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福袋・オブ・ザ・デッド

 すっかり忘れていた。新年第一弾だったから福袋ネタにすれば良かったね。福袋です。
 福袋は荒れる、と以前にも書いた気がするけど、荒れます。命かけてる人がいるからです。
 あれなんでしょうねー、朝もはよから戦利品の袋みっつもよっつも下げて次の百貨店が開くのを待っているのが扉前にびっしり。こわい。こっちはこの後の大変な波を知っているので戦々恐々ですよ。
 どうしても欲しい、と思ったら人は狂暴になる。わかっていることですが、理性は持ってて欲しいな……と切に願うわけですよ。

 口悪く言えば、昔は在庫処理に福袋って利用されていた気がしますけど、オープンにした方が売れると気づかれてからはオープンにしてお特盛になりました。
 そこから始まる怒涛の福袋商戦。懐かしいなぁ、昔は福袋なんて買う方がバカって言われてたな。その頃の初売りラクだったろうなあ……
 目を血走らせたゾンビの如きお客様に囲まれ「何、もう売り切れた!? まだ在庫あるやろ! 裏に隠してるのか! 出せ! 売れ!」などと長く捕まった子がトラウマになってりして、ああこれぞ噛まれた売り子がゾンビになる現象よ。恐ろしい。
 
 と思っていた昨今コロナ禍がございまして、一斉に集まって密になるのでお上から「どうにかせい」と言われ、そもそも福袋が中止になった年などがあったんですわ。平和だったなあ。
 以降、対策は続き……ていうかそっちのほうが平和だと気づき、「完全予約制にするからこの三が日のうちに取りに来てね」などというスタイルになったところも多くある。
 結果的に、コロナ対策に見せかけたゾンビ対策。しかし、なかなか撲滅は難しいもので。

 予約分を午前中販売、余った分、取りに来なかった分を13字より販売。
 と、していたら12時半から並びだすお客様あり。いや全然いいんですけど。今度は順番になるんでね。早い者勝ち、本来のやり方。
 そろそろ出すかと袋を並べ始めたら、早速「これ3つ」と言い出すマダム出てきた。
「あ、こちら13時からの販売となりますのでー」
「どうしてぇ」
 いやそう説明したやん最初に。余った分、取りに来なかった分を13字より販売。ちなみに余りはなかった。つまり、気が変わって来なかった客の分だ。
「いいじゃない、ちゃんとお金は払うんだから!」
 いやダメっすよ、売った後に予約の人来たらどうすねん。
「融通が利かないわ、いいから早く売りなさいよ!」
 時間になるまでそこにいて、お客様自ら予約の説明してくれるならいいっすけどね。
 仕事ができないだの、そんなんじゃダメだだの、もろもろの罵倒を受けながら13時。
「時間になりましたので販売いたしまーす」
 焦る事ないのになその客、三番目に並んでたんだからまず間違いなく買えるのに。
 ちゃんと買えて心に余裕が出たのか、マダム笑顔を見せてこう言った。
「ごめんなさいね、厳しいこと言って」
「……いいえ??」
 笑って答える模範的な対応したが、返事は嘘いつわりない。キビシイご意見など言われてない。我儘は散々言われてたけどな。

 そんなこんな、今は予約のところ増えてるから事前にチェックしておくのがいい。予約になったとか聞いてないなどと、散々喚かれた記憶もありますでな。
 一年の計にあたる買い物、卑しいことはしないのがええで。

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