ノードラッグノーライフ

自分は子供の頃から鼻詰まりに悩まされていて、慢性的な鼻炎アレルギーなのだが、一向に治らずひどくなるばかりで、最近では起床するなりくしゃみを連発して鼻水を垂らしながら食パンを食べる日々を送っている。

ティッシュペーパーの使用量も半端なく、そのため他の人よりもティッシュペーパーを買う頻度も多くて、このままでは貯金がティッシュペーパー代に消えて無くなってしまうこと必至で、何とかしなければならないと焦って悶えてすこぶる情けない。

そんな劣等人間の貴様にも救いの道はある、と、かのイエス様は仰られた。アレルギー性鼻炎薬を飲みなさい。そうすれば少しは治まるようになります。神の啓示を受けた自分は、それ以来、鼻炎薬を常備するようになった。神に感謝。医療の進歩に感謝。鼻水を垂らしながら漫才をするわけにもいかないので、舞台の日などは必ず鼻炎薬を一発キメて、ノードラッグノーライフの精神でしゃべくりをキメるようにしている。

さて、世の物事は、全てがうまく出来ているとは限らない。いいことがあれば悪いこともある。リスクを負ってリターンを受ける。ギブアンドテイクで地球は回っている。と、かのイエス様がほざいたかどうかは知らないが、確かに、いい事ばかりはありゃしない。

薬には必ず、副作用、というものがある。鼻炎薬には、眠気を引き起こすとか、思考が鈍る、などの副作用がある。つまり、タダでは治したらへんからね、ということで、鼻詰まりはマシにしたるからよぉ、そんかわりお前の思考を鈍くしたるからよぉ、どぉや?眠たいやろ?といわんばかりに副作用ヤンキーが体内で暴れ出す。おかげで舞台前は必ず眠くてたまらず、何も考えられずにいる。ダウナー状態では面白いことが出来ないので、眠気を打破する栄養ドリンクをがぶ飲みして、すると今度はそういったドリンクの副作用、喉が渇く、が引き起こされて、喉を潤すために龍角散を喉に塗る、と今度は頭がくらくらするので、手当たり次第にロキソニンやカロナールなどの鎮痛剤を飲んで、副作用で腹が痛くなったらそのうち鼻炎薬の効果が切れて再び鼻水が流れ出す。副作用の輪廻とともにヤク中に成り果てた自分は意識朦朧で漫才をして、金だけが消えていく。暗転。

何もいりません。舞台に来てください。