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【戦闘力と指標値化】

戦闘力ってすごいよね

ドラゴンボールの「戦闘力」*1って概念、すごくないですか?
それまで抽象的だった「強さ」が数値として具体的になったんですよ。
画期的ですよね。
数値化されると何が嬉しいかというと、どちらがどのぐらい強いのかを具体的に「比較」できるようになります。
いわゆる指標値とか評価指標ってやつです。

(*1戦闘力の例1)
例えば、通常(人間)のサイヤ人と大猿に変化したサイヤ人を「比較」したら、10倍も戦闘力が違うってことが分かります。
これ、「戦闘力がすごく高くなるのだ!!!」とか言われても「え、雑」って思うだけであんまり実感湧かないです。
数値で比較されたからこそ「マジで!10倍も!?」って思うわけです。

(*1戦闘力の例2)
フリーザさんの有名なセリフ。
戦闘力530,000(53万)という圧倒的な数字を突きつけられたことで、こんなにも自分と戦闘力の差が大きいんだ、ヤバくない?、って分かります。

指標値って分解できて定義できる

完全に想定ですが、戦闘力は、攻撃力、守備力、体力などからなると思われます。
攻撃力は単位時間あたりに相手の体力を奪える度合い、守備力は相手の攻撃力を弱めることが出来る度合い、体力は生命力を数値化したもの、あたりが定義でしょうか。
つまり、別の数値に分解できたり、それぞれ定義を明確化できたりします。

指標値は「比較」できる

そして、その数字をもってして他との比較が出来る。
これが指標値の本質だと思ってます。

恐らく、ただ単に強そうな人が戦っているだけでは、どちらがどれだけ強いのかが良く分からない。
ベジータとザーボンとドドリアの誰がどれだけ強いかとか、ぱっと見だと分からないですからね。

だから「キャラクターの強さを誰にでも分かりやすく表現するにはどういう指標値を使えばよいか?」と考えた末に「戦闘力」という概念を考え出したんだろうと想定しています。

そしてドラゴンボールの世界では、この戦闘力という指標値を、スカウターという測定器を以てして測ることができます。
これは体温と体温計の関係と同じだと思います。
体温という指標値を、体温計という測定器で測るわけですね。
そして、昨日の自分とか他の人とかと「比較」して、今日も平熱だなとか、ちょっと熱っぽいなとか分かるわけです。

ビジネスにおけるデータサイエンスでも指標値が大切

さて、ビジネスにおいてデータサイエンスを進める上でも同じようなことが起こることがあります。
プログラムを書いてデータを分析する以前に、「その課題を解くためにどういう指標値を使えばよいか?」を考えないといけないケースがあります。

『実践マーケティングデータサイエンス』でも、第9章「精度評価の手法」において、精度評価指標として混同行列を用いてFPRTPRAUCなどについて解説しています。

マーケティングに携わる方はCTR(クリック率)とかCVR(コンバージョン率)とか聞いたことあると思います。
少し経営よりになるとCPA(コンバージョン単価)とかROAS(広告費用対効果)とかありますね。

こういうのは全部、戦闘力と同じ指標値です。
それぞれ定義できて、比較が出来るのがメリットです。

事例:飲料の商品力を知りたい

例えば私はとある消費財メーカーのマーケターの方に「この飲料の商品力を知りたいんだよね」と言われたことがあります。

私はすかさず質問しました「商品力ってなんですか?」
その方は「うーん…その商品が持っている力かな」と言われていました。
そのまんまやん。
そこで私は「商品力」とは一体何かを考えました。

  • 日販・週販・月販(POSデータ)

  • 広告出稿量

  • ブランド力

ただ、POSデータは単に「売れてるかどうか」だから「商品力」とは違う気がする。広告をたくさん出稿しているからといって「商品力」が高いとは言えない。じゃあブランド力?って思うけどそもそも「ブランド力」って何だろう?みたいに堂々巡りになりました。

結局その時はさまざまな別の指標値に重み付けをしながら組み合わせて「商品力」という新たな指標値を作り上げましたんですが、これ、分解して考えて定義を決めるって構造は戦闘力と同じですよね。

そして、これも戦闘力と同じく、この商品力という指標値を使って他の商品と比較して、「どちらがどれだけ強いか」を考えるわけです。

ビジネス課題を解くために「指標値化力」を身に付けよう

このように、ビジネス課題を解くためには「どのような指標値を使えばよいか」を考える必要が出てくることがあります。
そして、もし適切な指標値がこの世の中に無かったら、いまある指標値をつかって足したり引いたり掛けたり割ったりして、新しい指標値をつくることも必要になってくるかもしれません。

そして、その指標値をどのように測れば良いか、も合わせて考えてましょう。定義出来ても測れなかったら使い物にならないですからね。
その課題に見合った自分なりのスカウターをつくるって考えると楽しいかもしれません。

データサイエンティストには、数字を分析するだけではなく、おそらくこういう「指標値化力」みたいなものが求められるのではないかと思います。
ものごとを分解したり、定義を明確化したり、構造的に考えたりする力です。
プログラミングだけではなくて、こういった力も養っていきましょう。

ところで、さらっと「指標値化力」とか言いましたが、「指標値化力」っていう指標値はどんな指標値で出来ていてどんな定義が出来るのでしょうか?
考えてみると夜も眠れなくなりそうで面白いですね!

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