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親友が星になった話。

ふと小説のようなむかしの話をつらつらと書いてみたくなった。

特にきっかけがあったわけではないのですが
昔こんなことあったなーと思いながら、記憶をたどってみた。

チームビルディングの一貫で、
自分の棚卸しをしていたからかな。

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「天体観測ってめっちゃ良いよな!」

親友と一番楽しかった帰り道、またコイツ同じこといってるよ、
と思いつつ、友がいつもいっていた言葉。

私の返答はいつも同じで、
バンプもそのうち有名になってさ、
どうせそのうちラジオじゃなくてテレビに出るようになって
有名になったら俺らももう聞かなくなるんじゃない?

そんな言葉をはじまりに、昔の話を書いていきたい。


いつも一人だった、冴えない子供だった

本当に目立たない子だった。
特にこれといった才能もなく、
容姿が優れているわけでもなく、
むしろちょっとぽっちゃりで、モテない、冴えない子供だった。

「前ならえーーーー!」
「ピッ!」

いつも私は先頭で腰に手を添え、
だれもいないグランドを見つめるのが役割だった。

「おい、押すなよー」
「ちゃんと前向けよ」
「列を乱さない!○○!」
「おい、お前のせいで怒られたじゃねーか」

うしろからふざけて遊んでいる声がする
羨ましい。
こっちは暑いのにいつも先頭でビシッとしているんだ
後ろのほうだったら先生に見つからずに、遊べるのに。


いつか前ならえで手を前に出したかった。
一度も叶うことがない子供時代だった。

目立たない私は、特に秀でた特徴もなく
勉強も可もなく不可もなくで、
なーんとなくで公立の普通の高校に通うことになった。

いつか良い出会いがある
いつか自分を変えられる日がくる

大好きなアニメや漫画をみて、
自分はいつかスーパサイヤ人みたいに強くなれると信じてた。

大好きなゲームをやりながら、
いつかレベルが20に成長したら賢者になれるんだと信じてた。

なにかクリリンみたいっていうのはあまり良い表現ではないけど
いつかは、なにかがきっかけて、
自分の中ではじけて、自分は超サイヤ人みたいになるんだ、と本気で思っていた。

私は、そんなどこにもでいる
普通の子供だった。

結局中学生まで、なに1つ変わることのない
つまらない日々が続いていた。


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高校に進学して、ハンドボール部に入部した

「お前どこに入部するの?」
「え、部活って必須なの?」

高校進学してもすぐに状況は変わらなかった。
何もチャンスなんてこなかった。
僕にとってのサイヤ人になる機会なんてなかった。

そんなとき、

「俺別に運動したくないし楽なやつがいいな」
「身長小さいからできる事ないよなぁ、、」
「なんか、ハンドボールっていうのが高校からあるらしいぞ」

そんな話をしながらグラウンドを歩いていると
ハンドボール部がシュート練習をしていた。

これならできるかも。

そう思ってハンドボール部に特にやりたいとか
思い入れがあったわけでないけど、
なんとなくで入部してしまった。


すごいやつに出会う。天才っているよね。

私はコミュニケーションが苦手だ。
うまくヒトと話すことができなかった。

「おーい、じゃキャッチボールはじめるぞー」
「ういーっす」

「なぁ俺とキャッチボールしようぜ」
「じゃ、俺も!」

そんな声が周りで交わされる中で
いつもキャッチボール相手が見つからず
最後まで残っているのが私だった。

そんなとき、いつもアイツだけが

「なんだ、お前ひとりか」
「じゃあ、キャッチボールしようぜ」

そういってくれた。
いつもキャッチボールの相手になってくれるヒトがいた。

私は怖がりでキャッチボールが下手だ。
キャッチがうまくできず、大事なところでキャッチミスばかりして、
よく周りに怒られていた。

だからこそキャッチボールが嫌だった。
というかハンドボールでキャッチボールできなかったら
何もできないじゃん、って話w

影で
「あいつとキャッチボールしたくない。」
「もっと早いパスワークとかやりたんだよな」

そんな陰口を言われていたのを知っていた。

そんな私でもいつもアイツだけが
なぜかキャッチボールをしてくれた。

そして、アイツはさらに変わり者だった
いつも学年TOP3に入る天才で、変わり者だった。
なぜかまつげを全剃りしたりする変わり者のだった。
私は身長低い、アイツは身長高いという凸凹だった。

帰り道が一緒で、なぜか一緒に変えるようになった。
いつも一緒にかえっていたが、アイツが勉強してるところなんて見たことなかった。
なんであんな頭いいんだ。。。

変わり者だったからなんか打ち解けているけど
なんとなく距離感もあった。
でも共通点があった。

「なぁラジオ聞いてるか?」
「うん、まぁちょっとね」

最新の曲をいつもラジオで聞いていたことが
共通点で、
そこで最新というかこれから有名なるアーティストを探すのは好きだった。

「天体観測ってめっちゃ良いよな!」

アイツとの帰り道、いつもこれを言ってくる。

私の返答はいつも同じで、
バンプもそのうち有名になってさ、
どうせそのうちラジオじゃなくてテレビに出るようになって
有名になったら俺らももう聞かなくなるんじゃない?

そんな毎日が過ぎていった


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親友ってこういうことなのかな

ハンドボールもなんだかんだで慣れてきて、それなりになった。
Aチームには慣れないけど紅白戦したら出場出来るくらいのレベル。

そんな日々を過ごしているとき、
突然アイツからこんなことを言われた。

「なぁ今度うちに来いよ!」
「えぇお前んちめっちゃ遠いんだよな」

そんな話をしながらも、初めて誘われた。

そういえば、
いつもキャッチボールとラジオばっかで
ちゃんと話してねーな
そんなことを思いながら、相手の家にいくのは不思議だった。

「お前んちどんなかんじなの?」
「え、まぁおかんがいて、、、、」

他愛のない会話で
アイツのことをがなんとなくわかった
アイツの家族と話すことがちょっとあって、

「あぁ君があの清水くんね」
「いつもうちの○○とキャッチボールしてくれているんだよね」

すごく驚いた。

そうなんだ、アイツからみたら
キャッチボールしてくれていのは俺だったのか

なんか急にアイツに共感というか
同じ気持ちがわいた瞬間だった。
その日から僕らは親友になったんだ。


卒業してそれぞれの道へ

3年そんな関係も続けば、仲も良い。
下の名前で呼び合うような仲だ。

タカヒロか、悪くないよね。
名前で呼ばれるのって。

私は今回は割愛するけど、浪人した
どこも高校に受からなかった。

アイツは大阪大学にストレートで合格した。
そりゃ天才だからね。

自分は不幸の真っ最中だったけど、
アイツの進学は祝福できた。

心から嬉しかった。才能があるんだから、
優しいやつなんだから、絶対大阪いって、
成功してビックになって、
有名になるよな、って話をした。

有名大学にいったら、もう忘れちゃって
会えるなくなるんじゃね?

まぁたまには戻ってくるよ

そんな会話を最後に、僕たちは卒業した。
忘れちゃんうんかね。どうなんだろって思いながら。


病気。

もういまでは知らないヒトも多いけど
当時はmixiが流行ってた。

もちろんmixiやってた。
毎日なんとか牧場やってた。

そんなときアイコンに通知が。

(ピコン!!)

珍しい、アイツだ。

確か北海道の大学行ったんだろ
浪人頑張ったな、合格おめでとう
俺、病気になった

たった三行のメッセージがはいった。

(なんだ、ぶっきらぼうなメールだな)

この文章で私は何も気づけなかった。

単純にお礼と心配をして、
そのときのメッセージは折返しなく終わった。

(病気か、どうしたんだろ、まぁいいか。)


訃報。

こういうのって突然くるよね。
ほんとに急だった。

「おい、タカヒロ聞いてるか」
「アイツ死んだだぞ」

急展開だった。
教えてくれたのは同じハンドボール部のメンバーだった

「え・・・・どうして?」
「白血病だったらしいよ」

そうなんだ、、、すぐにmixiを開いた
そこには管理人として親御さんだろうか、
大学の友人だろうか、、、

今回の件をメッセージで代筆されていた。

なんか、はじめて自分の気持ちの置きどころが
わからなくなった経験だった。

あれ、なんだこれ、よくわからない
よくわからないけど、現実味がない

泣く?悲しい?
なんかよくわかんない、が一番近しい感情だった。

でも時間が経ち、実感していく日々が続き、
日を経るごとにいろんな後悔が湧いてきて
しばらく情緒不安定になった。

どうしてもっと連絡しなかったのか
どうしてこういうことになったのか
どうしてこうならないといけなかったのか


長い時間の中で考えがぐるぐるして、
結局薄れつつも冷静になり、結果、私は
このことをきっかけにエンジンがかかった。


私が変わるきっかけ。

そして、私は親友の死がきっかけで
人生にブーストがかかりました。
変わりたい、変わらなきゃ、そう思えた。

私はただの凡人からちょっとだけサイヤ人に近づいた。
そこから私は1つ変わることができた。

ふと、この話を頭に浮かべながら、
いつもの時間を思いだした。

「天体観測ってめっちゃ良いよな!」

親友と一番楽しかった帰り道、またコイツ同じこといってるよ、
と思いつつ、友がいつもいっていた言葉。

私の返答はいつも同じで、
バンプもそのうち有名になってさ、
どうせそのうちラジオじゃなくてテレビに出るようになって
有名になったら俺らももう聞かなくなるんじゃない?


なぁ、俺はいまでも聞いてるぞ、天体観測。
お前も聞いてるのか?

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