【FL🌲】給料があがらないのはどうして？

今まではファイナンシャルリテラシーを鍛えるという題名でお金について書いてきましたが、今回から本格的にリテラシーを鍛えることを軸に置いて書いていきます。

テレビ等でも株価は上がっていても給料は反映されていないと言われています。色々な要素がありますが私は見方を変えて書いていきたいと思います。

最初に日本の労働人口を知ろう！
以下の図は平成30年厚生労働省公表の正規・非正規雇用の推移になります。
さて、みなさんはこれを見てどうお感じになるでしょうか？

「非正規増えてるよね！」という印象が多いと思いますが、ここで着目してほしいのが正規雇用の人数です。
バブル崩壊、サブプライムローン問題でリストラとかがあったものの正規雇用の数はこの資料から30年近く変わっていません。
仮説にはなりますが、
・日本における正規雇用の最大キャパは3,000万人台
・日本経済が発展しなかったことにより、正規雇用が拡大しなかった
と読み解くことが出来たと思います。
また、
・非正規雇用が年々増えているので、仕事自体は増えている。
と読み解くことが出来ると思います。

以上のことから、
・正規雇用の枠に入れなかった人は非正規雇用になってはいるが、働く人が増えている分、仕事自体は増えていると考えることが出来る。

次にGDP（国内総生産）について書いていきます。
ここからは経済の知識が若干いりますので、GDPの基礎については「はじめよう経済学」の動画をご覧ください。
（私自身もここで勉強しました）

GDPはモノやサービスの付加価値総額のことで、GDP＝国民所得（国民全員のお給料）と考えることが出来るとありましたよね！
ここで国土交通省のGDPの推移を見ていきたいと思います。

この資料からもGDPは十数年ほぼ横ばいになってますね！

ここで労働人口とGDPをガッチャンコします！
詳細データがないので近似値で書いていきますが、
平成元年（1989年）労働人口約4,300万人　GDP約400兆円
平成26年（2014年）労働人口約5,250万人　GDP約500兆円
すると、1人当たりの国民所得は、
平成元年（11989年）約952万円
平成26年（2014年） 約952万円となります。

ここから見えること！
労働人口1,000万人増えてるのに1人当たりの国民所得はほぼ変わっていません。昔は4,200万人で952万円を生み出していたのに、今はその1.2倍の5,250万人でないと952万円にならないということ。つまり生産性が下がってるということになります。

会社によっては生産性を維持するために人を雇用するわけですが、雇用することで会社にとって見えない負担が伸し掛かります。
それは社会保険料です！
以下は総務省が発表している社会保険料率の推移です。

平成元年と26年では負担が6％増えてますね。
みなさんの負担もさることながら、企業にとっても負担になります。
今までの生産力を維持するためには今までより2割の雇用が必要になり、その上、社会保険料の負担も増えるので会社にとって大きな負担になる。

会社経営者と話していても、「給料は上げたいが社会保険料などの租税負担が年々増えるし、売上に関係なく従業員がいる限り払わないといけないから頭抱える」という話をしていました。経営者の多くは、人件費より社会保険料に関する愚痴がめっちゃ多いです…

まとめると、
・今は1.2人分働いで昔の収入が維持できる状態であること。
（生産性が下がっているので1.2倍働かないと昔の水準にはならない。）
・社会保険料負担の増加による手元に残るお金の減少。
（年収500万円でも6％は30万円減るということですからね。）

以上のことにより給料が上がらない、もしくは給料が上がっていても実感がないのは、これらが理由になります。
こういうことを説明すると悲しくなる方もいるかもしれませんが、
大事なのは、”今の状況を踏まえて自分がどう立ち向かうか”なんです。

ヒントとしては、GDPの意味と私が以前書いた記事の意味をしっかり読み解いていただければ展望は少し開けると思います。

最後になりますがどんな状況でも戦い方はあります。ただ、戦い方は人それぞれなのでみなさんご自身でお考えいただければと思います。