する長さが短くてもホテルの建設ができるようになったりといったメリットがあります。

特区内空き家所有者はどうする?気になる空き家活用のサポートの内容は?

特区に指定された地区内の空き家の所有者は、市町に対して所在地や建築時期、管理状況などの情報を届け出ることが義務化されます。
まずは市町が特区内の空き家の実態調査を行い、その後、対象となる空き家の所有者に通知が届くので、所有者側は通知に従って書類を提出します。

このとき「市町連携団体に対する情報提供についての同意の有無」が問われます。市町連携団体とは、空家相談窓口を委託しているNPOや、空家バンクの登録物件の仲介を行っている宅地建物取引業団体(不動産会社)のことを指します。

情報提供に同意した場合には、後日、情報提供を受けたNPOや不動産会社から連絡が入り、支援についての情報提供や、活用方法の提案を含めた売買や賃貸のサポート、それに伴う適正価格の掲示、不動産会社が賃貸物件を一括借り上げするサブリースのサポート、図面作成や写真撮影が必要な空き家バンクへの登録サポートなどが受けられます。

まとめ

使える建物でありながらも、さまざまな規制から空き家にせざるを得ない状況にあった空き家所有者にとって、兵庫県の「空家活用特区制度」は非常に有意義なものになるでしょう。
特区指定第一号の地区の今後の状況によっては、兵庫県内だけでなく他の都道府県にも広がっていくかもしれません。
今後も目が離せません!

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