法と政治

法的な議論と政治的な議論の混同が、しばしば見られる。法的な議論は現行の法体系を参照するため静的な傾向が強いが、政治的な議論は現在の権力構造を参照するため動的なものとなる。

両者の混同は、特に国内の左派において顕著であり、この混同こそが現在の政治的停滞の根本原因となっている。左派は「法的」妥当性において政権を批判するが、自らの「政治的」抵抗については全く実績を残すことができていない。

民主制であろうとなかろうと、政治の根本基盤が権力組織であることは絶対である。権力が脆弱になれば政権は失脚するというのは、政体以前の原則である。その原理原則を理解することなしに、すなわち「政治的」な反省のプロセスなしに、「法的」な正当性ばかり主張していても、それは結局「政治的」な実効性を伴わないのである。

カルト教団が集票組織であることは「法的」に問題であるかもしれない。しかしそれを単なる言語ゲームの域を乗り越えて「現実的」に改革しようとするのであれば、そこでは「組織的」すなわち「政治的」な抵抗が要求されるだろう。

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