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クレームの半分は勘違いでできている

 痛み止めはいいなあ。半分はやさしさで出来ているのだから。
 今日のテーマです。「クレームの半分は勘違いでできている」
 語る前からもう世知辛いのだが、そのままの意味である。

 クレームの半分は勘違い、と言われてどうだろうか。多いと思われるだろうか。
 まあ確かに、別に統計を出したわけではない。様々な業種にン十年いてクレームをもろもろ浴びてきた私の体感としては、そのくらいで間違いないかな。と思う。自分調べ。
 ただまあ、勘違いと言っているが大雑把な分け方であることは間違いない。

「自分に都合の悪いことは忘れる」
「自分に都合のいいことだけ覚えている」
「自分に都合よく解釈する」

 これらはまた別なので、いずれ話していこうと思う。勘違い目・別亜種。
 細分化されてそれぞれ例題もあるのもまた悲しいが、何しろクレームの半分なので。そりゃあ色々あるだろう。
 人間、なにかといっては勘違いしやすいのだ。

 お客様は今日、菓子の詰め合わせを五箱、頼んできたところだった。イベントにいらしてくれる皆さまへのお土産にする、大事なものだ。
 しかし過去に、注文したものを忘れられていたことがある。苦い思い出だ。今回はそんな間違いがあってはいけない。
 なので買い物から帰ってきてすぐさま、電話をかけた。もしもし? 私だけども、今そちらに注文してきたのよ。ちゃんと間違いなく通っているでしょうね?
 ところが、店員の返事が曖昧だ。ハッキリしない上によくわかっていない様子。
「えっ……五箱ですか……? 1500円の詰め合わせ……」
 たった今やりとりしてきたはずのものを何度も繰り返し聞かれ、頼りない対応をされた上に、あれだけ念押ししてきた注文が、今回も通ってないというのだ!

 なんじゃああそりゃあああ!!

 お客様、キレた。ジーパン刑事のように吼えた。
 聞いてないってどういうことなのよ! だいたいアンタらはね! 客をバカにしてるからそんな態度がとれるのよ! 話にならないわ上の者を出しなさい! もしもし? あのね私は今朝、早くから出かけていって間違いなく注文してきたのよ、お金はらって注文書ももらって、それなのにアンタ知らないってどういうことよ、どういう教育してるの!!

 なんかマネージャーがやってきて長電話してるなー、こりゃマル苦だな。
 と思って私は隣の店を見ていた。ショッピングモールなので隣の店の様子はよくわかる。マネージャーさん、周りの店舗にも色々と話しかけ、うちにもやってきた。
「クレームっすか。お疲れ様です」
「そうなんだよねえ。困ったねぇ。ところでさ、こんな詰め合わせでこの値段の五箱とか今日注文受けなかった?」
「あ? はいはい、受けましたよー? 三日後に配送って承ってますけど?」
 マネージャーさん、神妙な顔して帰っていき、電話をかけた。
「あ、すみませーんこちら紅白モールのマネージャーですぅ~……はい、すみません、はい、あの~お調べしましたところ、お客様がご注文されましたのは、さきほどお電話されました三角堂ではなくて、となりのまんまる屋でして~……」
 こちら、確かに、ご注文は間違いなく入ってございます、はい~。

 思い込みは恐ろしいね。
 思い込みが恐ろしいのは、何より、間違いの自覚がないからだ。
 全くの勘違いで関係ないとばっちりの店の人を小一時間怒鳴り散らす人というヤバい称号を得るまえに、クレームを入れたいその内容は間違いないのかどうか、落ち着いて確認してもいい。勘違いはよくあることなのだから。客も店員も。

 一番いいのは、そもそも、小一時間も怒鳴り散らさないことだけれどね。傷は浅くて済むから……

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