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法と政治

法的な議論と政治的な議論の混同が、しばしば見られる。法的な議論は現行の法体系を参照するため静的な傾向が強いが、政治的な議論は現在の権力構造を参照するため動的なものとなる。 両者の混同は、特に国内の左派において顕著であり、この混同こそが現在の政治的停滞の根本原因となっている。左派は「法的」妥当性において政権を批判するが、自らの「政治的」抵抗については全く実績を残すことができていない。 民主制であろうとなかろうと、政治の根本基盤が権力組織であることは絶対である。権力が脆弱にな

    • 原則と例外

      人は産まれてすぐの状態では、何もできないという訳ではないが、何事も判断することはできない。これは起こっている事象を通常の事態として認識し把握することができないからである。人は成長するにつれて、起こっている事象が通常のものなのか、それとも異常事態が発生しているのかを判断し、それに応じた行動を選択できるようになる。 基本的に、あらゆる「成長」とはこのように、面前の事象を通常のものとして把握できる範囲、すなわち原則に基づいて判断できる範囲を拡張することである。人は経験を蓄積するこ

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